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円安限界論、増益鈍れば2016年株高シナリオに黄信号−還元重要も (1)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NYM4IB6JTSE901.html
2015/12/03 10:00 JST
(ブルームバーグ):利上げ秒読みの米国、異次元緩和を続ける日本との金融政策差から為替市場でドル高・円安が進みやすい状況にもかかわらず、ドル・円はことしの円安値を抜け切れない。過去3年余りで50円近く円安が進行、6月に1ドル=125円を付けた際には要人のけん制発言もあり、投資家の間では円安限界論が芽生えつつある。日本企業の増益率が鈍れば、2016年の株高シナリオに黄信号がともる。
日経平均株価構成銘柄で通期業績計画を公表する企業の15年度想定為替レートは1ドル=119.76円、実勢との乖離(かいり)は12年12月の第2次安倍政権誕生後で最小となっている。ブルームバーグがまとめた市場関係者のドル・円予想は、来年4−6月期、10−12月期時点でともに1ドル=125円、17年は123円を見込む。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの三沢淳一チーフファンドマネジャーは、「来期の企業業績をみる上で、為替で下駄を履くことは期待しない方がいい」とし、円安が進んでも、「1ドル=125円くらいまでがいいところ」とみている。
ドル・円は6月に1ドル=125円86銭と、13年ぶりのドル高・円安水準に振れた。安倍政権のデフレ脱却方針と日本銀行の大規模金融緩和を材料に、12年秋の1ドル=77円台から13年末には105円台となり、停滞を経て、日銀が追加緩和を行った昨年10月以降に円安の勢いが加速した。過去3年の円の年間下落率は12年が13%、13年が21%、14年が14%、ことしは2日午後5時時点で2.7%にとどまる。
125円台に乗せた6月、日銀の黒田東彦総裁は国会答弁で「実質実効為替レートでみると、円安になっているのは事実」とし、「ここからさらに円安はありそうにない」と発言した。3年以上にわたる円安は、自動車や電機など輸出セクターを中心に日本企業の収益を押し上げた半面、ドル高は米国グローバル企業の足かせとなっている。米供給管理協会(ISM)による11月の製造業景況指数は、エネルギーや輸出関連業界の減速で09年6月以来の低水準だった。
主要企業15年度は11%増益予想、来期5.6%増に
大和証券によると、主要上場企業(大和210ベース)の15年度経常増益率は11.2%の見通し、16年度は5.6%の予想だ。13年度は38.5%、14年度は4%。今期の為替前提を1ドル=118円とするトヨタ自動車の場合、第2四半期(7−9月期)営業利益は前年同期比17%増の1兆5834億円で、為替変動の効果は3050億円だった。
シティグループ証券の調べでは、為替が1%変動する際の企業の利益変動率は0.54%。7−9月期経常利益は前年同期比13.4%、うち約8ポイントは円安効果だった。原油安の影響も考慮すると、実力ベースの増益率は4−5%程度と分析する。飯塚尚己チーフストラテジストは、「今の為替水準を前提にすると、円安による底上げ効果は10−12月期に4−5%に縮小し、来年1−3月期はほぼゼロになる。1株利益も同じようになるのが自然」と言う。
財務省公表の法人企業統計調査によれば、14年度全産業の経常利益は64.6兆円と5年連続で増え、2年連続で過去最高を更新した。今年度も上期時点で35.5兆円に達し、記録更新の可能性がある。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる経常増益率の要因分析では、10−12年度は限界利益率の向上、人件費抑制の効果が大きく、13、14年度は売上高の増加が寄与度でトップ。13年度は消費税率引き上げ前の駆け込み需要、円安による輸出増から3年ぶりに増収となった。14年度は円安のほか、建設や卸売業の伸びが増収に寄与する一方、原燃料価格の下落が人件費の増加などを吸収し、限界利益率は3年ぶりに上昇した。
原油安恩恵も減退へ
新興国経済の減速を受けた需要停滞とシェールオイルブームなどによる供給超過への懸念が重なり、ニューヨーク原油先物は1バレル=100ドル台にあった昨年夏以降、大きく下落した。ことし11月は月間ベースでは7月以降で最大の値下がりとなり、1年前との比較では37%値下がりした。一方、供給超過は解消に向かうとの見方から、ブルームバーグがまとめた16年末の市場予想値では1バレル=53.50ドルと想定されている。
来期にかけ原油価格が低位安定するとみるシティG証の飯塚氏は、「来年後半には前年比での押し上げ効果はなくなり、仮に緩やかに上昇すれば、1株利益の伸びをドラッグ(引き下げ)する理由になる」と指摘した。同証では16年3月期の経常増益率を9.9%、17年3月期を4.9%と試算。今期増益率に対する原油安の寄与率は6ポイントとみている。
ファイブスター投信投資顧問の大木昌光運用部長は、今年度の増益見通しは「資源安でコストが安くなるという奇跡的なことが起こったため。一方で資源関連企業の業績は悪く、もろ手を挙げて良いと言える増益ではない」と話す。
ポスト円安・原油安は株主還元か
日経平均は12年に23%上昇、13年は57%上昇し、円安は株高に大きく寄与した。14年の上昇率は7.1%と縮小したが、月別でみると1−4月の下落後に反転しており、4月の消費税率引き上げがマイナスとなった半面、年後半の円安や原油安がプラスに作用した。15年は2日時点で14%上昇、東証1部33業種の年初来の上昇率上位には小売や医薬品、食料品が並ぶ。円安恩恵業種が伸び悩み、訪日観光ブームによるインバウンド消費の恩恵業種が好調だ。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之チーフ・インベストメント・オフィサーは、16年の日本株について「全体的に業績は伸びなくなっている中、相対的に株主還元が重要になる。利益率の改善や株主還元をやる会社に物色はシフトしていく」と予想した。三井住友トラストアセットの三沢氏も、「日本企業の利益体質がどこまで改善しているのかが試される。年後半には、株主還元の動きが出てくる」と読む。
11月中旬に欧州の機関投資家を訪問したシティG証の飯塚氏は、「1株利益成長の持続性について多く聞かれた」という。法人実効税率引き下げの可能性やコーポレートガバナンス(企業統治)改革の流れから、来期も日本の1株利益の伸びは主要市場をアウトパフォームするとみているが、半年前との比較では楽観ムードが後退したと受け止めている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストは、今年度の業績改善は非製造業がけん引し、円安は複数の増益要因の1つに過ぎず、「円安・ドル高が株価上昇の必須条件ではない」と指摘した。円安観測の後退は、為替ロスへの警戒で日本株をアンダーウエートとしていたグローバルファンドが組み入れを高める可能性があり、「2016年は日本株の為替離れの年」とみている。
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