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「ドラギに裏切られた!」 世界の市場が欧州中央銀行に失望したワケ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46739
2015年12月07日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界」 現代ビジネス
■典型的な「ペイントレード」
12月3日、ECB(欧州中央銀行)は預金ファシリティ金利を0.1ポイント引き下げ、マイナス0.3%とし、量的緩和を2017年3月まで延長すると発表した。事前に0.2ポイント程度の追加利下げ、量的緩和の拡大を期待していた市場にとって、この発表は大きな失望だった。
失望の結果、為替相場ではユーロ安にかけていたポジションの巻き戻しが進み、ユーロは対ドルで3%超急伸、ドルは主要通貨全体に対して2%程度下落した。友人のトレーダーの何人かは、「ドラギに裏切られた」と言っていた。市場はかなりの踏み込んだ策を期待していたようだ。
今回のECB理事会後のユーロ高は、期待と裏切られた取引=ペイントレードの典型だ。10月にドラギ総裁が追加緩和を示唆して以降、投資家だけでなくエコノミストやストラテジスト等が、過度なまでにユーロ安、金利低下を見込んできた。
ペイントレードは為替相場にとどまらず、世界的な株価の下落にもつながった。そして、欧州での金利上昇が米国にも波及し、米国債も大きく売り込まれることになった。それに加えて、イエレン議長が12月利上げを示唆する発言をしたこともあり、長期金利は一時2.34%に達した。
実体経済が伸び悩む中、市場は金融政策に依存してしまっている。ディーラーやファンドマネージャーと話すと、「期待を抱かせた中銀が悪い」と自己弁護に回る声が多かった。それは、冷静にリスクを評価できていなかったことの裏返しだろう。ドラギ総裁の言う通り金融政策は期待に応えるためのものではない。
今回の動きを振り返ると、市場はECBの意思決定上の課題を見落としていた可能性がある。この点を軽視したがために、多くの投資家が政策への過度な期待を抱き、それが市場に浸透してしまった。
■ECBはドイツを説得できるか
ECBはいわゆるドイツリスクに直面している。これがECBの大きな課題であり、リスクでもある。追加緩和に否定的なドイツを、どこまで説得できるかが政策のカギである。それに失敗すると、再度市場が不安定になりやすい。
今回、ECBは、追加緩和拒否を貫くドイツを調整しきれなかったようだ。バイトマン独連銀総裁、ドイツ出身のラウテンシュレーガー理事は追加緩和に反対した。意見の違いを強調するかのように、ECB理事会後、バイトマン総裁は追加緩和に反対であることを改めて言明した。
一方、ドラギ総裁は会見で、追加緩和は必要に応じて検討すると発言し、一定の期待をつなぎとめたともいえる。また、総裁がこれまでの政策効果に自信を示したこともあり、すぐさまECBの政策手腕に疑義が生じる状況でもなさそうだ。
ドラギ総裁が米欧間の政策の違いを利用し、政策効果の発揮と政策余地の確保を狙ったとの指摘もあるようだ。それは過度な期待を諌めるためにも有効かもしれない。
ただ、景況感が軟調な中、期待の剥落はリスクオフを引き起こしやすい。他国の利上げの可能性にベットして政策を調整するリスクは小さくはないはずだ。
今後の問題は、ECBの政策委員がドイツの主張を調整しきれるかだ。今後も、ドイツは追加緩和に対して批判的な立場をとり、それが市場を混乱させてしまうリスクがある。この点を抑えた上で、中銀と市場のコミュニケーションも考えた方が良い。
予想を上回る雇用統計を受けて12月中の米利上げが確実視される中、米欧の政策の違いが鮮明になっている。その中でのペイントレードはボラティリティの急上昇を引き起こしやすい。
その動きに巻き込まれないようにするためには、過度に政策に期待していないか、今一度足許の投資環境を冷静に見直す必要がある。
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