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日銀の黒田東彦総裁 (写真:Thomas Peter/ロイター)
日銀の政策対応は、後手に回りすぎている 今から信頼性を回復する唯一の手段とは?
http://toyokeizai.net/articles/-/94061
2015年11月28日 リチャード・カッツ :本誌特約記者(在ニューヨーク) 東洋経済
日本銀行が10月30日の金融政策決定会合で追加緩和を見送ったことで、日銀ウォッチャーの間には落胆が広がった。何らかの緩和策を期待していたJPモルガンは現在、物価をめぐる状況が著しく悪化しない限り、もう1年かかると予想。「日銀は昨年の10月のような先手を打つ姿勢とは異なり、さらに後ろ向きになっている」との見解を示している。
日銀は現在、実際に事が起きてから対応するようになっている。インフレ減速の予防策を講じるのではなく、実際にインフレが減速するまで動きを見せることはないだろう。2年前に日銀は、2015年までにコアインフレ率 (生鮮食料品を除く) が1.9%に達するだろうとしていたが、現在ではわずか0.1%にとどまると見ている。
■インフレ2%目標の達成は遠く
日銀政策委員会の中にも、黒田東彦総裁が任期満了を迎える2018年3月末までに2%のインフレ目標が達成可能か疑問視するメンバーが数人いる。政策委9人による、2017年度中のコアインフレ率の予想中央値は1.8%だ。しかし、日銀の「展望レポート」によれば、9人中5人は「インフレ率がもっとも低くなるリスクがある」と考えている。
朗報があるとすれば、委員会の誰ひとりとして、1990年代半ば以降に日本を苦しめてきた全面的なデフレに戻るとは予測していない点だ。
2%のインフレ目標達成に金融緩和は必要だ。しかし、それで十分ではないのだ。黒田総裁は「車が走るにはガソリンが必要だから、15ガロンのタンクに30ガロン入れましょう」と言っている車の整備士のようだ。「でも黒田さん、ギアも壊れていますが」と伝えると「では、60ガロン入れましょう」との答えが返ってくるのだ。
黒田総裁の戦略に欠けている重要な要素は労働市場だ。総裁は、日本が完全雇用状態にあるため、賃金と物価はやがて上昇すると主張している。だが、日本が最後にコアインフレ率2%を達成した1990年代初めの失業率は2.4%だった。1991年以降のデータに基づけば、現在の失業率3.4%からはじき出されるインフレ率は、約0.5%になる。
総裁は企業に対しても、実力以上の賃上げを指導している。しかし、同じく1991年以降のデータを踏まえれば、名目賃金が年率2%上昇するには、失業率が2.6%以下に下がる必要がある。
問題は、日銀自体に失業率低下のツールがないことだ。利下げによって住宅や自動車の購入が促進され、企業の投資が増加すれば、失業率を低下させることができる。しかし、金利が実質的にゼロである現在では、この図式は通用しない。
■まずは景気回復、財政再建はその次
今日では、失業率低下への最も有効な手段は財政刺激策だろう。しかし、黒田総裁は政府に逆行を求めている。税金を上げて支出を削減するのである。彼は、さらなる財政支出が政府債務を増加させると警告している。
だが実際には、日銀が多くの日本国債を購入しているため、日銀を除く1人当たりの政府負債の対GDP(国内総生産)比は、2011年に152%だったが、直近では129%に下がった。今後も低下していくだろう。
合言葉は、「まずは景気回復、その次に財政再建」であるべきだろう。財政政策を失業率低下のために使い、その結果生まれる政府負債の買い取りに金融政策を使うべきなのだ。
(週刊東洋経済11月28日号)
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