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上海市内を流れる黄浦江沿いの旧英米共同租界に建つ1923年竣工の旧香港上海銀行(匯豊銀行)ビル
人民元の波紋、狙うは世界の石油市場 国際化シナリオに立ちはだかる厄介な壁
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151204-00000502-biz_fsi-nb
SankeiBiz 2015/12/6 08:06
摩天楼の夜景が連なる上海の国際金融センター浦東新区。日本政府のある高官が感慨深げにつぶやいた。「10年前、中国側が明かしたシナリオ通りだ」。2005年7月21日午前。中国人民銀行(中央銀行)から呼び出された高官は事前通告を受けた。元の為替相場を事実上の固定相場制から管理フロート(変動相場)制に転換する重大発表を夕方行うという。同時に、「10年内に人民元は円を追い越し、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨入りする」との雑談での発言も聞き漏らさなかった。
高官は「人民銀行きっての国際派で内政への野心なき周小川総裁が元の国際化シナリオを描き、執念で実行している」とみる。03年に総裁に就いた周氏は異例の3期目に入っている。胡錦濤政権時代から閣僚級ポストにある希有(けう)の存在だ。戦後の国際金融秩序を切り崩し、通貨によって経済覇権を狙う中国の壮大なシナリオは確実に実行に移されているとみていい。
習近平政権の政策ブレーンでもある上海の大学教授は「次なる戦略は中東やアフリカの産油国からの原油輸入の代金決済をドル建てから元建てに切り替えさせること」と明かした。SDR入りしたとはいえ元は、ハードカレンシー(国際兌換(だかん)通貨)としての自由度はまだない。だが、欧米国際石油資本(メジャー)がドル建てで支配し続ける世界の石油市場をこじ開ける“武器”になることは確かだ。
教授によると、中国はSDR入りを足がかりに、まず産油国や周辺国に外貨準備の構成通貨への元組み入れを要請する。さらに年内に北京で創設される国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)も利用し、元建てによる低利の制度金融でインフラ建設も提案するとみられる。その過程で中国は原油の輸入代金を元建てで支払うルートを確立。メジャーが仕切るドルの国際石油秩序に対抗する戦略だという。中国の習近平国家主席は4、5の両日に南アフリカで開かれる「中国・アフリカ協力フォーラム」首脳会合に出席し、新たな支援策を発表する。会合には、中国と親密なアンゴラなどの産油国も参加する。
しかし、習政権と人民銀行が悲願とする元の国際化シナリオには厄介な壁も立ちはだかる。目前に迫るのが米国の利上げ観測と元の下落リスク。実体経済の悪化と経済成長の減速で、国際金融市場は元安におびえている。米連邦準備制度理事会(FRB)が年内にも事実上のゼロ金利の解除に踏み切れば、「ドル買いが進み、元は暴落するかもしれない」と市場関係者は気をもむ。SDR入りの最終局面をにらんで人民銀行は今年8月、市場を徹底管理する制度を放棄する形で自由化を一歩進めた。今後も元の相場安定を確保したいなら、外貨準備を取り崩して元買いドル売りで介入せざるを得ない。外貨準備高は既に減少傾向にある。
さらなるリスクは、元が実際にSDRに組み入れられる来年10月まで、中国経済が安定成長を保てるかどうかだ。今年の実質国内総生産(GDP)成長率は政府目標の7.0%達成すら微妙な情勢だ。貿易の前年割れ、投資と消費の不振が続く中で、国家統計への信頼性にも疑問符が付く。不良債権問題をコントロールできず、国際金融市場から「ノー」を突き付けられる事態となれば中国経済が揺らぐ。市場さえも管理できると考えているようにみえる習政権が市場に振り回され、たじろぐ局面も想定しておかねばなるまい。
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