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「牛丼がTPPで激安になる」という噂のウソ 関税見直しで、日本の食は激変するのか
http://toyokeizai.net/articles/-/95330
2015年12月07日 西澤 佑介 :東洋経済 記者
「牛丼一杯が110円になる」――。
今年10月に参加12カ国で大筋合意したTPP(環太平洋経済連携協定)が今後もたらすと予測される変化について、早くもこんなうわさがネット上で飛び交っている。いったい本当にありえるのか。各方面を取材してみた。
今回のTPP合意内容によると、牛肉は現行38.5%の関税が、発効後16年目以降には9%まで引き下がる。主に北米から牛肉を輸入している各社にとって、関税は調達コストの一つ。それが30%近く下がるのだとしたら、その影響は大きそうにみえる。
■関税引き下げだけで値下げできない
しかし、すき家本部の興津龍太郎社長はこう話す。「人件費など諸コストが上昇トレンドにあるなか、TPPだけで値下げをするのは現実的ではない」。吉野家の河村泰貴社長も、呼応する。「輸入牛肉は現地相場や為替動向などさまざまな要因で決まるため、関税の引き下げだけで値下げをすぐに決断するのは難しい」。
牛丼各社の答えは「難しい」。その真意を図る上でもTPPの効果を計算してみよう。
牛丼チェーン各社が使用する牛肉は、主に北米産のショートプレート(牛バラ肉)である。現在の価格は1キログラム当たり約600円。これがTPP発効後16年目以降になると関税が29.5%下がるため、1キログラム当たり471円と、129円下落する見込みとなる。
牛丼チェーンによって異なるが、牛丼並盛1杯に入っている牛肉の量はおおむね100グラム前後が主流。そこからTPPの影響を推計すると、関税引き下げによって牛丼並盛1杯の牛肉調達コストは12.9円下がることになる。つまりせいぜい10〜20円程度の値下げ余地しか発生しないことになる。
そうであるならば1年で3〜4割の乱高下がしばしば起こる牛肉相場や、為替レートの変動のほうが影響は大きくなると考えるのは自然な話。多忙なサラリーマンの胃袋を満たす “サラメシ”の代表選手、牛丼がTPPによる値下げの恩恵に浴するのは難しそうだ。
サラリーマンの味方である牛丼がこれ以上安くなるのは難しいだろう
スーパーに売られている牛肉パックについても、小売り各社を訪ねると、残念ながら似たような意見が返ってきた。「うちの営業担当はTPPより相場の動向を気にしている。関税よりも振れ幅が大きいからね。加工肉は価格が下がるという説もあるが、結局は商社などにサヤを抜かれるのではないか」(東京地盤の小売り大手)。
為替レート、原材料市況、その時々の需給。関税は確かにそうしたコストファクターの1つにすぎないのは事実。それ以上に食肉のような流通量の大きい基幹商材の場合は、経営への悪影響を懸念して流通業者も値下げを渋りがちだ。つまり、牛肉の値下げ効果にあまり消費者は期待してはいけない。
■はちみつはTPPの恩恵を受ける?
一方で、実際に消費者メリットが及びそうな商品もある。その一例が、「はちみつ」だ。TPP発効から8年目に、25.5%の関税が撤廃される。
はちみつは国内需要の9割が輸入で賄われている。しかも、その輸入の8割は中国産だ。中国産が多いのはひとえに広大な自然を生かした量産能力からくる安さゆえだが、一方で品質に対する日本国内の不信感は小さくない。中国産はちみつの輸入販売を行うメーカーは「中国で行った品質検査の結果を日本で再照合し、問題があればすぐに輸入をストップする」と警戒する。
そのはちみつも、TPP発効後は中国以外からの輸入増が期待できそうだ。加盟国の中ではカナダ、ニュージーランド、メキシコ、オーストラリアが、はちみつの主要生産国だ。たとえば加盟国のニュージーランドは「マヌカハニー」という抗菌作用を持ち、風邪やインフルエンザの予防効果も期待される人気のはちみつで有名だ。現在日本では1瓶2000円以上するする高級品だが、今後はもっと手頃な値段で店頭に並ぶようになるだろう。
牛肉のような食卓の中心的商材が値下がる保証はない。しかし、はちみつのように新しい輸入食品が増えるなどして選択の幅が広がるメリットは間違いなくあるだろう。
12月7日発売の週刊東洋経済12月12日号は『TPPで激変する 日本の食』を特集している。大筋合意以後、品目ごとの関税撤廃率は公表されたものの、いまだにわかったようでわからない、TPPにまつわるホントとウソを、日本の食と農業に焦点を当てて検証した。
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