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ツタヤ図書館、問題多発させた「企業体質」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151124-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 11月24日(火)22時32分配信
公共図書館の救世主か、それとも破壊者なのか――。
公共図書館のあり方をめぐる議論に火をつけたのが、大手レンタルビデオチェーン、TSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)だ。CCCが指定管理者となって運営する「ツタヤ図書館」が火元である。従来の図書館像を大きく変えるツタヤ流の手法に批判が噴出する一方、地域活性化の決め手を欠く自治体からは期待が高まっている。
ツタヤ図書館の第1号は、2013年4月に開館した佐賀県武雄市図書館である。スターバックスコーヒーなどを併設した東京・代官山の蔦屋書店を見た樋渡啓祐・武雄市長(当時)が「代官山蔦屋書店を図書館のかたちでもってきてほしい」とCCCの増田宗昭社長に要請したのが始まり。CCCが3億円、武雄市が4億5000万円の計7億5000万円かけて武雄市図書館を改装。運営はCCCに委託された。
蔵書数20万冊。図書の貸し出しにはCCCのポイントカード「Tカード」も利用できて、自動貸出機を利用すれば1日1回3円分のポイントが貯まる。蔦屋書店とスターバックスコーヒーが併設されており、コーヒーを飲みながら雑誌を読むことができる。年中無休で朝9時から夜9時まで利用できる。
人口が5万人の小さな温泉町の図書館の来館者数は改装前の3倍、2年半で200万人を突破した。武雄図書館は地方創生の画期的な手法と称賛された。
しかし、リニューアルオープンから2年経ち、ツタヤ流に疑問の声が上がってきた。古い本ばかりで新しい本がまったく入ってこない。武雄図書館に対する不満が次第に高まっていった。今年7月には、住民の情報開示請求で10年以上前の資格対策本や埼玉県のラーメン店ガイドなどを開館時に購入していたことが判明した。それらの本をCCCが出資する古書店から買ったことから「ツタヤの在庫処分だ」と批判が高まった。
さらに、図書館改革を積極的に進めた前武雄市長の樋渡氏が7月、CCCの子会社であるふるさとスマホ株式会社の代表取締役社長に就任していた。「天下りではないか」で追及されたことでツタヤ図書館への批判が一気に噴出した。
その最中の10月1日、CCCが指定管理者となって運営する2館目の公共図書館、神奈川県海老名市中央図書館がリニューアルオープンした。同図書館でもタイの風俗店を紹介するガイド本などが蔵書にあることが判明し問題になった。
ツタヤ流のあまりの悪評に、愛知県小牧市では10月4日、新図書館建設計画が住民投票で否決され、CCCとのアドバイザリー契約が解除された。来年3月には宮城県多賀城市で新図書館が開館する。岡山県高梁市、山口県周南市でもツタヤ図書館の計画が進む。
●Tポイント
CCCは03年10月、共通ポイントサービス「Tポイント」を開始した。ユニークな点は、ポイントシステムを外部に開放したことだ。通常、ポイントの発行は顧客の囲い込みのために行われるもので、発行元の店舗以外では利用できない。
しかしCCCは異業種と提携して、ツタヤで貯めたポイントをコンビニエンスストアやガソリンスタンドで使えるようにした。使い勝手の良さが受けてTカードの発行枚数は、08年8月に3000万人、12年5月に4000万人、14年10月に5000万人を突破。20代に限れば7割以上がTカードを所有しているといわれる。提携先企業はTカード利用者に発行したポイント数に応じて、CCCにシステム使用料を支払う。この手数料がCCCのカード事業の収益になる。
カード事業は好調な一方、本業であるDVDをはじめとするコンテンツのレンタルはスマートフォンやタブレット端末によるインターネット配信の急速な普及に押されて減収をたどっている。08年3月期に2377億円あった売上高は、11年同期には1699億円に落ち込み、4年間で3割近くダウン。今後の大きな回復は難しいとされる。
増田社長は11年2月、MBO(経営者が参加する買収)を実施し、東証1部上場の廃止に踏み切った。増田社長が保有する41%分を除く全株式を1株600円で公開買い付け(TOB)した。買い付け総額は696億円にのぼった。
非上場化する理由について増田社長は「未踏のジャングルに踏み入るにあたり、短期的には株主の利益を毀損する恐れがあるため」と説明した。短期的な利益を求める公開会社という制約に縛られては、思い切った転換ができないというわけだ。
CCCは主力だったビデオレンタルから、カフェを併設した大型店や、デジタルテレビ向けのコンテンツ配信事業、ネットサービスに軸足を移すことになる。
11年12月、東京都渋谷区代官山に蔦屋書店を中核とする「代官山 T−SITE」を開業。これが大型店のモデル店となった。書籍やDVDのほか、文具、キッチン雑貨など幅広い商品を揃えた。代官山を皮切りに神奈川県藤沢市にも開業し、大阪府枚方市の近鉄百貨店跡にも建設中だ。この代官山店を見た樋渡・前武雄市長がカフェを併設した図書館をつくってほしいとCCCを誘致したことは、前述した通りである。
●業績は好調
CCCは非上場化して以降、財務諸表を一切公開していない。ホームページ上に「連結売上高、195,914百万円、2014年3月期」と載っているのみ。しかも1年以上前の古い数字だ。
13年7月、スポーツイベントなどの写真撮影会社、フォトクリエイトが東証マザーズに上場した。CCCは同社と資本提携し、発行済み株式の29.1%を保有する筆頭株主である。上場会社のフォトクリエイトは、非上場である親会社の決算に関して、情報を開示する義務がある。
それによると、CCCの15年3月期の連結売上高は前期比2.3%増の2004億円、営業利益は1.6%増の103億円、純利益は2.9倍の131億円。売上高は上場していた当時の水準に迫り、純利益は上場当時を上回った。数字を見る限り、ビジネスモデルの転換が成果をあげている。
だが、株主資本は60億円の赤字。MBOの実施で買い取った自己株式690億円が資本金、資本剰余金、利益剰余金を上回っているためだ。資本金1億円は増田氏の100%所有だ。
「いびつな資本構造を解消するには、再上場して自己株式を放出するしか手がないだろう。数年後には、再上場が日程に上る可能性も高い」(市場筋)
だが、CCCがTポイントとともに注力するT−SITEで実際に物件を開発・管理するのは、増田社長の近親者が株主で長男の増田宗禄氏が副社長を務めるソウ・ツー。CCCから得る賃貸料で安定収益をあげるかたちになっており、経常利益は31億円。増田社長はCCCとソウ・ツーの二頭立ての馬車の御者だ。上場企業なら利益相反との厳しい指摘が出るかもしれない。
CCCは書店とカフェの一体感を高めた大型店舗で業績が持ち直してきた。13年12月オープンの盛岡店から、テナントではなく自社で運営するカフェを併設した。3年で100店に自社のカフェを導入する。
ツタヤ図書館の運営手法に批判の声があがっているが、「CCCにとって図書館はあくまで『公設民営のブックカフェ』であり、カフェ併設のツタヤ大型店舗のひとつと見なしている。図書館を運営して地域社会に貢献するといった高邁な理念などない」(行政関係者)との厳しい見方も広がっている。
文=編集部
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