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他人事じゃない! 「ウソつきマンション」 これから始まる本当の悲劇と怒り 旭化成建材は氷山の一角
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46362
2015年11月21日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
■内部告発「手抜き工事は旭化成だけじゃない」 薄利多売の商売なもんで
「マンションの施工上の瑕疵については、年がら年中ご相談をいただいています。一番多いのがタイルの剥離。築年数が古くない物件なのにタイルが落ちてくる、と。あとは、建物の柱や梁に大きな亀裂が入っているとか、屋上から水漏れが発生しているとかです。こうしたご相談は毎日のようにあります。
しかし、ほとんどの場合、施工主らは自分たちの瑕疵を認めない。たいていは『地震のせいだ』などと言って逃げられてしまう」(NPO法人『集合住宅管理組合センター』の阿部悠一氏)
旭化成建材の一件は氷山の一角。
全国のマンションでは毎日のように「手抜き工事」による欠陥が見つかるが、表沙汰にはならずにもみ消されている。
それがマンション業界の実態だ。
中堅デベロッパー幹部は言う。
「そもそもマンション事業というのはデベロッパーにとって利益率が低い商売で、薄利多売というのが現実。だから、低予算を押し付けられる施工業者にとってもおいしい商売ではないわけです。いい施工業者は割のいい公共事業をやりたがるから、マンションの現場に来るのはそれより『格下の業者』となりやすい。手抜きをするつもりがなくても、完璧な工事ができない業者が出てきてしまう」
最近では、住友不動産と熊谷組が組んだ『パークスクエア三ツ沢公園』で「欠陥工事」が発覚。三菱地所レジデンスと鹿島建設が組んだ『ザ・パークハウスグラン南青山高樹町』でも「手抜き工事」が明るみに出たばかり。大手デベロッパーと大手ゼネコンが手を組んだブランドマンションでも不祥事が相次いでいるから、恐ろしい。
中堅ゼネコン幹部は言う。
「業界はとにかく人手不足がひどい。だから、これまでマンションを手掛けたことのない業者に頼んで、下請けに入ってもらうケースすら出てきている。そのうえ、資材高騰の中で建設費を極限まで抑えなければいけないから、『安値受注』する業者に依頼しがちにもなる。欠陥マンションが生まれるべくして生まれる条件が揃っているんです」
かつて耐震偽装問題で騒がれたヒューザー元社長の小嶋進氏は、「欠陥マンションが建たないとは誰も断言できない」と指摘する。
「今回の横浜マンションの一件は、施工段階で『偽装』が行われていた。日本では施工上の偽装を見抜く検査体制が脆弱なため、こうしたことが起こり得るわけです。仮に同様の偽装が行われていたら、誰にも気づかれない瑕疵を抱えたマンションが日本全国に存在することになりかねない。検査体制を整えない限り、欠陥マンションは防げないと思います」
マンションの安全神話は幻想だ。
実際、旭化成の平居正仁副社長は本誌記者に次のように答えている。
「すべて正しく検査をされ、正しくオッケーが出ていたとして、何らかの形でミスが起こる可能性はゼロではない」
問題が起きる可能性はゼロではない、ないとは言いきれない—。
これこそがマンション業界の偽らざる「本音」なのである。
マンション評論家の榊淳司氏は言う。
「絶対安全と言い切れるマンションはこの世にはひとつもない。われわれは、常に一定の確率で欠陥マンションを掴まされる可能性がある。マンション購入とは、つまり、その『ババ抜き』のババを引くかどうか。その賭けをしているのと同じことなのです」
ババを引いてしまえば、待っているのは地獄でしかない。
■「見舞金300万円+新築価格での買い取り」実は得か損か 「増額交渉」という手もある
「一律300万円の見舞金?もらえるのは嬉しいんですが、なぜその数字なのかは疑問です」(80代男性)
「希望者からは『新築分譲想定価格』で買い取ると説明されたが、それがいくらになるかがまったくわからないんです」(40代女性)
住民の間からこんな声が次々に漏れてくる。三井不動産が提示した補償案は果たして得なのか、損なのか。
まずは、「一律300万円の見舞金」について。
「傾いている西棟の住民の不安が一番大きいのになぜ『一律』か。西棟住民は倍額でもいいのでは」(70代男性)
住民からはそんな声が複数あがったが、不動産コンサルタント・さくら事務所会長の長嶋修氏は次のように指摘する。
「700戸以上の大規模マンションで見舞金すべてを個別交渉とすれば、収拾がつかなくなる可能性が高い。住民からすれば、ひとまずは一律で納得したほうがいい。どうしても不満があるという場合は、三井不動産側に『増額』を個別交渉するのが、得するための一番現実的な道でしょう」
不動産のプロたちの意見は概ねこれで一致するが、「新築分譲想定価格」での買い取りについては注意をうながす。
「新築販売価格の定義が曖昧なので、その算定方法や根拠などを確認する必要があります。実際は面積だけでなく、住戸のある階や方角によっても値段は違ってきますから」(不動産コンサルタント・オラガHSC代表の牧野知弘氏)
三井不動産が用意した不動産鑑定士が数字をはじき出す場合は、実勢価格より低く抑えられる可能性もあるので要注意。購入時の価格の同等額から「1・5倍」の間を目安に見たほうがいいという。
「これまで住民が泣き寝入りするケースばかりの欠陥住宅問題を考えれば、三井不動産の補償案はありがたいが、住民はまだまだこれで納得してはいけません」
欠陥住宅問題に詳しい河合敏男弁護士はそう警鐘を鳴らす。
「これから建て替えの話が現実的になってきた際、煩雑な権利関係処理の事務作業が必要になってきて、これは素人には難しい。それを補佐してくれるプロを管理組合が雇うのは必要不可欠だが、700戸規模のマンションだと数千万円単位の費用になりかねない。こうした費用の補償もきっちりと三井不動産に払わせるように交渉すべきです」
得か損かは、これからの住民の交渉力次第。
あくまで住民は被害者。受け身の態勢ではなく、強気でどんどん要求していくことが「勝利の方程式」となる。
■弱り目にたたり目、国税が被害住民の見舞金を狙っている 「所得」だから課税対象
「10月31日の住民説明会では『税金はどうなるのか』と質問が出たが、三井不動産の担当者はちゃんと回答しなかった。気になって税務署に相談したら、『仮住まいの家賃や引っ越し費用には税金はかからない』と言う。でも、300万円の見舞金は『どうなるかわからない』とはっきり答えなかったんです。これは取りに来るんだな、と思いました」
80代男性住民がそう「予測」する通り、国税はいま被害住民の見舞金に注目。ここから税金をかすめ取ろうと虎視眈々と狙っている。
「見舞金の300万円は非課税になると思われる方は多いでしょうが、課税される公算大です」
元東京国税局調査官で税理士の松嶋洋氏が言う。
「ポイントはこれが住民の資産や心身の損害を補填するものといえるかどうか。損害補填であれば原則非課税ですが、そうでなければ『一時所得』として課税対象になる。実際、マンションの瑕疵問題に基づいて一律に支払われた『解決金』に課税されたことに対して、マンション住民が国税に処分取り消しを求めた裁判の判決が今年2月に下されましたが、結果は住民側の請求を棄却した。今回も同様の扱いになる可能性が高いと思います」
ちなみに課税される場合は、300万円のうち125万円が年収などの所得に加算され、その合計額に所得税が課税されることになるという。
では、三井不動産に部屋を買い取ってもらった場合のカネはどうか。
「原則的には譲渡所得扱いで、売却価格から購入価格(建物の減価償却費控除後)を引いた差額に対して課税されます。新築で買った人は購入から7年が経過しているので税率は約20%。5年以内に中古で購入した人には約40%がかかります」(税理士の北田朝雪氏)
ただし、特例がある。
「マンション所有者は譲渡所得から最高3000万円の特別控除が受けられるので、今回は非課税で済みます。しかし、この特例は『実際に住んでいる』ことが条件。マンションの部屋を賃貸に出して不動産所得を得ている所有者、会社の事務所として使っている所有者は、課税されることになります」(北田氏)
傾いているマンションに「住め」とは、なんとも皮肉な条件だが……。
■上から目線の三井不動産、「態度、ワルー」 「カネなら払います」
住民に欠陥マンションを売りつけておいて、なんなんだろうこの偉そうな感じ……。住民のみならず、騒動をメディアで見ている多くの人も感じているのではないか。
三井不動産って、態度ワルー、と。
危機管理コンサルタントの田中辰巳氏が言う。
「一番驚いたのは、三井不動産がまず住民に説明したのが『全棟建て替え』と『補償』、要はおカネの話だったことです。普通はまず自分たちの責任の所在をはっきりさせて、頭を下げる。そのうえで、『お許しいただけるのであれば、建て替えさせて欲しい』と頼むものです。
それが、彼らははなから、『おカネで解決したい』と申し出た。こういう上から目線でこられると、彼らのすべての言動が不誠実に見えてくる。三井不動産としては本当は悪いとは思っていないけれど、物件引き渡しから10年は責任を負う瑕疵担保というのがあるから対応せざるを得ない。しかも、今回は大騒ぎになったから、百歩譲って法律上で求められている以上の対応をした。それなのに不満があるの、と」
三井不動産の岩沙弘道会長は騒動発覚後に一度メディアの前に現れ、謝罪はしたが、「その時の表情には切迫感がなく、笑っているようにすら見えた」(キー局記者)と専らの評判。一級建築士の碓井民朗氏も言う。
「過失が大きい割に、反省をしている、という気持ちが伝わってこない。むしろ、今回の件をうまく利用して三井のブランド力を上げられないか、『手厚い補償の三井』という新しいブランド価値を生めないか。この期に及んで、そんな打算すらしているように感じてしまいます」
追いつめられた時こそ、人も企業も「本性」を現すもの。この騒動を経て、三井不動産は「カネ」以上のものを失うかもしれない。
「週刊現代」2015年11月21日号より
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