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江戸っ子気質で老後を迎えるとどうなる……?
「宵越しのゼニ」を持てば老後の人生は変わる。 (野口俊晴 ファイナンシャルプランナー)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151210-00010002-scafe-bus_all
シェアーズカフェ・オンライン 12月10日(木)6時6分配信
■老後を考えずには夜を過ごせない
「宵越しの銭は持たない」―。その日の収入はその日に使い切ってしまう江戸っ子のきっぷの良さをいう言葉です。だいたい江戸の町は燃えやすく、火事が頻発していました。木造の長屋に金を貯め込んでも灰になる可能性が高かった。それもあって江戸の人は金を使い切っていました。
―― そうは言ったって、じゃあ老後はどうしたの、野垂れ死にか?
よくしたもので、この時代はちゃんと家族(子の代)が親を住まわせ、食わせてくれていました。今の時代は、そうはいきません。これからの日々の生活で、老後を考えずには夜を過ごせません。
■突然起こるリスクは保険で備えられる
ところで、人は「リスク」をどういう時に強く意識するか? 特定された「自分」という個人に限れば、事故にあったり重大な病気に罹ったり、あるいは突然死亡する確率は非常に低いものです。確率が低いにもかかわらず、「自分」がその何百分の一に当たったら、と考えると居ても立ってもいられなくなる。
その確率の的中に備えて毎月の支出(掛け金)はやむをえないと思います。それが保険です。毎月1万円や2万円の支出は、将来未定の何千万円の支出を償うには許容できるのです。
人はそのようにして、今は何ら怖れがなくても明日の見え隠れする危険に備えます。保険は人生の「負の穴」を埋めるための方法といえるでしょう。病気やケガ、災害、死亡というマイナスのライフイベントであり、人生で突然落ちる「穴」というリスクに対して保険で備えるのです。
■リスクの捉え方で老後の生活は変わる
一方、徐々に資産(お金)が足りなくなって最後は貧窮となるリスクがあります。これが「下り坂」のリスクです。こちらは突然落っこちてしまうものではなく、まだ大丈夫と思っているうちにどんどん滑り落ちていき、気が付いた時にはもう坂を逆に這い上がっていく余力がなくなっています。
目の前の坂道は、見方によっては平坦にも見えるし、上り坂にも見えます。下って落ちているのに、本人は道をまっすぐに、いやむしろ上っているようにさえ錯覚するリスクです。
もうお分かりのことと思いますが、老後のリスクとは、この下りの「坂」に譬えられるでしょう。この坂を下りきるのに何年かかるか。それは人によって違います。が、下った先は貧窮です。下りきる前に駆け上がって戻らなければならない。この状況そのものがリスクなのです。リスクを目の前に捉えられないということは、限りなく確実に坂の下に向かっているのです。しかも、不慮の事が起これば下りきる前に破滅に至ります。
人は、10年、20年、30年先だとリスクをリスクとして捉えることはできません。むしろ怖れにつながることは未来へと遠ざけてしまいがちです。これを、例えば1か月後のこととして目前に現してみることです。定年後に収入が減ったりゼロになった時、公的年金だけで生活していけるか。資産はあるか。前述の「穴」のリスクは保険で回避できるのに、「坂」のリスクは運用で回避できないのか? 運用はしても、お金は増えもするが減りもする。簡単に運用で老後リスクを回避できると考えるなら、それもまたリスクです。
■運用の前に貯蓄ありきを心掛けよ
まず、リスクを現前化(「見える化」)することから考えてみましょう。先ほどの「下り坂」と同じような状況をイメージ化する必要があります。目の前に危機があるかないか、あればそれを具体的にイメージすることができるか、ということです。イメージ化といっても、「貧乏爺さん」や「破滅老人」に自分の姿を重ねるということではありません。
老後リスクには、主に次のものがあります。
・お金が無くなる。
・病気になる。
・住む処がなくなる。
そして、孤独です。
お金が無くなるということは、収入が減り(あるいはゼロになり)、収入よりも支出が多い状態から起こります。病気で給料収入がなくなるとか、住宅ローンや家賃が払えなくなって住まいを失うというのは、突き詰めればお金があればなんとかなります。孤独はお金があってもなくすことはできませんが、お金がなければ深刻なもの(孤独老人、孤独死など)になります。
そこで、お金のリスクについて数字化してみるのです。まず、今の収入と生活でいくら貯蓄できるか。運用の前に貯蓄ありきです。貯蓄するお金をひねり出せないのに運用どころではありません。これから定年退職までいくら貯まるか。その貯蓄と退職金、加えて年金で何年もつかを考えます。世間的に生活費は平均いくらかかるかなど考えないようにします。あなたの暮らしではどうなのか。それによって何歳まで働くか。収入と支出と貯蓄、これが重要な3項目です。
■リスクを目の前に見えるようにするには
この3項目を把握するには、現在から10年先、20年先、30年先のお金の流れ(キャッシュフロー)を作成することは効果的です。これは毎年の条件により作成し直すことで有効な手段となります。もう1つは、フローに対してストックの考え方です。
その年ごとの個人の家計を企業会計のバランスシート(貸借対照表)になぞらえて、資産(現金、金融資産など)と負債(ローン)、そして資本(資産と負債の差額)に分けてみる。それにより、個人の家計の純資産がわかります。純資産がマイナスならリスクは大きくなります。こうしてあなたのリスクを現前化することができます。
これらはファイナンシャル・プランナー(FP)の標準的な手法で、FPに作成してもらうのも一法です。それにより住宅ローンの返済や保険についても見直しが可能です。そのうえで、実際にどれだけ貯蓄できるか。つまり、毎月の給料からどれだけ家計の「純資産」を生み出せるかが大事です。
運用は、貯蓄ができてからその何割かを投資に回せばいいのです。最初から金融のアドバイザー(金融機関も含めて)の設定で考えないことです。そうでないと、「じゃあ、この目標利回りのために○百万円(○千万円)を預けてください」となって、先方の言いなりになってしまうでしょう。
■「自分が働く」ことで老後のリスクは減らせる
現時点で老後が安泰となるほど資産(貯蓄)ができていない人、退職年金も当てにならない人は、「お金に働いてもらう」(運用)以前に自分があと「どれだけ働くか」を考えることです。あなたが今定年間近なら、65歳になって公的年金が20万円もらえるとして、月いくら働ければいいか。
月10万円稼げて合わせて30万円でやっていけるなら、無理な運用を考えなくてもすみます。もちろん、運用は大事ですが、定年後も働いて得る収入の方が老後のリスクを確実に軽減できるということです。定年退職してまで人に仕えるのは嫌だというなら、退職後も月10万円以上の収入が入ってくる技量や仕組みを今から身に付けておくことです。
定年前に病気や事故で働けなくなったらどうするか。家族が介護状態になったら・・・。そういう不安はもっともですが、それらは「坂」のリスクではなくて、「穴」のリスクです。「穴」のリスクに対しては、どっちみち今から早めに考えていかなければならないことなのです。問題は今、老後のリスクを目の前に見て、「坂」を下って行かないようにすることです。
野口俊晴 ファイナンシャル・プランナー TFICS(ティーフィクス)代表
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