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東海道新幹線の車内ではおなじみの"この光景"も、来年3月以降は自由席だけでしか見られなくなる(写真:John S Lander)
新幹線の「車内改札」が今になって終わる事情 不評の多かった"恒例行事"がいよいよ廃止に
http://toyokeizai.net/articles/-/95335
2015年12月05日 大坂 直樹 :東洋経済 記者
「きっぷを拝見いたします」。東海道新幹線の車内で仕事などに没頭していたとき、車内改札でハッと現実世界に呼び戻された経験は誰にもあるだろう。何かと不満の多い“恒例行事”だが、鉄道営業法には「乗客は車掌から請求があれば、切符を提示しなくてはいけない」と定められている。
その新幹線の車内改札を、JR東海が廃止すると発表した。2016年3月のダイヤ改正日から実施する。車内改札をやめるのは指定席とグリーン席で、自由席ではこれまでどおり、車掌が切符を直接確認する形で改札する。
指定席の乗客であっても、きっぷに記載されていない席に座っている場合は確認されることがある。学生割引やジパング割引など各種割引きっぷの利用者は、割引資格を確認できる証明書の提示を求められる場合もある。
■東海道新幹線だけ取り残されていた
ほかのJRの新幹線はどうなっているのか。JR東日本は2002年12月に新幹線での車内改札を廃止した。JR九州の九州新幹線も車内改札を行っていない。JR西日本は東海道・山陽を直通する新幹線では車内改札を行う一方、東海道とは直通しない山陽新幹線では省略している。タイミングは遅れるかもしれないが、今後は東海道・山陽直通の新幹線もJR東海に合わせる形で車内改札をやめることになる。
これらの新幹線が車内改札をしていないのには理由がある。新幹線専用の自動改札機を通過すると、きっぷに記載された指定席の情報が車掌の携帯情報端末に伝送され、端末上で指定席の利用状況を把握できるからだ。
では、JR東海がこうした情報システムを開発していないかというと、そんなことはない。他社同様、JR東海の車掌も携帯情報端末を装備しており、指定席の利用状況を常時把握している。
にもかかわらず、なぜJR東海だけが今まで車内改札を続けてきたのか。それは、運行本数の多い東海道新幹線では、指定席券を持っていても自分の都合で前の列車や後続列車に乗ってしまう利用客が少なくないためだ。
車内改札廃止の背景には「エクスプレス予約」の普及があった
違う列車の指定席に座った乗客と、本来の指定席の持ち主とのいざこざが時々起こるという。それならば、利用客全員に車内改札を実施したほうが手っ取り早い。これが従来のJR東海の主張だ。
だが、インターネットできっぷの予約や変更ができる「エクスプレス予約」の利用客が指定席の3割を占めるまで普及したことで、状況が変わった。エクスプレス予約なら、発車時刻4分前までであれば、列車の変更が可能だ。指定された席以外に座る乗客はグンと減った。
■新端末でビジネスマンの"裏技"に対応
指定席の車内改札廃止の背景には、もう1つ、見逃せない要因がある。それは自由席の車内改札を引き続き行うことと密接に関係している。
時間に余裕を持って駅に到着した場合、本来乗る予定だったものより前の列車に飛び乗り、自由席を利用する乗客は少なからずいる。最近よくあるのが、窓側などに装備されているコンセントを目当てにしたケースだ。
利用者の多い東海道新幹線は、席が空いているといっても、コンセントがある窓側は埋まっていることが多い。そのため、通路側の指定席をとりあえず確保しておいて、前の列車や当該列車の自由席の窓側に空きがあれば、そちらに座るという“裏技”を使うビジネスマンもいる。
こうした理由で指定席の乗客が自由席に座っていることを車内改札で確認したら、車掌は携帯端末でその乗客が購入していた指定席の返席を行う。これによって、その指定席が販売可能になり、ほかの乗客が購入できるようになる、というわけだ。
たとえば、東京から新大阪方面へ向かう新幹線では、品川を出てすぐに自由席を改札して後続列車の指定席券を持っている乗客がいたら、返席することで新横浜から新大阪方面に向かう乗客に販売することができる。品川―新横浜間では時間がわずかしかないが、名古屋から新大阪方面に向かう人が購入するのは十分可能だ。
従来は、指定席の返席情報が当該列車の車掌が持つ携帯情報端末に伝えられず、新たに購入した指定席情報と重複表示されていた。だが、携帯情報端末を改修したことで、乗客の利用状況を正確に把握できるようになった。これもJR東海が車内改札の廃止に踏み切った理由の1つといえる。
車内改札の廃止で気掛かりな点もある。これまでJR東海は、車内改札を行う理由について「お客様一人ひとりに声をかけることで、車内サービスの向上にも役立つ」と説明していた。実際、車内改札が煩わしいという意見がある一方で、6月に起きた焼身自殺をきっかけに、車内の安全対策を強化すべきとの声も増えている。
JR東海は「車内の巡回は引き続き行う」としている。が、車内改札がなくなれば、現在「のぞみ」だと3人いる車掌の数を減らし、効率化を図ることは十分考えられる。単純に車内改札のために割いていた人員を削減するのか、あるいは、サービスや安全性の強化に振り向けるのか。今後の方向性は注目だ。
■改善すべき点はほかにもある
北陸新幹線は全席にコンセントが付いている(撮影:梅谷秀司)
コンセントの設置など、ほかの新幹線より先行しているサービスもある東海道新幹線だが、車内改札以外にも改善すべき点はいくつもある。
よく指摘されるのは、座席に残されたゴミの後始末だ。座席の下や座席背面の荷物網に弁当の空箱などを置きっぱなしにして乗客が途中駅で下車すると、次にその席に座る乗客は不快に感じる。
車内アナウンスで「ゴミをお片付けください」と注意喚起しているが、他社の新幹線では客室乗務員がゴミ袋を持って回収する光景を見掛ける。車内販売でコーヒーを買うと、ゴミ袋をいっしょに渡してくれる販売員もいる。JR東海も、こうしたサービスは積極的に取り入れていいはずだ。
インターネットにつながりにくいとの指摘も多い。東海道新幹線の車内インターネット接続サービスは高速での走行に対応した通信方式のため、1秒間に通信できるデータの量が制限されている。「一度に120〜130人が使うと、容量がいっぱいになる」という専門家の指摘もある。
1車両当たり7〜8人が同時に接続すると、つながりにくくなる計算だ。JR東海も「高速の回線速度を必要とする動画やデータの閲覧には不適」と認めている。ほかの新幹線では見られないサービスだが、環境を改善してほしいと願うビジネスマンは少なくない。
現在は窓側と車端部にしか設置していないコンセントも、すでに北陸新幹線E7系は全席に装備している。今後投入を予定している車両では、装備を検討してもいいのではないか。
1964年の開業当初、東海道新幹線の最高時速は210キロメートルだったが、50年の歳月をかけて時速285キロメートルまでスピードアップした。ハード面でストイックな開発努力を重ねてきたJR東海だからこそ、ソフト面のさらなる改善にもついつい期待を寄せてしまう。
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