4. 2015年11月26日 21:06:17
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ECB追加緩和、行動する理由ないとの異論も−政策委は難しい判断へ 2015/11/26 15:38 JST (ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)政策担当者の最近の発言を聞く限り、12月3日の政策委員会では追加緩和をめぐって難しい判断を迫られそうだ。行動の必要がないことが今後出てくる指標で示唆されると政策委の一部メンバーは主張した。 ECBのコンスタンシオ副総裁は25日のブルームバーグとのテレビインタビューで、「景気の回復は続いているが、リスクは下向きだ。新興市場に波及する影響が実際にかなり著しい形で表れるかどうかも1つの要素になる。インフレは非常に弱く、われわれは物価安定を確実なものとしたいと考えている」と語った。 これに対し、ECB政策委メンバーであるエストニア銀行(中央銀行)のハンソン総裁は、最近の統計は予想外に上振れしており、さらに行動を起こす理由は見当たらないと述べ、ドイツの政策担当者らの見解に同調する姿勢を示した。 ECBは世界経済減速の影響でユーロ圏のインフレ率が今の低過ぎる水準で定着することを避けるため、金融刺激策を強化すべきかどうか検討に入っており、最大1.1兆ユーロ(約143兆円)の債券購入プログラムの拡充や中銀預金金利(現行マイナス0.2%)引き下げなどの選択肢が取り沙汰されている。12月3日の政策委では、予想される米利上げの影響の検証も必要になるだろう。 ハンソン総裁はマーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)とのインタビューで、「前回の政策委以降は前向きなニュースの方がネガティブなニュースよりも多い。景気が十分に軌道に乗っていることを全てが示唆しているように見えるとすれば、行動する理由は見当たらない」と発言した。ドイツ連邦銀行のバイトマン総裁も現在の金融刺激策の効果が表れるには時間がかかり、景気を悲観的に捉える必要はないと先週述べていた。 原題:ECB Faces December Debate With Officials Still Split on More QE(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Paul Gordon pgordon6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Paul Gordon pgordon6@bloomberg.net Alessandro Speciale, Hans Nichols 更新日時: 2015/11/26 15:38 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NYEQAT6K50XV01.html コラム:ドル125円に「通貨戦争」の壁
高島修シティグループ証券 チーフFXストラテジスト [東京 26日] - 筆者の長期見通しは、2017年ごろまでドル高円安が続くというものだ。1970年代前半に為替相場が変動相場制に移行した後、ドル指数は7―8年下落、2―3年底ばい、5―6年上昇というサイクルを繰り返してきた。 今回、2001年のITバブル崩壊後に下落局面入りしたドルは、2008年のリーマン危機発生時に下げ止まり、欧州ソブリン危機が深刻化した2011年に底打ちした。 そこから5―6年上昇局面が続くとしたならば、ドル高のピークとして2017年が1つの目安となってくる。2017年は日本では消費再増税が行われる年であり、景気対策の一環で日銀がさらなる金融緩和を行う可能性がある。要はドル高のピークだけでなく、円安もピークに向かいやすい年なのだ。 目先で見ても、12月には米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めと欧州中央銀行(ECB)の追加緩和が決定され、ドル高圧力が強まる可能性は高い。しかも、来年1月には日銀が追加緩和に踏み切り、そこに円安が加わることも考えられる。 だが足元では、これ以上の急激なドル高や円安が日米政界や通貨当局者の間で望まれていないことは明らかだ。ドル円が125円を超え、ユーロドルがパリティ(1ユーロ=1ドル)に達するようなドル高となる場合、通貨戦争勃発を回避するために、ドル高抑制が日米はじめ国際通貨当局者の課題となって浮上するのではないかと筆者は睨(にら)んでいる。 <ECBの異例かつ露骨なユーロ安誘導> 日米欧中央銀行の中で口火を切ることが確実なのがECBだ。10月22日の理事会後の記者会見で、ドラギECB総裁は「12月理事会で金融緩和の程度を再検証。資産購入の規模、構成、期間を調整する」と明言。事実上の次回理事会(12月3日)での追加緩和宣言を行った。 しかも、ドラギ総裁は「インフレの下振れリスクの1つは最近のユーロ高」と言及。昨春1.4ドル台に迫ったユーロドルは今年3月には1.05ドル前後へ大幅下落。その後の戻りは1.15ドル台さえ超えていなかったが、それさえも容認しないタカ派姿勢を示した。 つまり、ECBはユーロ安がまだ均衡点に至っていないと判断しており、事実上、ユーロが下落し続ける必要があるとの考えを示したことになる。ドイツを中心に経常黒字拡大が目立つ経済圏の中銀としては異例で、露骨な通貨安誘導だ。 足元、ユーロドルは3月につけた1.05ドル前後の年初来安値を割り込みかねない水準まで値を崩してきた。欧米長期金利差との相関が高いユーロドルは、来年を展望すれば、パリティ水準を下回って下落してもおかしくない。 <FRBは金融正常化優先でドル高を甘受か> 最近のユーロ安ドル高を促したのはECBだけではない。この間、FRBの金融引き締め観測が強まったことを背景に、為替市場はほぼドル全面高の様相を呈してきた。8月の中国人民元切り下げを発端とする世界的な市場の混乱を受け、FRBはそれまで慎重に地ならしを進めてきた9月利上げを断念せざるを得なくなった。その後のイエレンFRB議長の発言には悔しさがにじみ出ていた。 だが、10月にペルーの首都リマで国際通貨基金(IMF)総会と20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議が行われた際、FRBのフィッシャー副議長は、新興国の当局者らからはいつ米国が利上げに動いても大丈夫だとの自信を示されたと発言。リフトオフ(利上げ開始)に向けて国際環境が整ったとの判断を示した。 フィッシャー副議長は、米財務省出身のブレイナード理事と並んで、これまでドル高が米国経済や海外経済に及ぼす影響を慎重に見極めるとの姿勢を示してきた。ドル指数は今年3月に約12年ぶりの高水準に達し、その後調整局面入りしたが、足元では再びその3月の高値を試そうとしている。だが、FRBがそこを超えるようなドル高をある程度は甘受してでも、金融正常化に着手したい考えのようだ。 <TPPに見る米政財界のドル高けん制> ただ、そうしたFRBのドル高黙認姿勢が米国内で広く共有されているわけではなさそうだ。そのことを端的に示したのが、今月5日に環太平洋連携協定(TPP)交渉12カ国が発表した共同宣言である。マクロ経済政策の協調を図る一環として、為替操作を回避することが謳(うた)われた。 この為替操作禁止条項は、今春に米議会が、TPP合意の必須要件であるオバマ大統領への貿易促進権限(TPA)を審議した際に議論されていたものだ。その際は、米財務省を含めた政策当局者が自らの手足を縛ることになりかねないとの警戒感から、この条項がTPA法案に組み入れられることをなんとか回避した。その為替操作禁止条項がTPP交渉参加国の共同宣言として復活したことは、依然として米政界や産業界のドル高や円安などに対するストレスが強いことをうかがわせる。 そもそも、TPPはじめ自由貿易協定のような通商問題で、通貨政策問題を取り上げること自体が異例で、今回の共同宣言も、従来TPP交渉に携わってきた甘利経済再生担当相やフロマン米通商代表部(USTR)代表など通商政策責任者から発表されたのではなく、日米財務省などマクロ経済を司る当局から発表された。 今のところ罰則条項があるわけではなさそうで、この共同宣言は実効性のあるものではなかろう。ただ、ここで重要なのは、こうした宣言を発表せざるを得ない米国内の事情であり、そうした為替相場が政治的にセンシティブな環境は、来年早々にオバマ大統領が署名し、米議会の審議が始まるTPP法案が無事に成立するまで続くだろう。これは来年半ば頃ではないかと見られている。 <円安にならない追加緩和策の必要性> ここで難しくなるのが、日銀はじめ日本の政策当局者がとる道だ。市場で日銀の追加緩和観測が強かった10月30日の決定会合で政策据え置きが発表された際、ほぼ同時にメディアは政府の補正予算が3兆円超になるとの観測記事を発表した。 その時、筆者は、これは日銀の決定に市場が失望的な反応を示すことを阻止するために意図的に政府筋から流されたものではないかとの印象を持った。この読みが正しければ、政府はその日の日銀の据え置き判断を事前に知っていた可能性があり、そのことは日本政府、日銀が現在、景気刺激に向けてより緊密な協調行動を模索している可能性を意味する。 この観点から言えば、1月に補正予算が成立した後、1月末の決定会合で日銀が追加緩和を決めるシナリオが綺麗(きれい)だ。2―3月の賃金交渉にもギリギリ、心理面から影響を及ぼすことができる。 ただ、その時点で、ユーロドルがパリティを割り込み、ドル円も125円を突破し、130円が警戒される事態となっていた場合、その中での日銀の追加緩和策は、米国でのドル高や円安に対する嫌悪感を一段とあおることになるだろう。 その結果、米議会でのTPP審議が危険にさらされることになれば、国益を損なうことにもなりかねない。この場合、いかに円安にならないように追加緩和策を講じるかが、財務省で通貨政策を指揮した経歴を持つ黒田総裁率いる日銀の課題となるだろう。 *高島修氏は、シティグループ証券のチーフFXストラテジスト。1992年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年シティバンク銀行入行、チーフFXストラテジストに。2013年5月より現職。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら) *本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。 http://jp.reuters.com/article/2015/11/26/column-osamutakashima-idJPKBN0TF0P020151126
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