1. 2015年11月30日 13:09:09
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黒田日銀総裁:「確実に実現する」、できるだけ早期の物価目標2% 2015/11/30 12:40 JST (ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は30日午前、名古屋市内で講演し、できるだけ早期にデフレからの脱却と物価目標である2%は「確実に実現する」と述べた。 黒田総裁は「私どもは、賃金上昇を伴うかたちで物価がバランスよく上昇する姿を実現したいと思っている。しかし、そのことは、賃金が上がるペースをみながら物価の上昇に向けた手を緩めたり早めたりするということを意味しない」と指摘。 「物価と賃金は理論的にも実証的にも概ねパラレルに動くものだ。物価目標の実現をゆっくりやっていれば賃金の調整もゆっくりになるだけだ。これは結局は『卵が先か鶏が先か』という問題であって、デフレというすくみの状況を打破するには誰かが断固たる決意を持って物事を変えなければならない」と語った。 黒田総裁はその上で、「日銀は2%の物価安定を早期に実現する強い意志とそれを実現する能力を持っている」と述べた。 黒田総裁は10月30日の金融政策決定会合後の会見で、同日発表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で物価見通しを下方修正したにもかかわらず、追加緩和を見送ったことについて、「物価の基調は着実に上昇している」とした上で、「経済全体でバランスが取れた形で2%に向けて上昇していくことが一番望ましい」と述べた。 物価上昇要因 黒田総裁は「このところの物価上昇について、エコノミストなどの間で『もっぱら既往の為替円安に伴う輸入物価の上昇を通じた一時的なものに過ぎず、物価の基調が改善しているとは言えない』との声も聞かれる」と指摘。 その上で、「円安に伴う輸入物価の上昇が消費者物価の上昇に寄与していることは確かだが、価格改定の動きはこうした品目に限定されている訳ではなく、広がりがみられている」と述べた。 また、「このところの物価上昇のサイズと持続性は、ともに円安の効果だけで説明できるものではなく、その背後には、雇用・所得環境の改善と、企業や家計の物価観の変化があると考えるのが合理的だ」と語った。 ドル円スワップ金利 黒田総裁は講演後の質疑応答で、邦銀が外貨調達で利用するドル円スワップ金利が高止まりしている背景について、銀行が企業の海外展開をサポートする際にドル建て融資が多いためスワップに依存してドル資金を調達するという需要面の要因がある、米国の利上げの時期が近づいている、各種金融規制の強化でドルが米国外に出にくくなっているーーと指摘。 その上で、「こうした需要・供給両面からスワップコストが上がっている」としながらも、「現時点では、銀行が融資を制限されたり、企業が投資を見直すところまではいっていない」と語った。 為替介入は例外的 質疑応答で為替相場については「望ましいのはファンダメンタルズを反映した相場」であり、「ファンダメンタルズで説明できない異常な動きには為替介入が認められている」ものの、「人為的にファンダメンタルズ以下に誘導することは認められてない」と指摘。ファンダメンタルズから離れれば「介入もあり得る」が、「これは例外的な措置」であり、「先進国はほとんどやっていない」と語った。 さらに、 「少し長い目でみれば金融政策が為替に影響を与えるのは事実だが、あくまでも金融政策の目標は物価安定だ。物価の安定に向かっていく過程で、為替も安定してくれれば望ましい」と語った。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 上野英治郎, 持田譲二 更新日時: 2015/11/30 12:40 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NYLY406S972801.html 黒田総裁になびく国債市場関係者、独自試算のインフレ指標が揺さぶり 2015/11/30 11:14 JST
(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は、追加金融緩和をせずにデフレ脱却ができるという考えに国債市場関係者をなびかせつつある。 日銀は10月末に金融政策の現状維持を決め、2%の物価目標を達成する時期を先送りした。直前に追加緩和の市場予想が強まったにもかかわらず、国債市場の予想インフレ率は11月中旬を直近の底に反発基調を強めている。追加緩和による利回り曲線の平たん化に賭けた取引が解消されつつある中でも、相場変動率(ボラティリティ)は昨年8月以来の低水準を付けるなど、日本の国債相場は安定的に推移している。 黒田総裁は、金融政策でなければ何をしたのか。日銀が長年にわたって消費者物価の中心的な指標と位置付けてきた生鮮食品を除くコアCPIから、生鮮食品とエネルギーを除く独自試算のコア指数へと市場関係者の関心を分散させただけだ。総務省が発表する従来のコアCPIは原油安の影響で10月まで3カ月連続でマイナス圏にとどまる一方、日銀の独自試算のコア指数は2カ月連続で前年比1.2%上昇している。 岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「日銀がエネルギーも除く独自指数を公表し始め、さまざまな物価指標に目配りすべきだと主張するのを受け、市場関係者も実際に日銀試算のコア指数に注目している。コアCPIがマイナスだからといって、取り立てて騒ぐ状況でもない」と言う。 総務省のコアCPIと日銀試算のコア指数は昨年12月、ともに前年比0.5%上昇だったが、今年に入ってからは対照的な動きとなっている。日銀は独自のコア指数を年2回だけ公表していたが、7月からは金融経済月報に毎月掲載。今月からは、総務省による消費者物価指数と同日に発表し、速報性を高めた。 日銀は公表した「消費者物価の基調的な変動」の中で生鮮食品とエネルギーを除くコア指数に加え、変動率が大きかった上下10%ずつの品目を対象外とした「刈込平均」のインフレ率や上昇・下落品目数の格差の割合も示した。刈込平均値は10月に前年比0.6%上昇し、上昇した品目数の割合は下落した割合を39.7%上回った。 クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは、「日銀にとってコアCPIが引き続き一番重要な物価指標だが、今の物価情勢を判断するにはミスリーディングだという問題意識がある」と指摘。独自試算のコア指数だけでなく、刈込平均値や上昇・下落品目差、品目別上昇率の分布など幅広く目配りし、「金融政策の現状維持を正当化したり、異次元緩和の意義を強調する面がある」と言う。 予想インフレ率 日銀は10月30日に、今年度と来年度の成長率とコアCPIの見通しを引き下げ、2%の物価安定目標への到達時期を「16年度後半ごろ」に後ずれさせた。ブルームバーグのエコノミスト調査では、同見通しの実現を見込むのは38人中1人だけで、異次元緩和の長期化観測は根強い。一方、黒田総裁は異次元緩和は所期効果を発揮しており、物価の基調は改善していると主張する。 10年物の固定利付国債と物価連動債の利回り格差(BEI)が示す市場の予想インフレ率は12日に0.736%と2月初め以来の低水準を付けた後から底打ち状態となっている。足元は0.8%台前半と日銀が追加緩和を見送った先月以来の水準を回復している。 伊藤忠経済研究所の武田淳主任研究員は、日銀は独自試算のコア指数や食料品とエネルギーを除いた総務省のコアコアCPIを重視しているという「メッセージ」を出し、コアCPIの下落は原油価格による一時的な押し下げ効果が原因だと「一生懸命アピールしている」と指摘。市場関係者は「本丸の日銀がそう言い始めている以上、それを意識して見ざるを得ない」と話す。 ニューヨーク原油先物は8月24日に1バレル=37.75ドルと約6年半ぶりの水準に下落。11月20日にも38.99ドルと安値更新まで1ドル余りと接近した。日本のレギュラーガソリン小売価格は同月24日に全国平均で1リットル当たり130.3円と2010年3月以来の安値を付けた。消費者物価全体にエネルギーが占める構成比は7.72%。一方、食料は25.25%、生鮮食品を除く食料は21.30%となっている。 クレディ・スイス証の白川氏は、日銀の主張は「消費者が体感する物価や政治家の見解とも整合的だ。物価目標が2%なのは世界標準だが、何で測るかのコンセンサスはない」と指摘。しかも、エネルギーの大幅安を背景に「各国とも今は2%は難しく、1−2%の間なら合格だという姿勢に変わってきている。2%目標を無理やり達成するには生活必需品を相当押し上げないとならないからだ」と説明した。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;東京 Kevin Buckland kbuckland1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 崎浜秀磨, 山中英典,青木勝 更新日時: 2015/11/30 11:14 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NYKUIL6KLVR401.html |