1. 2015年12月08日 07:44:10
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「オンデマンド労働」はどこまで広がるかシリコンバレーが引き起こす新しい働き方の波紋 2015年12月8日(火)海部 美知 先月に開催されたカンファレンス「Next: Economy」の一場面。左から順にウーバーテクノロジーズ、リフト、そしてタクシー会社のドライバー。この3人が壇上で激論を交わした(写真:海部 美知) 「ウーバーのドライバーはド素人ばっかりで、ウロウロしやがって迷惑極まりない」
「タクシー会社に振り回されるのは嫌だ」 「時給35ドルという広告につられてウーバー・ドライバーになったが、その後競争で料金がどんどん下がり、とてもそんなに稼げない」 「でも、ウーバーのドライバー向けサービスをいろいろ使ってしまっており、いまさら辞められない」 「タクシーでは、キャブ・スクールで乗客の危険行為に対する訓練もちゃんとやっている、リフトの素人ドライバーは知らんだろう」 「俺はキャブ・スクールで教えていたこともあるが、今はフレキシブルなリフトの方がよい」 これは、「米配車アプリ大手のウーバーテクノロジーズを辞めてタクシー会社に行った人」、「タクシー会社を辞めてウーバーと同業のリフトに行った人」、「運送会社を辞めてウーバーに行った人」という3人の運転手の大混戦現場激論パネルの一幕である。 シリコンバレーのオピニオン・リーダーとして知られるティム・オライリーが今年新しく立ち上げた「Next: Economy」というカンファレンスのパネルディスカッションでのことだ(11月12〜13日にサンフランシスコで開催)。そこでは、こうした具体的な問題事例から、長期的な世界の人口推移や、AI(人工知能)は本当に仕事を奪うのかといった議論まで、幅広く「シリコンバレーから見た仕事と経済の未来」についての議論が披露された。 あまりに幅広くてすべてをカバーできないので、ここでは「オンデマンド労働」の問題に絞ってまとめてみたい。 ウーバーだけではない多様なオンデマンド労働 「働き方」がシリコンバレーで問題とされるようになったきっかけは、ウーバーの成功による「オンデマンド労働」の広がりだ。誰でもドライバーになってお小遣いを稼げる仕組みであるウーバーと、その同業ライバルであるリフトの人気は引き続き爆発中である。 特に発祥の地であるサンフランシスコは、もともとタクシーの数が圧倒的に足りず、ウーバーとリフト両方の本拠地でもあるため、サービスの人気に合わせてドライバーの数も急増。従来の「正社員」とも「パート・アルバイト」とも異なる、より流動的な「オンデマンド」的働き方をするドライバーが急激に増え、タクシー運転手とのあつれきも激化している。 働く側から見ると、オンデマンド労働の最大の魅力は「敷居が低い」、つまり「面接で落ちない」ことだ。通常の求人の場合、「空きポジション」の数が決まっているので、探すのも手間がかかり、たとえ自分が資格十分であってもタイミングが合わなければ落とされてしまう。 しかしウーバーでは、「空席」数は決まっていない。事前に犯罪歴などのチェックはあるものの、よほど悪くなければ、誰でもいつでも、ドライバーになれる。ドライバーになった後に、乗客からの評価が低いと仕事が来なくなるが、そこは自分の努力でなんとかなる。 「自分の裁量でいつ働くかを決められる」というフレキシビリティーも大きな魅力だ。通常のタクシー運転手なら、シフトを決めるのは会社であり、運転手側は、それを受けるか断るかしか選択肢がない。断れば次にシフトに入れてもらえないかもしれないので、そう簡単に断ることはできない。これに対しオンデマンド労働では、自分が働ける時間にアプリをONにすればよいだけだ。 一方、彼らを雇う企業側にとっては、需要に応じてニア・リアルタイムに人を増やしたり減らしたりできる利点が大きい。 ウーバーとリフトだけでなく、同様のオンデマンド労働の仕組みを活用したベンチャーが、シリコンバレーでは大流行している。家具の組み立て、草むしり、ホームパーティーの準備などといった、家での雑用仕事もろもろを仲介するタスク・ラビットは、ウーバーとほぼ同時期の2008年に創業した老舗である。 ほかにも、レストランでテイクアウトの食事を買って家まで届けるドア・ダッシュ、スーパーで食料品を買って届けるインスタカート、衣類の洗濯を出前するワシオなど実に多種多様。 働く人のことを、タスク・ラビットは「タスカー」、ドア・ダッシュは「ダッシャー」、インスタカートは「ショッパー」、ワシオは「ニンジャ」と、それぞれカラフルな名称で呼んでいる。また、アマゾン・ドット・コムも、自社の配送ドライバーを「オンデマンド」方式で集めるという試みを開始している。 フリーランス・中小企業を活性化する技術 こうしたサービスが可能になった背景には、「裏側」のクラウド/データ/ソフトウェア技術の発達がある。 具体的には、(1)GPS(全地球測位システム)情報やビッグデータ処理技術などを使って、大量のばらばらなタスクの割り振りをリアルタイム・自動的に行えるようになった(2)ワーカー側がスマートフォンで応答したり地図を使ったりする高度な操作が容易になった(3)顧客からの評価だけでなく、多角的に人の「信頼度」を計測する手法が発達して、敷居の低い採用方法であってもかなり正確に「信頼度情報」がサービスに反映できるようになった、ことなどが挙げられる。 そしてもちろん、こうしたサービスを欲する顧客と、フレキシブルな働き方を希望するワーカーの両方の需要が、それなりに大きいということもある。 フレキシブルなワーカーをネット上で仕事とマッチングするというサービスは、従来から存在した。ソフトウェア技術者を中心とした「フリーランス知識労働者」を仲介するアップワーク(イーランスとオーデスクの2社が合併)がその代表例だ。 従来は単価の高い「知識労働」や、看護師などの「資格職」が対象だったのに対し、最近では従来「バイト」や「パート」の領域だった単価の低い仕事にまで広がってきた。ウーバー運転手やニンジャたちは、(係争中のケースもあるが)法的にはフリーランス・プログラマー同様の「自営業者」という立場である。 前者の「プロ」と後者の「素人」の中間ともいえる、従来は地元の中小企業に頼んでいたようなタイプのサービスを仲介するネットサービスもある。例えばマネージド・バイ・Qでは、清掃と建物のメンテ・修繕という2つの「オフィス向けサービス」をオンデマンドで提供する。 ここで働く人は素人ではなく、「その仕事を専門にやっている業者」である。今年の春にアマゾンが始めた「アマゾン・ホームサービス」では、「ギターのレッスン」「ペンキ塗り」「ヤギに草を食べさせて除草するサービス」など、多数の職種のサービスを、アマゾンのサイトで商品を買うのと同じインターフェースで購入できる。 ネットの仲介でなくても、ホテルの従業員が、同じ地域にあるいくつものホテルの同業種を掛け持ちし、必要に応じて異なるホテルで働く、というようなケースは従来からあった。 つまり、オンデマンド現象を別の角度で見れば、「フリーランス・自営・個人企業・中小企業」の定義が従来よりも広がって、その活躍分野が多様化している、とも言える。その背景にも、中小企業や自営の個人が手軽に使って生産性を上げることができる、クラウド型の業務ソフトの発達がある。 前回のコラムで紹介したチーム・コラボ・ツールの「スラック」や、会計ソフトのインテュイットが提供する「クイックブックス・オンライン」などがその典型だ。 今や、先進国では第3次産業に従事する人が大半を占めている。アメリカでもサービス経済化が進行しているが、製造業全盛時代のような「みんなハッピーになる分配方法」が確立できておらず、1970年代以降、生産性は上昇しているのに給与水準は全く上がっていない(データはこちら)。 サービス業では、工場のようなきっちりしたスケジュールで動くわけにいかないことが多い。一時に顧客が集中したり、別の場所ではガラガラだったりするが、ガラガラでも人を張り付けておかなければならない。 一方、サービスを必要とする人も、「この特定のサービスをどこで誰に頼めばいいのか」「誰なら信頼できるのか」という情報探しに手間がかかることも多い。 要するに、業者側も顧客側も無駄な動きが多く非効率であり、これが「多くのサービス業は生産性が低く、給与が安い」という現象につながっている。ここまで見てきた多数のベンチャーは、この非効率をIT(情報技術)で解消しようという試みである。 「働き方」の効率が上がれば、働く人がより多くマージンを生み出し、たくさん稼げる可能性がある。一方、「情報の非効率」が解消されれば、これまで「面倒だから」使わなかったサービスを手軽に使うようになり、サービスそのものの市場が拡大する効果がある。 「サービス業の低賃金・低待遇」に立ち向かう このように「サービス業」の構造を変える可能性を持つオンデマンド労働だが、様々な問題も発生して深刻化している。 大きく分けて、2つの問題がある。1つは、「単価の低さや待遇の悪さがなかなか解消されず、格差は広がる一方」問題であり、もう1つは「現在の年金・労働法などの仕組みからこぼれ落ちる」問題だ。 冒頭で紹介したドライバーのように、タクシーや運送会社を辞めてフルタイムのオンデマンド運転手(この言い方は自己矛盾しているように聞こえるが、それはともかく)に転職する人が増えているが、もともと「本業や学業の合間にちょっとお小遣い稼ぎ」という働き方を想定したものであるために、一家の大黒柱になるにはいろいろ不都合がある。 仕事の入り方が不安定で、料金競争のために時間当たりの売り上げは減ってきており、十分な金額を稼ぐにはかなり長時間働かなければならなくなっている。ドライバーは「自営業者」の立場になるため、車両の購入も自動車保険も健康保険も年金も、すべて自己負担。従来型の労働組合も結成しづらい。 「オンデマンド」に隣接するパート・アルバイトの「ブラックバイト」状況や、家内労働やケア・ワーカー(介護、ベビーシッターなど)では従来から特に給与水準が低い問題も解消されていない。さらに、これらの人たちやオンデマンド労働者に「キャリアパス」が存在せず、将来に希望が持てない、といった問題もある。こうしたいろいろな「サービス・ワーカーの待遇改善」のために声を上げている人も、カンファレンスにたくさん登場した。 まだ決定打はないが、解決策はいくつか提案されている。例えば、「最低賃金を時間当たり15ドルに引き上げよう」、という運動をしているベンチャーキャピタリストがいる。 どちらかと言えば、「経営側」の立場の投資家がなぜ「労働運動」風のことをするかというと、「低賃金の人の比率ばかり増えると、消費者がいなくなってしまう。広汎な消費者層を健全に維持することが、経済全体の活性化・健全化につながる」という考えからだ。 もっと推し進めて、「ベーシックインカム」を提唱する学者も登壇した。アメリカにはなじまない考え方だと私は思っていたが、賛成する人もいるようだ。 また、現在企業での雇用にひもづいている福利厚生を企業から切り離し、個人が持ち歩けるようにする「ポータブル・ベネフィット」という仕組みも提唱されている。「オバマケア」とよばれる誰でも入れる公的健康保険制度はその第一歩とも言える。 従来型の労働組合が、ケア・ワーカーや新しいタイプのワーカーにリーチしようとする取り組みや、ばらばらに活動しているワーカーがネットを使って声を上げる「ネット上のアクティビスト」の取り組みも紹介された。こうしたアクティビストの活動により、スターバックスのバイトの労働条件が改善されたり、ニューヨークで服飾小売の過酷な労働慣行に当局が調査に入ったりするなど、成果も少しずつ挙がっている。 低い地位から抜け出せない悪循環を断ち切るためには、従来型の「4年もの長期間大学に行かないと学位が取れず、それに一生縛られる」という仕組みではなく、短期間で仕事につながるスキルを身に付け、少しずつ積み上げていく、「ナノ学位」などといった教育の仕組みや、こうした教育や経験を裏付けるオンデマンド労働者向けの認証システムを設けて「キャリアパス」を提供する仕組みも、時間はかかるが根本的な問題解決の仕組みとして提唱された。 リフトの共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のローガン・グリーン(右)と話すティム・オライリー(写真:海部 美知) 一気に解決は難しいとはいえ、そこはシリコンバレーのこと。「だから、もうこの世は終わりだ」という人はいない。
現代に至る「産業社会」の仕組みが成立した19世紀後半から20世紀前半、資本家が傍若無人に振る舞っていた時代から、労働運動がそれを押し返し、20世紀半ばには労働者が「消費者」となって、それまでよりもはるかに大きな富を生み出す仕組みに移行した。 現在は、「そんな100年スパンの産業社会がまた変革を迎えている時期に当たり、これからまた富を生み出し分配する新しい仕組みの時代を迎える。この時代を切り開いていくのは我々自身である」。これが、ティム・オライリーのまとめでもあり、またシリコンバレーの声であるようだ。 (敬称略) このコラムについて Tech MomのNew Wave from Silicon Valley ヒューレット・パッカード、アップル、インテル、グーグル──。世界のIT(情報技術)産業を牽引するこれらの米国企業を輩出し、米ハイテク産業の「聖地」であり続けてきたシリコンバレー。カリフォルニア州サンフランシスコの南方に広がるこの地は、ITバブルの崩壊を乗り越え、今なおハイテクやビジネスの新たなトレンドの発信源として世界の注目を集めている。シリコンバレー在住の経営コンサルタントでブログ「Tech Mom from Silicon Valley」の著者として知られる海部美知氏が、現地で話題のビジネスやハイテクのトレンドをリポートする。 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/216773/120300007/?ST=print どうして残業禁止が“新型パワハラ”なのか?
2015年12月8日(火)横山 信弘 「目標予算を絶対達成すべし」「目標を達成するのは当たり前」
営業のコンサルタントをしている私の持論です。ところが「絶対達成」と申し上げると「それはパワハラでは」と言い返されることがあります。 経営者や上司が社員や部下に対し、「目標未達の奴など生きている資格がない」「達成するまで自席に座るな」などと執拗に言い続けたとしたら、これはパワーハラスメントと呼ばれるでしょう。 私が言う「目標の絶対達成」とは、約束した時刻に待ち合わせ場所へ行くことと同じです。9時に会うと約束したら9時ちょうど、あるいは9時より前に行こうとするでしょう。それは当たり前のことです。遅刻したら死ねと罵倒しているわけではないのです。 ところで「パワハラでは」と言い返されると、私は「あなたの言っていることこそパワハラでは」と思ったりします。 やる気のある部下に「仕事はほどほどでいい。なぜそんなに頑張ろうとする」「目標達成だけがすべてではない。無理はしなくてよい」と上司が執拗に言い続けたとしたらパワハラではないでしょうか。 私はこれを「新型パワハラ」と呼んでいます。どういうことなのか、今回のバトルを読んでみてください。 ●人事部長:「社長、当社に『新型パワハラ』が横行しているようです」 ○社長:「なんだ、その『新型パワハラ』っていうのは。だいたい、うちの中間管理職にそんな元気のいい奴がいたか。3年前、親会社からここの社長に来て驚いたが、やる気のない部長とか課長ばかりじゃないか」 ●人事部長:「はい。それが問題でして。ご存じの通り、最近の若い子はすごくやる気があります。目標達成意欲が高いですし、自己研鑽しようとする意識もとても高いのです」 ○社長:「その通りだ。君たち人事部が頑張ってくれたおかげで、この2〜3年、本当にエネルギッシュな若いジンザイが当社に入ってきてくれた。ジンザイのザイは材料ではなくて財産の方だな」 ●人事部長:「はい、人財とはよく言ったもので。社員が150人しかいない当社のような中小企業でも毎年3〜4人、素晴らしい人たちが入ってきています。問題は10年以上も前に入ってきた中堅社員です。社長が仰る通り、やる気がない人が結構います」 ○社長:「やる気がゼロ。いや、やる気マイナスだな」 ●人事部長:「残念ながら20年ぐらい前に入った社員にマイナスが結構いますね」 やる気のない社員は「人罪」 ○社長:「ジンザイといっても犯罪の罪の方だな。『人罪』だ。社内にいるだけだから『人在』か」 ●人事部長:「社長の激しい目標達成圧力にも我関せずという態度を続けていますし」 ○社長:「まったくだ。それよりパワハラの話だ。あんな奴らが若い子にパワハラなんかするはずがない。パワーといっても、若い子たちのパワーに圧倒されているのじゃないか」 ●人事部長:「圧倒とか、そういうことではなくて、部課長が下からの達成圧力を無視し続けているのです」 ○社長:「下からの達成圧力……無視……分からないな」 ●人事部長:「若い社員が『目標を絶対達成させます』と言っても、『無駄な努力はするな』『そんなに頑張ることはない』と言って抑えつけているのです」 ○社長:「なんだって!」 ●人事部長:「パワーハラスメントの定義をメモしてきましたので読み上げます。『職権などのパワーを背景にして、本来業務の適正な範囲を超えて、継続的に人格や尊厳を侵害する言動を行い、就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与える』――これがパワハラです」 ○社長:「定義は知っているよ。頑張らなくていい、というのは困ったことだが、それが人格を侵害するかな」 ●人事部長:「合理性のない過小な要求をし続けることもハラスメントの範疇だそうです。職権を乱用し、部下の意欲をそいでいるわけですから。過剰なノルマを与え、激しいプレッシャーを与え続けるだけがハラスメントではないのです」 ○社長:「うーん。まだよく分からないのだが、それほど苦しいものかな」 「モンスターを倒さなくていい、ただ歩き回っていてください」 ●人事部長:「ロールプレーイングゲームをやっているのに、モンスターを倒さなくていい、ただ歩き回っていてください、と言われたらどうですか。ストレスかかりますよ」 ○社長:「確かに、それは気持ち悪いだろう」 ●人事部長:「ここへ来て、若手で調子を崩したものが2人ほど出てきました。彼ら彼女らはとてもやる気があり、真面目です。ところが、あれこれ上司に訴えても『頑張るな』『無理するな』と取り合ってもらえないので、精神的に参ってしまったようです」 ○社長:「何ということだ……」 ●人事部長:「一所懸命やろうとしても適当にあしらわれたり、不必要だと思われる仕事を振られて本来の仕事の邪魔をされるので、だんだん無力感を覚えたのだと分析されています」 ○社長:「誰かに分析してもらったのか」 ●人事部長:「はい。心療内科の先生に相談しました。『学習性無力感』と呼ぶそうです。自分が無力だと学んでしまった状態のようです。パワハラかどうかはインパクトと回数で判断されます。一回一回はさほど強烈ではなくても、執拗に繰り返されるとハラスメントと認定されます」 ○社長:「学習できるほど執拗に繰り返されたわけか。今年に入って時短が進み、現場はうまくいっていると思い込んでいた」 ●人事部長:「調べたところ、残業したいという若手に対し、『社長命令だから駄目だ』と言って帰宅させていたようです。お言葉ですが社長が管理者の評価ポイントに時間外労働の削減を加えたことが影響しています。売り上げとか利益という結果はそう簡単に出せませんが、残業削減なら簡単です。無理やり帰宅させてしまえばいいわけですから」 ○社長:「……」 ●人事部長:「心療内科の先生がおっしゃっていましたが、こういう以前とは違うパワハラが横行しているそうです。これが新型パワハラです」 ○社長:「なんともややこしいな。やる気のない管理者がやる気のある部下にそんなハラスメントをしているだなんて」 ●人事部長:「仕事があるのに無理やり退社させ、精神的に追い詰めているわけですが、『時短は社長の方針だし、若手に無理をさせないように指導しているのです』と管理者たちに居直られたら、人事部としてどう対処したらいいものかと……」 ○社長:「分かった。朝令暮改だが、時短の結果を管理者の評価ポイントから外す。それから私がここに着任した当初からやろうとしていたことを来年1月から始める。管理職の報酬から年功部分をほとんど無くし、年初に宣言した活動目標を達成できたかどうかだけで評価する。重点項目は新規顧客の開拓と若手の目標達成だ。やる気のある若手を伸ばせない管理職などいらん」 若手の覇気を奪っていないか 私は46歳です。同世代の中間管理職と話をすると「今の若手は覇気がない」「最近の子は何を考えているか分からない」などと愚痴をこぼされます。 本当にそうなのでしょうか。仕事柄、新入社員研修などで私は沢山の新人や若手に会います。若い人に意欲、やる気、情熱が足りないかというと、そんなことは全く感じられません。 人材紹介や就活支援をしているコンサルタントに話を聞いても私と同意見です。「昔と違って、最近の学生たちは真面目ですし、成長意欲が高い人が多いですね。成長意欲のない会社に紹介しづらいです」と言われます。 同世代の中間管理職が間違っていると決め付けるつもりはありませんが、若手について愚痴をこぼす前に、なぜそうなっているのか、考えてみてはどうでしょうか。ひょっとすると腫れ物を触るように接していたり、形だけの時短を強いたりして、それが若手の覇気を奪っているのかもしれません。 このコラムについて 横山信弘の絶対達成2分間バトル 営業目標を絶対達成する。当たり前の事です。私は「最低でも目標を達成する」と言っています。無論、そのためには営業目標に対する姿勢を変え、新たな行動をし、さらに上司がきちんとマネジメントしていかないといけません。本コラムで営業目標を絶対達成する勘所をお伝えしていきます。私は「顧客訪問を2分で終える“2ミニッツ営業”」を提唱しており、そこから題名を付けました。忙しい読者に向けて、2分間で読めるコラムを毎週公開していきます。毎回一つのテーマだけを取り上げ、営業担当者と上司と部下の対話を示し、その対話から読みとれる重要事を指摘します。 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/258310/120700024/?ST=print |