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来年度の税制改正要望をまとめた金融庁。相続株式の評価見直しが実現すれば、株式市場へのインパクトは大きい(写真:ロイター/アフロ)
朗報!金融庁が「アベクロライン」に加わった 税制改正要望で相続株式の評価見直しを提案
http://toyokeizai.net/articles/-/93692
2015年11月22日 平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト 東洋経済
6月から9月までの4カ月間で、現物先物合わせて8兆2453億円も売り越した外国人投資家は、10月に5381億円、11月第2週までで9459億円の買い越しとなり、投資スタンスを大きく変えた。これにより株式市場は景色が変わった。
外国人投資家が、投資スタンスを変えた理由はいくつもあるが、いちばんの理由はアベノミクス後半戦スタート時の景気対策の勢いに乗ろうと決断したことだ。特に、ファンド仲間で指導的・指標的なファンドが動いたことで、一斉に追随買いが始まっている。買い越し額の数字が物語るように、まだ動いたばかりだ。外国人投資家の買いはこれから本格化する。
■大きな材料が飛び出した
ここへ来てとてつもなく大きな材料が飛び出した。金融庁が「上場株式等の相続税評価の見直し」という来年度の税制改正要望をまとめたのだ。
土地は公示価格の80%評価だが、株式を相続した場合、時価100%で評価される。これは相続側にとっては大変な負担になり、相続税の多くはそのまま株式で物納される。財務局はこれを市場で売却するので、資産家の死亡は株式市場にとっては大きな売り要因だった。相続株式の評価見直しは、以前から毎年、証券界の改正要望として出されていたが、金持ち優遇として相手にされず、最近では期待せず惰性的に出している要望だった。
しかし、今回は、証券界ではなく「金融庁」が要望した。しかも、評価額は時価の70%を要望している。今後2030年までに1000兆円が相続されると予測(野村資本市場研究所)されている。相続税対策としては、賃貸マンションの購入等不動産で行うのがよく知られる話だが、もし相続時の株式の評価が時価の70%となったら、「相続税対策は株式で」となり、株式市場の景色は大きく変わる。
来年度の税制改正にすぐ反映されるわけではないが、株式市場の期待勢力であるアベクロ(安倍首相・黒田日銀総裁)ラインに金融庁が加わったことで、すでに景色が変わったと筆者は感じる。今度の金融庁はちょっと違う。
直近安値から3000円も上昇してきた日経平均に比べれば見劣りする米ダウだが、それでも8月25日の安値から1000ドル以上の戻りとなっている。12月に利上げがあっても、それはゼロ金利の解除であり緩和的金融政策の変更ではない。
ゼロ金利は緩和的金融政策の1つの手段であって、それが変更されても緩和的金融政策の本流は変わらない。来年以降の利上げのペースは極めて緩やかになるだろうと、金融政策をめぐる不透明感は安心感に変わりつつある。
■一気に2万円を超える展開も
先週末の日経平均は、2万円乗せに失敗し、日銀政策決定会合現状維持(追加緩和無し)、円高、3連休前の週末と悪材料が重なったにもかかわらず強い動きを示した。安倍内閣が登場してからM2は100兆円弱増え、東証1部時価総額は290兆円から600兆円を超えた。金融政策現状維持(異次元緩和維持)はこの傾向が続くことを意味する。
今週は国内よりも海外の経済指標に多くの注目材料があるが、国内で筆者の考える重要なイベントが3つある。24日(火)リニア体験乗車、25日(水)政府TPP対策大綱決定、26日(木)1億総活躍国民会議緊急対策とりまとめの3つだ。
リニア新幹線は2020年以降のメインイベントだ。夢の新幹線、日本の技術力の証明という面もあるが、在来(?)新幹線の大補修事業が始まることによって低下する輸送力を補てんする意味も持つ。そんなことが話題になるとゼネコン関連は面白くなるが、先走り気味かもしれない。
しかし、TPP大綱や1億総活躍国民会議緊急対策は、アベノミクスのキモ。もし評価されれば、一気に2万円を超え年初来高値を意識する展開もありうる。今週火曜日からの1週間(11月24日〜27日)の日経平均予想レンジは1万9750円〜2万0250円。
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