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「9.11」時、日本の株価は1日で600円以上も暴落した〔PHOTO〕gettyimages
いまニューヨークでテロが起きたら、世界の経済はどうなってしまうのか 〜株価はどこまで下がる?失業者は?専門家に「最悪の可能性」を聞いた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46676
2015年12月09日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
■巨大企業が瀕死の危機に
「ニューヨークで大規模なテロが起きれば、'01年の『9・11』の時と同じように、世界の株式市場は一時的に大暴落するでしょう。1日で10%くらいの暴落もあり得る。
マーケットでは取引停止などのサーキットブレーカーが発動される事態も予想されます。日経平均株価は恐怖相場で下げていき、1万5000円くらいまで落ちてしまうかもしれない。為替市場では米ドルが一気に売られる一方で円が買われ、テロ翌日には1日で10円くらいの超円高になることも考えられます」(日本総研副理事長の湯元健治氏)
ニューヨークはアメリカのみならず、世界経済の心臓部だ。
ここがテロリストたちに一突きされれば、文字通り、心臓は止まる。
つまり、世界経済は一瞬にして凍りつく。
「いまニューヨークでテロが起きれば、『9・11』の時以上に、マーケットが受ける衝撃は大きい」
クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は言う。
「当時はまさにこれから米景気が回復期に入ろうとしているタイミングでしたが、現在は米景気がこれからピークを迎えて下降に入る時期。そのため、『9・11』の際にはテロから1ヵ月ほどで株価が戻り始めましたが、今回は違う流れになると予想されます。テロ直後から暴落した株価が、その後もズルズルと値下がりして、元に戻らない可能性がある。
もちろん、実体経済への影響も甚大になる。米欧がテロを受ければ、恐怖心理から消費が減退する。すでに下降し始めている中国経済をますます窮地に追い込むし、新興国の景気もさらに悪化していき、世界的に景気に急ブレーキがかかってしまう。日本では景気の原動力となっているインバウンド(訪日観光客)消費が急減し、大打撃を受ける可能性すらあります」
ILO(国際労働機関)によれば、「9・11」の際にはテロの直接的・間接的な影響で、世界で3000万人もの失業者が生まれた。が、世界中の企業はいま、当時よりグローバルかつ密接につながっている。一つのテロが与えるインパクトは、14年前の比ではない。
「巨大企業を瀕死させることすらあり得る」と、元スイス銀行ディーラーでマーケットアナリストの豊島逸夫氏は言う。
「いまニューヨークでテロが起きれば、ヒトやモノの流れが一瞬にしてストップしてしまうのが、一番恐ろしい。国境の監視態勢が強化され、セキュリティ強化のために通関事務も今まで以上に時間がかかるようになると、グローバルにつながった企業間のサプライチェーン(供給網)が分断されてしまうのです。
となると、部品が届かないような緊急事態が企業を次々と襲い、製造業はモノを作れなくなるリスクに直面する。自動車やスマホが作れなくなるのですから、日本やドイツの自動車メーカー、電機メーカーは大打撃を受ける可能性がある」
岡三証券日本株式戦略グループ長の石黒英之氏も言う。
「サプライチェーンが止まると、世界各国のメーカーと取り引きをしている日本の部品メーカーは納入に支障が出てくる。村田製作所や京セラなどの株価は急落しかねません。スマホ部品が絶好調のソニーもダメージが深刻になるでしょう。会計問題に揺れる東芝も稼ぎ頭の半導体に影響が出れば、さらなる資金繰りを模索しなければならないリスクが高まる」
■株価が「半値」になる
どのような場所がテロで狙われるかによっても、影響の度合いは違ってくる。
エコノミストの田代秀敏氏は「ホテルや交通機関がテロを受ければ、世界経済の致命傷になりかねない」と指摘する。
「仮にニューヨークでビジネス要人が利用するホテルや、ニューヨーク発着便の航空機が狙われれば、世界中のビジネスマンに与える不安心理ははかり知れないものになるでしょう。最悪の場合、アメリカ駐在や海外出張を止める企業すら出かねない。
さらに、世界中の航空、鉄道各社などは、セキュリティ対策に莫大な費用と時間を費やさなければならなくなる。日本では、新幹線から在来線も含めて乗車時に金属探知機が必須になるかもしれない。3分毎で運行している山手線は、10~20分毎の運行になり、サラリーマンは朝9時にオフィスに着けなくなる。
世界中で経済を回す『血液の流れ』がストップする。つまりは、世界全体が『死』に至る可能性すら出てくる」
「9・11」を受けて、航空テロへの警戒態勢は万全になっているとの指摘はあるが、気休めの楽観論に過ぎない。
「イスラム国が航空会社や空港の職員、パイロットをリクルートすることもあり得ます。空港のセキュリティをいくら強化しても、セキュリティチェックの担当者が犯罪者と化せば、10月31日のロシア機のような空中爆破テロはいつ起きてもおかしくはない」(国際政治アナリストの菅原出氏)
元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、「イスラム国は恐怖心を煽る効果の高い場所でテロを起こす可能性が高く、アメリカンフットボールの試合会場や、大リーグが開催されるヤンキースタジアムなどが狙われる可能性がある」と言う。それが現実になれば、「外に出るのが怖い」との恐怖心理が広がり、ボディブローのように米経済の体力を奪うことになる。
「米国で稼ぐトヨタ自動車への影響は大きい。すでにイスラム国がトヨタ車を使っていることが発覚していて、ブランドイメージに影響が出始めている。しかも、トヨタには『アイシス』という車種があり、これがイスラム国の表記である『ISIS』と同じとして、米国でブラックジョークの対象にもなっている」(元内閣情報調査室内閣情報分析官で世界平和研究所主任研究員の藤和彦氏)
いま世界中の経済政策担当者が最も恐れているのは、次のシナリオだ。
「米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が管理するドル決済システムがサイバーテロを受けることです。
ドルは世界中で取り引きされている通貨なので、この決済システムが壊されると世界経済は完全にストップする。世界中で決済できずに倒産する企業が次々と出てくる。黒字企業でもドルそのものを持っていないと決済できず、簡単に倒産する。株式市場はすべて投げ売り状態で、日経平均株価は1万円割れというレベルではない。値段がつかないパニック状態に陥る」(通貨・国際投資アナリストの小口幸伸氏)
RPテック代表の倉都康行氏も言う。
「ドル決済システムが麻痺すれば、貿易もストップする。株式市場は大暴落を避けるために閉鎖を余儀なくされる。金融機関も閉鎖される可能性があるので、そのために預金を引き出そうと人が殺到し、取り付け騒ぎが起きるかもしれない。
投資家はいま持っている株がいくらの価値があるのかもわからなくなり、たとえば1週間後に株式市場が再開された時には株価が半値になっていたという事態もあり得る」
それは1920年代の大恐慌よりもおぞましい光景。誰も見たことのない悲劇の幕開けとなる。
「週刊現代」2015年12月12日より
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