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東芝本社ビル(「Wikipedia」より/Lover of Romance~commonswiki)
東芝、巨額損失隠蔽発覚で経営危機が現実味増す 東証の開示義務を無視し市場を欺く
http://biz-journal.jp/2015/12/post_12729.html
2015.12.06 文=編集部 Business Journal
「やっぱり」と受け止めた向きが多かったのではないのか。
東芝の重要子会社、米原発大手ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が大きな損失を出していた。「日経ビジネス」(日経BP社/11月16日号)が「東芝、米原発子会社で巨額損失」と報じた。同誌は、東芝経営陣の電子メールのやり取りなど内部資料を入手。WHの単体決算は2012年度と13年度に2年連続で赤字に陥っていたと明かし、東芝はこの事実を認めた。
日経ビジネスは東芝の不正会計問題について広く情報を求めるサイトを開設しており、内部告発が次々と寄せられているという。内部告発がなければ、WHの損失は明らかにならず、東芝は事実を隠し続けていたことだろう。
これまで東芝は、WHの業績を詳細に説明してこなかった。11月7日の土曜日に開かれた15年9月期中間決算の発表でも、平田政善CFO(最高財務責任者)は「(原発事業は)世界的に冷え込んでいるように見えるが、サービス(保守点検)や燃料事業は増えている」と述べ、「原発事業は順調に推移している」と従来の主張を繰り返した。
株式市場では「WH関連の資産価値を大幅に引き下げ、東芝は巨額の損失を計上することになるだろう」と見ていた。だが、東芝は「新規建設以外の原発事業は順調」として、WHの資産価値を下げていなかった。WHの巨額赤字報道に「やっぱり」と考える市場関係者は多い。
■東証の開示義務違反
東京証券取引所から「情報開示に不備があり、内容を公表すべきだ」との指摘を受けた東芝は11月17日、WHの減損損失を正式に公表した。12年度と13年度の2年間の損失合計は計13億ドル(約1158億円)に上った。WHは12年度決算において原発事業で762億円の減損を計上した。内訳は、新規建設で557億円、原発の監視制御システムの保守を担うオートメーション関連で205億円だ。
11年の東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で、原発関連の受注は苦戦を強いられている。買収した企業のブランド価値である「のれん代」が下がるのは当然の成り行きで、今回損失処理の公表に追い込まれたわけだ。13年度は新規建設で394億円の損失を計上した。
子会社が大きな損失を出せば親会社の経営に影響し、株価が下がる。このため東証は、子会社の損失が親会社の連結純資産の3%以上になる場合、迅速な情報の開示を求めている。
東芝の11年度連結純資産は、不正会計問題による訂正前で1兆2302億円だった。これに対してWHグループの12年度の減損損失は762億円。前年度純資産の6%に相当する。当然、開示の義務があった。
東芝は「意図的に損失を隠したわけではない」と釈明している。東証に開示義務違反を指摘され、東芝は仕方なく公表した格好になった。
■のれん代という重荷
東芝は06年にWHを5400億円で買収し、のちに出資額は6600億円に増加。当時のWHの純資産は2000億円程度とみられ、差し引き3500億円相当を東芝は「のれん代」として計上した。東芝が採用している米国会計基準では、毎年減損テストを行い、価値が簿価を下回ると減損することになっている。
東芝は15年9月末時点で、WHののれん代3441億円を資産に計上している。WHを含む東芝全体の原子力事業の「のれん及び無形資産」は5156億円に達する。WH全体の収益性が低下すれば、のれん代の減損処理で東芝本体に巨額損失が生じる恐れがある。
東芝の16年3月期決算に対して、一層外部の目が厳しくなる。
「監査法人の新日本監査法人も、東芝に言われるがままに決算を『適正』とすることはできないだろう」(大手監査法人幹部)
WHでどの程度減損処理をするのかが、東芝の決算の最大の焦点となるだろう。
危機感を募らせた東芝は、WHの経営が順調にいっているとの広報に力を入れる。11月20日付朝日新聞でWHのダニエル・ロデリック社長兼最高経営責任者(CEO)は「来年、インドで新たに原発6〜12基の建設を受注する見通しである」と述べた。同氏は「原発の新規建設から保守点検などに事業の中核を移している」とした。
東芝の不正会計問題で株価が下落して損害を受けた個人株主70人が12月中旬までに、東芝を相手取り、3億円の損害賠償を求めて集団訴訟を起こすという。同社の株価は決算の不正問題が発覚する前日の4月2日には510円だったが、11月20日の終値は290.4円で4割以上下落した。年初来の安値は11月25日の281.0円。ほぼ最安値圏にある。これ以上、集団訴訟の参加者を増やさないためには、株価を上げる好材料を提供する必要がある。
受注契約を正式に結んだわけでもないのに、WHのCEOが「インドで6〜12基の原発を受注する」とメディアに明らかにしたのは、株価引き上げ作戦の一環とみられるが、東芝の苦しい台所事情をのぞかせる。
■減損テスト
室町正志社長は11月27日、ようやくWHの業績についての説明会を開き、業績を初めて公表した。「自分が先頭に立って、積極的な(情報の)開示に努める」と誓ったが、市場が室町社長を見る視線は厳しくなっている。WHの減損について「残念だが、(WHの担当ではなく)まったく認識していなかった」と平然と述べたことは、市場関係者を驚かせた。
発表によると、06年度の買収以来、WH単体の営業損益の累計は2.9億ドル(約354億円)の赤字。減損を実施した12年度に8.6億ドル、13年度に5.7億ドルの損失を計上したことが響いた。
連結決算を減損しなかったことについて、同席した志賀重範副社長は「減損テストは適切に行われている。ルールに従っているので、意図的な結果ではない。原子力事業全体としてはビジネスが順調に進んでいる」と、これまでの主張を繰り返した。
14年度以降、WH単体としてではなく、東芝グループの原子力事業として国内外一体に変更して、のれん代を算出している。減損テストの詳細については、各事業が持つ価値を帳簿上の価格である簿価と業績などを反映した時価とを比較し、時価が簿価を下回った場合に企業のブランド価値を示すのれん代を見直し、減損処理を行うと説明した。
WHは12、13年度に損失を計上したものの、東芝全体の原発事業は両年度とも原発燃料の製造・販売や保守・点検事業が好調で、減損を回避したと釈明した。原発事業全体の評価額が13年3月期は7616億円、14年3月期は6669億円と、初めて具体的な数値を明らかにした。
さらに、原発事業の将来計画も公表。16年3月期には営業黒字に転換して利益を伸ばし、19年3月期から12年間の年平均の営業利益は1500億円に膨らむとした。WHが米国やインドなどで計64基を受注・建設する見通しがあるからだという。
差し迫った問題は、来年1〜2月に予定しているWHの減損テストだ。WHの減損によって、東芝本体の資本が毀損する恐れが強まるだろう。
東芝株は不正会計問題の影響で、東証から「特設注意市場銘柄」に指定されていることから、増資や社債発行による市場からの資金調達は難しい。室町社長は株式資本が毀損するリスクの対応策として、「フラッシュメモリを中心とする半導体事業を分社化して、IPO(新規株式公開)を検討する」と踏み込んだ発言をした。半導体事業は室町社長の“天領”だが、原子力は門外漢。64基を新規に受注するという計画が実現可能かどうか、社長として踏み込んだ検証をする必要がある。同席したWHのロデリック社長は「世界中で原子力の需要が高まる」と語ったが、その一方で「WHはやるべきことをやった」としており、WHの減損を開示しなかったのは東芝の判断だったことを示唆した。
「東芝がWHを十分にコントロールしているようには、とても見えない」(業界筋)
東芝は、いよいよ追い込まれてきた。
(文=編集部)
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