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「三井住友建設HP」より
三井住友建設の窮地 露骨な被害者意識、下請けに責任なすりつけとの批判も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151123-00010002-bjournal-soci
Business Journal 11月23日(月)22時30分配信
「裏切られた」
横浜市都筑区のマンションが施工不良で傾いた問題で、建設工事の元請け会社である三井住友建設の口から出た言葉は、2次下請けの旭化成建材に責任を転嫁するものだった。
三井住友建設は11月11日、2015年9月中間決算発表の席上で陳謝した。一連の問題発覚後、公の場で謝罪するのは初めて。それも発覚から1カ月を経過してからだ。会見には新井英雄社長でなく三井住友銀行出身の永本芳生副社長が出席した。永本副社長は杭打ち工事を担当した旭化成建材がデータ流用などの改竄を行ったことに関し、「元請けとしての責任を重く受け止める。工事の不具合やデータ流用を見抜けず、慙愧の至り」と管理責任を認めた。
一方、旭化成建材に対しては「信頼関係を過信しすぎた。ちゃんとやってもらえると思っていた。事前打ち合わせの通りの杭打ちをしてもらえず、裏切られた」と批判した。データ改竄を見抜けなかったことに関しては謝罪したが、それ以外は「旭化成建材に責任がある」との主張を繰り返し、「当社も被害者」というイメージを世間に植え付けようとする姿勢がにじみ出ていた。
マンションの建て替えには、300億円に上る対策費が必要になるといわれている。売り主の三井不動産レジデンシャル、元請けの三井住友建設、1次下請けの日立ハイテクノロジーズ、2次下請けの旭化成建材が責任に応じて負担することになる。会見における三井住友建設の姿勢からは、旭化成建材に責任を負わせて少しでも負担を減らそうという思惑が見え隠れする。
●設計ミスは認めず
横浜のマンションは4棟構成で、旭化成建材が三井住友建設の2次下請けとして計473本の杭を打ち込んだが、70本の施工データが改竄され、このうち1棟の杭6本は地盤が固い支持層に届かず、2本が打ち込み不足だった。三井住友建設は事前のボーリング調査で支持層の深さを14メートルと推定して杭を発注した。
だが、実際の支持層の深さは16メートルで長さが不足している杭が打ち込まれていた。旭化成建材側はデータの改竄は認めたものの、「三井住友の設計通りに杭を打った。設計に問題がある」と指摘した。マンション傾斜問題の発端は三井住友建設の設計ミスだった、といわんばかりだ。
三井住友建設は「想定が外れたのはうちの責任」と設計ミスを認めたが、11日の会見で永本副社長は設計ミスとの指摘を否定。「(事前調査は)地盤の深さ、地質を推定するための暫定値」であるとし、実際の地盤の状況の確認は旭化成建材の責任だ、と主張した。想定より支持層が深いことを報告しなかった旭化成建材に「裏切られた」というのである。
「設計ミスを認めたら、建て替え費用の大半を負担しなければならなくなる。『設計ミスでない』と突っぱねるしか道がないのではないか」(元大手ゼネコン首脳)
しかしその後、12日になって三井住友建設は、不具合のあった杭打ち作業に社員が立ち会っていなかったことを認めた。元請けとして、きちんと仕事をしていなかったのである。11日の記者会見では、現場に立ち会ったかどうかについては「調査中」としていた。
●実質的には非・三井住友グループ
三井住友建設は2003年4月、旧三井グループの三井建設と旧住友グループの住友建設が合併して発足した。両社は00年代初頭に巨額の赤字を計上して経営が悪化し、両社の主力銀行である三井住友銀行は、大手ゼネコンに経営統合を働き掛けたが引き取り手がなかった。そこで住友建設に対する600億円の金融支援で債務超過を解消させ両社を合併させたという経緯がある。
当初、三井不動産、三井住友海上火災保険、三井生命保険、三井住友銀行、三井物産など三井グループが出資していたが、07年に大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツなど国内外の投資会社に持ち株を売却した。09年、三井住友フィナンシャルグループ(FG)は大和証券グループ本社との合弁事業を解消。大和証券が大和証券SMBCの三井住友FG出資分を買い取って、両社の関係は切れた。大和証券側は、三井住友FG傘下の三井住友建設をこれ以上、資金面で面倒見る必要がなくなった。大和証券SMBCは三井住友建設の52.26%の株式(11年3月期末)を保有していたが、順次売却。その後、12年に完全に撤退した。
しかも、大和証券側が売却した三井住友建設株式を、三井住友FGは引き受けなかった。三井不動産が2.0%、住友不動産が1.7%の株式を保有するだけ(15年3月期末)である。
11日の会見を仕切った永本副社長は三井住友銀行営業審査第一部長、SMFG企業再生債権回収社長、大和証券SMBC監査役、三井住友銀行投資銀行統括部参与を経て、10年4月に三井住友建設の副社長に就任した。三井住友FGがお目付け役として送り込んだ人物だ。
三井住友建設は15年3月期に合併後初の配当にこぎ着けた。これを花道に社長の則久芳行氏が会長に就き、4月1日付で専務執行役員の新井英雄氏が社長に昇格した。新井氏は東京大学工学部土木工学科卒。住友建設に入社後は土木一筋で歩んできた。
孫請けの旭化成建材の社長は、親会社の旭化成社長とともに謝罪会見している。一方、元請けである三井住友建設の新井社長は姿を見せなかった。
「元請けがきちんと説明をしてこなかったことが、混乱を長引かせている。元請けは施工した工事のすべてに責任を負う。三井住友建設には、そうした認識があるのか、はなはだ疑問だ」(業界筋)
●経営体力への懸念
ゼネコン業界には追い風が吹いている。国土強靭化基本計画に伴う老朽インフラの整備。加えて、20年の東京オリンピック・パラリンピックの誘致決定に伴う大型工事や建て替え工事が目白押しだ。
三井住友建設は16年3月期の業績見通しを上方修正した。売上高4040億円(前期比6.9%増)の見通しは据え置いたが、純利益は60億円から90億円(同29.4%増)に引き上げた。ただ、傾斜マンション問題の処理費用は「算定が困難」として織り込んでいない。
永本副社長は「(業績への影響は)決して小さな額ではない」と述べている。建て替え費用の負担で、90億円を見込んでいた今期の純利益は吹き飛んでしまう可能性もある。さらに、主力のマンション建設で、販売主が三井住友建設に発注するのを中止する事態もあり得る。
国土交通省は杭打ち工事を行った旭化成建材だけでなく、売り主の三井不動産レジデンシャル、元請けの三井住友建設などについても、建設業法や宅地建物取引業法などに基づく処分を検討している。
「経営体力の大きな親会社を持つ三井不動産、日立ハイテクノロジーズ、旭化成建材と比較し、実質的には独立系で三井住友建設は経営体力が小さく、それだけ受けるダメージも大きくなる。これ以上被害者面のまま責任逃れの姿勢を続けて業界内での信用を落とせば、経営危機という文字が現実味を帯びてくる事態も十分に考えられる」(市場筋)
三井住友建設には、真相究明への真摯な姿勢が求められている。
(文=編集部)
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