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日銀と賃上げと、ドル調達コストの上昇と
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52756004.html
2015年11月21日 在野のアナリスト
日銀の白井委員が米SF連銀主催の討論会で、2%の物価目標に近づくと、家計にはそれ以上の負担感となり、受け入れがたいと感じる可能性を指摘しました。その原因として家計が収入の見通しを厳しく見積もる傾向がある、としましたが、それが現実です。日本では家計の収入は右肩下がり、厳しく見積もるどころか、現状維持さえ許されずに下がってきたのですから、厳しく見積もっても尚、家計は苦しんできました。安倍政権になってもそれは変わっていません。
日本ではエネルギー価格を含むコアCPIを重視してきましたが、世界では生鮮食料品、エネルギーを除くコアコアCPIが重視されます。というより、日本ではコアコアCPIというものが、世界ではコアCPIというのです。9月の消費者物価指数をみると、コアCPIは0.1%減であるもののコアコアCPIは0.9%増。エネルギー価格の下落が大きく影響した、ということはうかがえますが、総合では0.0%です。車や冷暖房費など、エネルギーを多くつかう人には恩恵があった一方、コアコアCPIがこれほど上昇していれば、そうでない人には負担感が増した。家計調査でみれば実質賃金が1.3%減、これで負担感が増さないはずがありません。2%の物価目標に近づくとき、家計の実質賃金が下がっているなら、見通しどころか現状の生活環境が著しく悪化していることになるのです。
最近、日銀まで企業の賃上げに期待する発言をしますが、自分たちがついてきたウソを真実にするため、そうしているに過ぎない。ある番組に、第一次安倍政権時、経済ブレーンとして携わり、未だに安倍ノミクスの理論武装を発信している某大学教授が出演していましたが、雇用が増えている、安倍ノミクスは失敗ではない、とします。さらに将来、人材不足で賃金も上がる、と。
すでに番組内で「失敗じゃない」とは言うけど、「成功」とは言わない、との指摘もありましたが、安倍ノミクス唯一の成果は『雇用』としか言えないのでしょう。しかし今は企業も、高齢者の再雇用で、知識も経験もある人材を、再契約により安価に雇えるので潤っていますが、本当に人材不足で賃金が上がって行くなら、間違いなく海外に工場を移転します。賃金が上がらないぐらい、雇用と労働人口が均衡して、はじめてその動きが止まる。今の中国におこっている危機と同じことが将来、日本にもおこるに過ぎないのです。将来賃金が上がる、といったことは夢想です。トリクルダウン理論と同じ、現実にそうしたことが起こった験しはありません。
週末、株式市場は引け間際に急騰しましたが、英系の売り方が3連休を前に手仕舞いの買いを入れたことが原因です。一見、強い相場に見えますが、買いを溜める日米合弁系の動きからしても、買いは重く、売りは軽くなっている印象です。今は楽観が支配し、悪い材料も好感してしまう環境にあるため、仕方のない面はありますが、逆回転をおこすと下押し圧力を強くするでしょう。
問題は、その逆回転する原因の一つにテロ組織による油田、製油所への攻撃も想定されることです。証券系のアナリストが、来年の市場見通しをだしていますが、好環境と述べます。しかし今年こそ円安、原油安、と新興国不安はありますが、国内としてみれば絶好の環境だった。これ以上の好環境が来年訪れるとは考えにくく、むしろ逆回転をおこす可能性の方が高いのです。
そして懸念されるのは、ドル調達コストの上昇です。有事の円買い、とはならず、パリの同時テロでも円は売られた。米利上げ局面という以上に日本は景気後退、日銀は国債を買い溜め、まったく見るべき点がない。そればかりか、安保法制を見直したため、有事になると日本にも火の粉がかかる、そんな不安も円売りの材料とされかねないことが、今回露呈したのです。そしてドル調達コストの上昇は、間違いなく企業収益にとってマイナスに働くことでしょう。1億総活躍…かつて戦前の日本が唱えたように、老若男女が総動員で国難に挑もう、というお題目にしか聞こえない。その国難を招いたのは、経済政策の失政である、ともなれば、国民には負担感ばかりが押し付けられる、という現状が今後、さらに拡大してしまうことにもなるのでしょうね。
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