2. 2015年12月09日 17:29:22
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アングル:原油40ドル続けば来夏にCPI‐0.5%も、注目される当局の認識[東京 9日 ロイター] - 最近の原油価格下落を受け、日本の物価に対する影響を注視する見方が広がり出した。一部の民間機関では、原油価格が1バレル40ドルで推移すると、消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)が2016年夏にマイナス0.5%に下落するとの試算結果を出している。コスト削減はプラスとみるべきか、それとも背後にある世界的な需要減退を注視すべきか、政府・日銀のスタンスにも注目が集まりそうだ。 日銀が10月末に示した展望リポートは、原油価格がドバイ産で1バレル50ドルから、2018年3月までに65ドル程度まで上昇するとの前提を置き、コアCPIが16年度後半に2%に達するとの絵を描いていた。 欧米の原油先物市場の期先の価格を根拠に、原油価格は上昇を続けるとの想定だった。 しかし、原油価格は下落を続け、8日のNY市場で米国産標準油種(WTI)1月物清算値は1バレル37.51ドルと2009年2月以来、6年10カ月ぶりの安値を記録した。 原油市場動向に詳しい元日銀審議委員の中原伸之氏は「20ドルに向かって下落を続ける」と予想。米金融大手のゴールドマン・サックスは4日、原油相場は長期間の低迷が継続する公算が大きいとの見通しを公表した。 みずほ証券・シニアマーケットエコノミストの末廣徹氏は、40ドルの価格が少なくも3カ月から半年間は継続するとの前提に立ち、基調的な物価上昇の影響を考慮せずに試算すると、コアCPIは「年末から年始にかけてプラス0.3%程度まで上昇するが、16年夏にはマイナス0.5%程度まで下落する」と見込む。 元日銀理事の富士通総研エグゼクティブ・フェロー・早川英男氏は「すでに日銀内で本当に16年度後半に2%が達成できるとみている人は少ないのではないか。原油価格低迷が続けば、さらに2%の達成が難しくなる」と指摘。 そのうえで「金融政策の枠組みを持久戦に耐えられる形に早期に転換するのが重要」と語った。 日銀の黒田東彦総裁は11月19日の会見で、予想物価上昇率は全体として上昇しているとの判断を変える必要がないと表明しつつ、一部に原油価格の影響で「弱含んだもののある」と述べた。 岩田規久男副総裁は今月2日の会見で、原油価格の下落は、中長期的に経済に好影響を与え、物価を押し上げることになるとの見方を表明した。 一方、佐藤健裕審議委員は7日、原油下落は予想物価上昇率にさほどの悪影響を与えていないと感じていると述べるとともに、さらなる原油下落が予想物価上昇率に悪影響を与えるかどうか、注意が必要だとの見解を示している。 この先、原油価格がどの水準で下げ止まるのか、40ドルを割り込んだ低水準での推移がどの程度の期間にわたって継続するのかによって、世界経済や日本経済に与えるインパクトは相当に変動する。 仮に原油下落が長期化しそうだと政府・日銀が判断した場合、日本経済にとってプラスとみるのか、反対にマイナスが大きいと懸念するのか──。その判断が2016年のマクロ政策の方向性に大きな影響を与えそうだ。 (竹本能文 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/oil-boj-idJPKBN0TS0DF20151209?sp=true
アングル:原油急落で米投信業界にあまねく広がる痛み
[8日 ロイター] - 原油価格の急落は、米国のありとあらゆるミューチュアル・ファンド(投資信託)に打撃を与えている。最優秀クラスのポートフォリオマネジャーとて例外ではなく、彼らも投資のタイミングを見誤ったために出資者に損失を与え続けているのが実情だ。 多くの運用担当者にとっては、原油価格の底打ちが逃げ水のようにいつまでたっても実現しない厄介な存在になっている。例えば8日の市場でも、米原油先物は2009年初め以降で初めて1バレル=36ドル台に突入して安値を更新した。 大方が年内としていた原油価格反発の予想時期は今や来年に先送りされているが、ゴールドマン・サックスに至っては価格がさらに20ドルまで下落する恐れがあると警告している。 4日には石油輸出機構(OPEC)が減産を見送り、世界的な供給過剰感が強まるとの観測が広がった。 広告 こうした中でミューチュアル・ファンドもヘッジファンドも等しく利用するエナジー・セレクト・セクターSPDR上場投資信託(ETF)(XLE.P)の過去1カ月のリターンはマイナス10%となった。このETFの資産は110億ドルだ。 ジョン・ダウド氏が運用するフィデリティのセレクト・エナジー・ポートフォリオ(20億ドル)は、年初来のリターンがマイナス17.77%。ただしエネルギーファンドの平均リターンはマイナス20%近くなので、まだましな方といえる。 リッパーによると、米国のミューチュアル・ファンド全体では過去3年間でエネルギーセクターへの投資をおよそ40%も削減し、投資比率は8.36%から5.11%に下がった。 それでも原油安がなお痛みをもたらしていることがすぐにわかる。 典型的なのは天然ガス大手チェサピーク・エナジー(CHK.N)への投資だ。多くのファンドは、チェサピーク株が反発する展開に賭ける取引を行ったが、株価はさらに下落。ビル・ナイグレン氏が運用する60億ドルのオークマーク・セレクト・ファンド(OAKLX.O)などが損失を被った。 ミューチュアル・ファンド業界で選別投資にかけては達人の1人とみなされているナイグレン氏だが、9月末までの半年でチェサピーク株を2570万株へと40%近くも買い増し、株価がおよそ41%下落するという事態を目の当たりにする羽目になった。 このチェサピーク株の値下がりが大きな原因となり、モーニングスターによると、オークマークの年初来リターンはマイナス2.48%と同業ファンドの86%に対して見劣りする成績に沈んだ。 10億ドルのイートン・バンス・ボンド・ファンドを運用するキャスリーン・ガフニー氏は、チェサピークの社債に目をつけ、保有ポートフォリオの1%相当額を購入した。チェサピークは、エネルギー市場の混乱局面を乗り切れる十分な流動性と価値ある資産を有すると考えたからだ。 しかしバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのインカム指数でみると、ジャンク級格付けのエネルギー社債のスプレッドは7日に3カ月半ぶりの大幅上昇を記録し、1169ベーシスポイント(bp)と2009年3月以来の高水準になった。この1日の投資リターンはマイナス1.63%だった。 これは通常の値動きから判断すれば極めて大きな振れで、指数が前日から悪化したのは金融危機の最も深刻だった時期以降でたったの4日しかない。 ガフニー氏は、2008年の金融危機のように危険なほどの巻き戻しが起きたが、当時を思い起こさせるのは価格変動の激しさだと述べた。 (Tim McLaughlin記者) http://jp.reuters.com/article/oil-global-funds-idJPKBN0TS0C720151209?sp=true
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