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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第151回 合成の誤謬を打破せよ!(週刊実話)
http://www.asyura2.com/15/hasan102/msg/857.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 11 月 26 日 17:27:30: igsppGRN/E9PQ
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第151回 合成の誤謬を打破せよ!
http://wjn.jp/article/detail/1354924/
週刊実話 2015年12月3日号


 9月1日に財務省が発表した2014年度の法人企業統計によると、金融・保険業を除く全産業の利益剰余金は354兆2774億円に達し、対前年比で26兆4218億円増となった。1年前と比べてすら、企業は内部留保を約8%も増加させたのである。

 企業が内部留保増加分の26兆円強を国内の設備投資に回してくれていたら、それだけでもわが国のGDPは5%成長したことになる。あるいは雇用者報酬(人件費)として分配してくれれば、国民の懐が一気に分厚くなり、消費税増税のインパクトを跳ね返すほどの消費ブームが起きた可能性すらある。

 断っておくが、筆者は別に企業が内部留保を増やすことが「悪」であると言いたいわけではない。共産党のように、内部留保に課税すべき、などという気もない(私有財産権の侵害である)。

 現在のグローバル株主資本主義の下では、企業が「いざというとき」のために預金を貯め込むのは合理的な話だ。しかも、日本の場合は政府が財政出動を拡大せず、揚げ句に消費税増税で内需の中心である個人消費を抑制しているわけである。

 結果的に不況が続き、企業経営者ができるだけ「いざというとき」に備えようとするのは、当然の経営なのだ。

 とはいえ、企業の内部留保中心主義が従業員(国民)の所得を抑制し、日本経済全体を縮小させているのは紛れもない事実なのである。

 現在の日本は、
○家計の所得が伸びず、消費税増税や円安の影響で実質消費を減らす。
○企業は利益を稼いでも十分に設備投資や人件費に回さない。
○政府は介護報酬や公共事業費を削る。
 というわけで、家計、企業、政府がそろいもそろって「GDPを増やさない」方向に走っているのだ。これで経済が成長したら、まさしく奇跡である。何しろ経済成長とは、実質GDPの拡大を意味するからだ。

 そして、GDPとは支出面から見ると、「民間最終消費支出」「政府最終消費支出」「民間住宅」「民間企業設備」「公的固定資本形成」「純輸出」に分解できる。

 現在は世界的に「GDP成長率>貿易増加率」の状況、いわゆるスロートレードの時代に入っており、外需(純輸出)が伸びることは期待できない。国内の民間や政府が支出を増やし、GDPを成長させる以外に経済成長の手段は存在しないも同然だ。

 もっとも、デフレが長引く中、家計や企業といった民間が「自己防衛」に走り支出を減らすのは「合理的」である。ミクロレベルでの合理的な行動がマクロ(国民経済)に合成されると、極めて非合理な結果をもたらす。すなわち、合成の誤謬だ。現在の日本経済を苦しめているのは、まさにこの合成の誤謬なのである。

 だからこそ、合理性を無視して(通貨発行権があるため)支出ができる政府が「GDPになる支出」を増やさなければならないのだ。

 それでも、やらない。政府や政治家は、いいかげんに理解する必要がある。

 デフレ期に合成の誤謬を打破できるのは政府しかいない。まさに、政府はそのためにこそ存在しているといっても過言ではないのだ。

 デフレ期の政府として、日本政府は「何」に支出するべきなのだろうか。安倍総理は10月5日の自民党国土強靱化総合調査会の会合において、以下の通り発言した。

 「民主党の『コンクリートから人へ』というスローガンは“受け”は良かったが、コンクリートは人を守ることを忘れさせてしまった」

 「スローガンは政治の場において国民に分かりやすく目標をつくるが、間違ったスローガンは国を大いに危うくする」

 コンクリートは人を守る。事実だ。それでは安倍総理は、以下の事実をどのように説明するのだろうか。

 実は、安倍政権は補正予算を含めると、別に民主党時代と比べて公共事業費を増やしているわけでも何でもない。確かに一般予算で見れば、今までで最低だった民主党政権期(2012年度、4.6兆円)と比べると増えている。とはいえ、'14年度の増加分のうち、0.6兆円は社会資本整備事業特別会計の一般会計化によるものだ。

 このまま'15年度補正予算で十分な公共事業支出がなされない場合(もう5カ月しかないが)、安倍政権は民主党政権期よりも公共事業費を減らしたことになってしまう。

 安倍総理が「コンクリートから人へ」を批判しながら、公共事業費をむしろ減らす方向にもっていこうとしているのはなぜだろうか。現実には、安倍政権にしても「コンクリートから人へ」を継承している。

 ここはいっそ、
 「コンクリートで人を守る」
 という「正しいスローガン」を訴え、公共事業・公共投資・治水予算を全て継続的に拡大することを明言し、まずは補正予算と来年の通常予算から「国民を守るコンクリート」におカネを支出してはどうだろうか。

 政府が「国民を守るコンクリート」に支出をすれば、需要創出というわけで、デフレ脱却も確実なものになる。しかも、公共投資から用地費等を除いた公的固定資本形成は、GDPの需要項目の一つなのだ。経済成長率も、一気に高まる。

 合成の誤謬を打破できるのは政府しかいない。という真実を理解しているならば、別にためらう必要はないはずである。

みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

 

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コメント
 
1. 2015年11月26日 17:39:46 : OO6Zlan35k
【第39回】 2015年11月26日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
景気停滞の真の原因は企業の人件費削減 企業業績は総じて好調なのに、なぜ賃金は伸びない?
 企業利益が歴史的な高水準になっている。それにもかかわらず、経済が停滞しているのはなぜか?
 その原因は、利益増加のメカニズムそのものの中にある。企業利益が増加するのは、人件費が抑圧されるからなのである。このため消費支出が伸び悩み、それが経済成長の足を引っ張っているのだ。
連続マイナス成長の本当の問題は
消費支出が伸びないこと
 2015年7〜9月期のGDP(国内総生産)は、2期連続のマイナス成長になった。これをもたらした原因は、表面的には、設備投資と在庫投資の伸びがマイナスになったことだ。しかし、本当の問題は、消費が伸びないことだ。
 消費支出は、GDPの中で最大のウエイトを占める。したがって、経済成長や景気動向に最も大きな影響与えるのは、消費支出である。
 7〜9月期で実質消費が増えたのは、原油価格の下落によって消費者物価の上昇率が低下したためである。消費者の選択というよりは、結果としてそうなったという側面が強い。消費者の選択が反映されるのは、名目消費である。また、景気実感により強い影響を与えるのも、名目の消費である。ところが、それが伸び悩んでいるのだ。
 これまでは、実質消費が伸びないことが問題だった。例えば、13年頃には、実質消費はそれほど増えておらず、マイナス成長になることもあった。それが問題だったのである。しかし、この期間においては、(消費税増税の影響を除けば)名目消費は増加していた。ところが最近になって、名目消費そのものが増えないという問題が生じているのである。例えば、15年1〜3月期には、実質では対前期比プラス成長だったが、名目ではマイナス成長になった。
 消費がこのように伸び悩んでいる原因として考えられるのは、第1は、消費税増税前の駆け込み需要が消滅したことだ。その影響は確かにあるだろう。しかし、それだけとは考えられない。
 図表1に見られるように、消費支出がGDPに占める比率は、14年1〜3月期をピークとして傾向的に低下を続けているのである。家計最終消費支出がGDPに占める比率は、そのときに比べて3.2%ポイントも低下している。これはかなり大きな変化だ。現在の比率は、10年頃よりも低い。
◆図表1 家計最終消費支出がGDPに占める比率
(資料)内閣府
消費伸び悩みの原因は
企業の人件費削減
 消費が伸び悩むのは、雇用者所得が伸びないからである。
 図表2に示すのは、GDP統計算出されている雇用者報酬の動向だ(名目季節調整値)。2014年7〜9月期から15年1〜3月期の間に、1.2%ポイントも落ち込んでいる。11、12年頃の水準に比べても、かなり低い。
 これは消費税の影響でも円安の影響でもない。賃金収入が減ったからだ(なお、分配状況を正確に見るには国民経済計算の分配勘定が必要であるが、現在のところ13年度までしか分からない)。
◆図表2 雇用者報酬がGDPに占める比率
(資料)内閣府
 企業は、人件費を減らしているのである。
 この状況をもう少し詳しく見るために、法人企業統計によって、営業利益と人件費の対売上高比率を示すと、図表3、4のとおりである(全産業、全規模)。
 13年頃から営業利益の対売上高比率が上昇する一方で、人件費の対売上高比率が低下していることが分かる。したがって、人件費を抑えたために利益が増加したと推測することができる。
◆図表3 営業利益の対売上高比率(全産業、全規模)
(資料)財務省、法人企業統計
◆図表4 人件費の対売上高比率(全産業、全規模)
(資料)財務省、法人企業統計
 この点を確かめるため、11、12年度平均と14年度を比較すると、図表5のとおりだ。
 売上高はこの間に約1.5%増加している。売上原価も、それに合わせて、約1.5%増加している。しかし、人件費は3.9%ほど減少しているのである。
 もし、人件費が売上増加率と同率で伸びたのなら、14年度において175.6兆円となったはずだ。しかし、実際には166.3兆円なので、差は9.3兆円だ。これは利益増の72.7%に当たる。つまり、企業の利益増の約4分の3は、人件費の圧迫によって実現されたと考えることができる。
◆図表5 売上高、原価、営業利益、人件費の変化(全産業、全規模)
(注)増減率以外は、単位百万円 (資料)法人企業統計より算出
輸出企業は円安で売り上げ増
一方人件費は抑制で利益が増加
 先に見たように、営業利益の対売上高比率は上昇しているが、人件費の対売上高比率は低下している。
 こうなる原因は2つある。
 第1は輸出の増加だ。これは主として製造業の大企業(資本金10億円以上)において生じている現象である。これは、図表6に示されている。
 2011、12年度平均と14年度を比べると、売上高が2.1%増加したにもかかわらず、売上原価はほとんど不変に留まった。人件費は、減少はしているものの、さほど大きな変化ではない。
◆図表6 売上高、原価、営業利益、人件費の変化(製造業、10億円以上)
(注)増減率以外は、単位百万円
(資料)法人企業統計より算出
 この場合の売上高増は、輸出売上の円評価額が円安によって増加したという計算上のものである。そのため生産は変化しておらず、原価が変わらないのだ。そして、売上増加額5.2兆円が、ほぼそのまま利益増加額になっている。
 売上高の増加率は2.2%にすぎないのだが、増加分のすべてが利益増になり、しかも、売上高営業利益率が11、12年度平均で2.9%という低い値なので、利益が75.3%も増加するのである。
 この結果、売上高に対する人件費の比率は、11年4〜6月には11.9%だったが、14年11〜12月には9.9%に低下した。
中小の製造業や非製造業では
非正規労働者の増加により人件費削減
 人件費の対売上高比率が低下する第2の理由は、非正規労働者の増加等による人件費の削減である。これは非製造業や、大企業以外の製造業で生じている。
 非製造業(全規模)の場合について示すと、図表7のとおりだ。
 この場合、売上原価の増加率は3.5%であり、売上高の増加率2.6%より若干高めの値になっている。売上高の中に輸入は含まれておらず、他方、円安によって原材料価格が上昇したために、売上原価が増加しているのだ。
◆図表7 売上高、売上原価、営業利益、人件費の変化(非製造業、全規模)
(注)増減率以外は、単位百万円
(資料)法人企業統計より算出
 ところが、人件費が5.0兆円、率では4.2%も削減されたため、利益が増えた。人件費削減額は、利益増加額7.2兆円の68.3%を占める。
 この場合には、人件費削減が利益を増加させていることになる。
 企業が人件費を削減するのは、賃金コストを減らすためである。そして、こうした事態に追い込まれるのは、日本の産業の競争力が低下しているからである。これが、消費を停滞させて、経済を停滞させ、それがさらに賃金引き下げをもたらす。
 こうして、日本経済は所得減少の悪循環に陥っているわけだ。これを消費税のせいにしたり、中国経済減速化のせいにしたりするのでなく、日本経済が内包する問題であることを認識すべきだ。
企業の合理的判断に介入する政策は無意味
円安を止め、生産性を高めることが必要
 以上で見たような状況に、どのように対処すべきか。
 図表6で見た製造業大企業の場合の変化は、円安によるものである。したがって円安を止めれば止まる。
 これに対して、図表7で見た変化は、企業の利益最大化行動の結果であり、その意味で合理的な判断に基づくものである。これを変えるには、経済全体の条件を変えるしかない。しかし、実際に政府が行なおうとしているのは、次のようなものだ。
 第1は、春闘などに介入して、名目賃金を上げようとしている。しかし、これは民間企業の決定に介入するという意味で問題であるばかりでなく、無意味でもある。なぜなら、春闘で賃金が決まる企業は全体のごく一部でしかないからだ。
 政府が行なおうとしている第2の政策方向は、企業の海外移転によって国内の雇用が減少するのを望ましくないと考え、円安政策をとることだ。
 しかし、海外移転も、企業の合理的な判断に基づくものである。行き過ぎた円安によって仮に国内回帰が生じたとしても、リーマンショック前にエレクトロニクス産業で起きたような国内での過剰投資が生じ、将来に重荷を残すことになるだろう。
 企業の海外移転による雇用減への対処は、国内に生産性の高い新しい産業を誕生させることで実現すべきだ。製造業が海外に移転してしまっても国内の産業が成長することは、アメリカの経験が示すとおりである。

http://diamond.jp/articles/-/82228


2. 2015年11月26日 22:23:52 : PMHe4FRJuQ
結論は「公共事業の増加」ですか、そうですか。どんな自民党議員でも考えつくな。

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