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中国銀行業の不良債権額は2兆元! 広がる社債発行停止と償還不履行
http://diamond.jp/articles/-/82699
2015年12月7日 陳言 [在北京ジャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン
中国が11月30日に国際通貨基金(IMF)執行理事会で、人民元を特別引き出し権(SDR)の貨幣バスケットに組み入れると決定したことについては、12月4日までの一週間でかなり報道された。
30日午前に行われたブリーフィングで、中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁はSDRに組み入れたからといって、元安を心配する必要はなく、基本為替レートは今後も変化しないと述べ、一般市民がもっとも関心を寄せている問題に答えた。
その日に、易綱氏は具体的に「人民元のSDR入りに対するIMFの評価に元安の問題は言及されなかった。中国経済は中高速で成長し、その成長の勢いには変わりがなく、貨物の貿易にも比較的大きな黒字が存在するうえ、海外からの直接投資及び中国の対外直接投資も増加しつつ、外貨準備も非常に充実している。こうした要素は、人民元が継続的に安値になる基盤が存在していないことを決定づけている」と語った。
これに先立って同氏は、人民元のSDR入りで資本流出が加速されるという市場の懸念について、人民元の国際準備貨幣地位の引き上げは越境資金流動の増加を必ず導きだすが、このような越境資金流動は双方向で、流出の要素があるなら、流入の要素もあるに相違ないと応じた。
「その流入と流出の効果を十分に考慮しなければならない。もし政策がきちんと設計されれば、流入(を導く)と流出(を導く)の政策をバランス良く打ち出し、流出と流入をほぼ帳消しにし、少なくとも大部分を帳消しできる」
易綱氏は「可能な限り」、中国は市場供給関係の決定的な役割を尊重するが、仮に人民元の為替レートの変化が一定の幅を超えた場合や、国際収支に異常が起こった場合には、中国中央銀行がやはり適時に介入すると説明した。
人民元のSDR通貨バスケット構成比率が10.92%で、ドル41.73%、ユーロ30.93%につぎ第3位にあり、人民元の後は、円8.33%、ポンド8.09%となることは日本のメディアにも報道されているが、「人民元のSDR加入を歓迎し、中国が金融システムの改革に努力するよう希望する」という麻生太郎財務大臣によるコメントも中国メディアは注目した。
■銀行全体の不良債権額は2兆元弱 金融の安全性は低下したが制御は可能
SDRのほかに、中国メディアが力を入れて報道したのが、金融の安全性であり、企業の債権放棄のニュースである。
「財新ネット」は、9月末時点の全金融機関の不良債権額が2兆元近くに達し、年初から5000億元以上増加したと報じた。不良債権比率は2%を超え、年初に比べ0.35ポイント上昇した。
「財新ネット」の数字は政府の公式データを大きく上回っている。中国銀行監督管理委員会の情報では、9月末時点の商業銀行の不良債権比率は1.59%に過ぎない。ただ、財新網は公表したデータの出典を明らかにはしていない。
同記事によると、2011年第4四半期以降、銀行業界の不良資産額及び不良資産率はともに4年間上昇し続けている。
多くの銀行経営者は、現在は不良債権が点から面に拡散している状態だとし、その範囲も製造業と卸・小売業に集中しているとしている。そして、それらは加工貿易型の企業や生産能力過剰な製造業の問題の深刻さを反映しており、一部の企業グループでは集団で債務逃れを画策するような状況も発生しているという。
また、記事によれば不良債権は各地で爆発的な勢いを見せている。各地の監督管理局の情報によれば、6月末時点で黒竜江の不良債権比率は3.6%、雲南では2%、浙江省では不良債権額は1600億元を超え、不良率は2.23%となっている。
記事は、「10、11月のマクロ経済データは非常に悪く、来年も深刻な調整が続くだろう。銀行の不良債権はさらに増加し続ける可能性がある」とする大手銀行部門総経理のコメントを紹介している。
現在、中国の銀行業の貸倒引当金に対する規定は非常に厳しいもので、不良率3%は何とかできるが、今後も経済情勢に変化がなければ大きな困難に直面することになりかねない。光大証券の徐高・首席エコノミストは「安定成長は下半期の経済政策の基調」と述べ、経済減速圧力とリスクに対する指導層の関心が高まり、安定成長に対する欲求が高まっていることを指摘した。
「財経ネット」の記事が公表されてから、「新華ネット」は11月29日、次のように報じた。
「金融安全協力イノベーションセンターが同日発表した『中国金融安全レポート2015』によると、経済成長率の鈍化と前期刺激政策による高いレバレッジ率の影響で、2012年以来、中国の金融安全性は悪化傾向に遭遇したが、総体的にはリスクコントロールは可能範囲にある。
南西財経大学中国金融研究センターの王フ主任の話によると、同レポートは金融機関、金融市場、経済運営、金融自主権から、2001年から2014年までの金融安全状態に対する評価である。出された結論では、2012年から今まで、安全指数は絶えず低下し、銀行業と証券業の安定性、健全性ともに下降に転じた。
『銀行の不良債権率と貸倒準備金率が持続的に上昇し、大規模な貸付は増加を経て返済ピークが訪れるに伴って、前期刺激政策にもたらしたリスクも次第に際立った。一方、証券会社の負債率とレバレッジ率が次第に向上し、市場の変動も激しくなり、特に一部の業務イノベーションのリスクは十分に認識され、有効管理されていないために、業界の安全性に不利な影響をもたらしている』と王フ氏は語った。」
同レポートは、銀行業の安全状態、中国の実体経済部門のレバレッジ率の過大、地方政府の債務などの問題に対して関心を寄せなければならないと分析している。
金融安全協力イノベーションセンターについて一言付け加える。同センターは、2012年に南西財経済大学をはじめ、中国審計署(会計検査院に相当)、中国人民銀行(中央銀行)、中国銀行業監督管理委員会、中国人民大学などが共同で発足させたものである。同センターは定期、不定期に『中国金融安全レポート』『グローバルシステムの金融リスクに関するレポート』を公表している。
■社債発行の取りやめが相次ぎ償還不履行も目立ってきた
金融の安全性が低下したなか、企業はどんな対応をしているか。「中国貨幣ネット」(chinamoney.com)は、11月5日から23日までの20日余りのあいだに45企業が債券発行計画を取り消し、その総額が500億元にも達していることを明らかにした。昨年4月から今年7月までの1年間に発行がキャンセルされた債券が約370億元だったのと比較すると、その異常ぶりがわかる。
今回発行を取りやめた45企業は、鉄鋼、石炭、セメント、建設、インフラ設備、交通などの分野に集中している。ほとんどが産業エネルギーのだぶつきに苦しむ業界に属し、経営体質に問題を孕む企業もあった。5人の業界筋は、債券の発行取り消しが相次いで市場リスクが増し、このため投資家にはリスクヘッジの雰囲気が濃厚なことから、高リスク業界の債券融資に悪影響がひろがり、高リスク企業の発債コストが一層高まると見ている。
関連の報道によれば、最近の発行取消の頻発は債券の大量放棄の一因になる恐れがある。今月5日、山東山水は国内債務の償還に不確実性があることを明らかにした。同社が抱える未償還国内債券は6件71億元で、そのうちの20億元超の短期融資の償還が不履行になる見込みで、その他の債務も償還不履行の危機に瀕している。またこれより以前、中鋼集団、英利集団などの企業も債券の償還で契約違反(デフォルト)を犯しているという。
経済の減速に伴い、金融の安定は低下したが、まだ大きな問題に直面したという状況ではない。企業が積極的に資本市場から資金調達するのを止めていることは、安定性のさらなる低下を食い止めたと考えていいだろう。
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