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【永久保存版】予算別「入りたい老人ホーム」ベスト100 これでもう迷わない!施設、食事、サービスを徹底比較
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46617
2015年12月05日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
「終の棲家」探しは、人生最後の大きな選択だ。本当にいい環境で充実したサービスを受けられる施設はどこか?専門家らの意見をもとに、予算別に100軒のホームを厳選する。
■地域社会と交流がある楽しさ
午後3時。賑やかで楽しい時間の始まりだ。
次々と近所の子供たちが小遣いをもってやって来ては、わくわくしながら駄菓子を選んでいる。
ここは東京都足立区にあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「銀木犀」の一角にある駄菓子屋だ。毎日午後3時から5時までオープンするが、多い時は50人くらいの子供たちが訪れる。
店番に立つのは會川和男さん(84歳)。今年5月に大腿骨を骨折してから、この施設に入居している。認知症も患っており、入居時の要介護度は最も重い5。当初は車椅子での移動がやっとだったが、駄菓子屋の店番を任されてから、めきめきと回復したという。同施設を運営するシルバーウッド代表取締役の下河原忠道氏が語る。
「いまでは店が開く時間になると、補助杖を持ったまま歩いてくるほどで、杖の意味がないくらいです。早く店に立ちたいから、自分の足で歩く。それがなによりのリハビリになっています。認知症ですから、なかなかコミュニケーションが難しい面もありますが、意外に子供たちとはうまく交流できるんですよ」
銀木犀の建物は、木材の温かみが感じられる北欧風のテイストに、障子など和の要素を取り入れた心地よいデザインだ。しかし意外なことに入居費用は、決して高くない。家賃、共益費、食費、生活支援サービス込みの価格で、一番安い部屋が月13万9800円〜。入居時には敷金、礼金、手数料など一切かからない。
低コスト施設にありがちな安っぽさや寒々しさとは無縁なのは、同施設の経営方針と関係しているのだろう。
「ここは高齢者施設ではありません。あくまで入居者たちに自由に楽しんでもらう賃貸住宅なのです。私たちは必要以上のケアはしませんし、自立支援以外はやりません。24時間出入りも自由です」(下河原氏)
自由で温かみがあり、しかも値段が安い——現実には銀木犀のような施設を探すのは、なかなか難しい。
老人ホームにはいくつか種類があるが、入居待ちが解消されない特別養護老人ホームを除くと、大分してサ高住と有料老人ホームがある。
サ高住とは介護サービスを外部委託する賃貸住宅で、入居一時金が必要ないなど低コスト。国から建設補助金が出るため、近年乱立気味で、その数はすでに18万戸以上だ。
一方、有料老人ホームは公的補助がなく、高額になりがちだが、価格が高いものは充実したサービスや設備が期待できる。施設数は9500以上。
そこで本誌は、老人ホームの事情に詳しいコンサルタントやアドバイザーの意見をもとに、現在、日本で最も安心のおけるサービスを受けられる「究極の老人ホーム100軒」を選出した。
選考の過程において心がけたのは、「予算別」であること。できるだけ低めの価格帯から高めのものまで5段階に分けた。入居一時金のある施設については5年入居した場合の月額に換算し、価格が一目瞭然になるようにした。対象としたのはサ高住と有料老人ホーム(介護付き・住宅型)。入居難易度の高い特別養護老人ホームなどは扱わない。(5ページ目より予算別のリストを掲載)
■ほどほどのサービスの良さ
いうまでもなく、高齢者施設に入るのにかかる費用はまちまちで、その格差は10倍以上ある。価格が高くなればよりよい環境とサービスが提供される可能性は高まるが、必ずしも安い施設のすべてがお粗末なわけではないし、その逆もまた然りである。
ホーム選びの基本について、シニアの暮らし研究所の岡本弘子氏はこう語る。
「人件費が、ホームの価格差を生む一つの大きな要因になっています。まずはホームの案内書を見て、介護を含めて施設のスタッフが何人いるのか確かめましょう。
ただスタッフのスキルや性格などは価格の高低とは関係がありません。この見極めは難しいのですが、一つはホームの実績をチェックすることです。サービスは経験値がものをいいます。何年くらい事業をやっているのか、どれくらいのホーム数を経営しているのかを見れば、その施設の安定性が見えてきます」
長年、高齢者施設で働いた経験から自分の理想の施設を作り出したのが、千葉県松戸市のイハナハウスを経営する稲田幾子氏だ。
「私は2ヵ所の有料老人ホームで13年の間、施設長を務めた経験があります。そして『こういう点がイヤだ』と思ったことをすべて排除して、'06年にイハナハウスを立ち上げたのです。
例えば、有料老人ホームには高いお金を払っているからといって、なんでも施設の人に頼りがちになってしまう人がいました。しかし、自分でできることをしないようになると心や体が弱りやすい。
ですから、うちの施設ではできるだけプライベートを大切にしながら、困ったときだけ24時間体制でサポートするようにしています。入居一時金もいただきません」
この施設は普通のマンションのような構造で、顔を合わせたくなければ各居室から誰にも会わずに出入りできる。食事やイベントなどで使う共用スペースもあるが、そこを利用するかどうかは各人の自由だ。
食事も朝食540円、昼食324円、夕食864円で食べられるものの、外食や自炊がしたければ自由にできる。32uの部屋で朝夕食事サービスを利用すると、月額約20万円くらいになる。
なるほど、高いお金を払って豪華な施設に入るのは快適かもしれないが、それなりの価格で健康状態に見合った最低限のサービスだけを受けながら、自立した人生を歩んだほうが健やかで幸せな晩年を送れる可能性もある。
もちろん、有料老人ホームには有料老人ホームの良さがある。高齢者施設のコンサルティングを行うタムラプランニング&オペレーティングの代表取締役・田村明孝氏が語る。
「介護付き有料老人ホームの平均額は、月額24万円です(5年入居時)。このクラスで安心できるブランドとなると『ゆうゆうの里』『まどか』『みのり』『チャーム』『クラーチ』などですね。月額20万円以下になってくると、いろいろと怪しい施設も出てきますので要注意です。
『クラーチ』はサービスの質を良くしようという意欲が高いですね。食事とか介護、医療をどうすればより良くできるか考えている。もともとは医療の立て直しをやるファンド系の会社でしたが、最近では自分たちでホームを開設しています。
『クラーチ・ファミリア佐倉』は高齢者住宅の経営者たちが選ぶ『リビング・オブ・ザ・イヤー2015』のファイナリストにも選出されました」
■最高品質の「睡眠」を提供する
実際に、クラーチ・ファミリア佐倉(千葉県佐倉市)を訪れてみた。最初に目についたのは、高齢者施設らしからぬお洒落なイタリア風カフェだ。ここではバリスタによるエスプレッソ講習を受けたスタッフが本格的なコーヒーを淹れてくれる。
同ホーム長の福井光彦氏が語る。
「入居者の方のいちばんの楽しみはやはり食事ですので、かなりこだわっています。ご飯は炊飯器ではなく、釜で炊いていますし、パンはフランスからパン生地を直輸入して焼き立てを召し上がっていただけます。調理する側がルーティンの作業にならないように、常に調理スタッフには改善を求めるようにしています。
美味しいコーヒーを提供するのも、ご家族の方にまた来たいと思ってほしいからです。人の出入りが多く、いろいろな方の目に触れることでスタッフにもいい緊張感が生まれますから」
もう一つこだわりの設備が、パラマウントベッドの最先端医療福祉機器「眠りスキャン」だ。これはベッドのマットレスの下にセンサーを敷き、心拍数や脈、睡眠・覚醒のリズムを把握する装置だ。睡眠時の健康状態を細かく観察することで生活リズムの改善や、薬の処方の参考にするのだという。
一番狭い部屋で入居一時金が380万円。5年入居した場合の平均月額は23・8万円だ。東京都心からの距離を考えると立地の不便さはあるものの、これだけのサービスを受けられることを考えればリーズナブルな価格設定だと言えよう。
さらに価格帯の高い施設になれば、ハード面はますます充実する。横浜駅から18分。センター南駅から歩いて3分の駅近に「グッドタイムリビング センター南」はある。駅からの道には一切の段差がなく、施設と歩道の境目もすべてフラットになっている。
■24時間の安心見守りシステム
9階建ての建物のなかでも特筆すべきは、「スペシャルケア・フロア」と呼ばれる2階の設備だ。ここには施設を運営するオリックス・リビングが、自社の研究所「オリックス・リビング・イノベーションセンター」や他社と共同で開発した最新設備が導入されている。
例えば壁収納型のリフト「スウィングリフト_ココロ」。ベッドの枕元にアームで動くリフト(椅子のような形状)が収納されており、それに腰かけると自分の力で立ち上がれない人でもベッドから洗面台やトイレに移動できるという優れものだ。使用時以外はコンパクトに収納できるので、室内が狭くなるということもない。
他には次世代予測型見守りシステムの「ネオスケア」。これは赤外線カメラでベッドの様子を撮影するもので、24時間、看護スタッフの一人一人がタブレットで映像を確認でき、ベッドからの起き上がり時の転倒リスクを回避してくれる。入居者のプライバシーを保護するために、映像はシルエット画像になっている。
「このシステムは、ご本人の希望をうかがい、家族の方の同意もいただいた上で利用しています。最近では、老人ホームでの虐待がニュースになることも多いので、ご家族の方からも『録画してもらっていることで逆に安心できる』という声をいただいております」(同施設広報担当者)
高価格帯の施設だけに、食にもこだわっている。通常食の他に、季節ごとの特別食が提供され、お造りから茶碗蒸し、天ぷらまで蟹尽くしで供される会席料理の日もある。「日本の郷土料理の旅」と銘打って、1年かけて全国の味めぐりを楽しむ企画もあった。
入居者には知的好奇心の高い層が多く、カルチャー・プログラムのレベルも高い。11月には外部から講師を呼んで「坂本龍馬」や「モネと印象派」についての講座が開かれた。
以上のように、価格帯によって受けられるサービスや施設のレベルはそれぞれだ。ただ、今回紹介した100軒はどこも、その価格なりの充実したサービスを提供していると評判の施設ばかり。幸福なセカンドライフを送るための舞台選びに活用してもらいたい。
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