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『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』 ロジャーズ氏の最新刊は初の金言集。「歴史と哲学を学べ」「商品投資は株よりもシンプル」「メールはすぐに返信せよ」などお金に困らない人生を歩む知恵が詰まった一冊だ。プレジデント社刊。
ジム・ロジャーズ「もしも私が今、30代の日本人だったら」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151119-00016692-president-bus_all
プレジデント 11月19日(木)8時45分配信
若くして巨万の富を築き、現在、シンガポールで悠々自適の生活を送る世界的な投資家ジム・ロジャーズ氏。そんな理想の老後に少しでも近づくために、今日本人がやっておくべきこととは。
■未曾有の大不況が近づいている!
中国株の暴落をきっかけに世界の市場が混乱しました。中国だけでなく、どの国もかつてないほどに借金を積み上げており、リスクは世界中に存在します。私は、世界経済はこの先、1〜2年後に失速し、過去の不況よりもずっと深刻な状態に陥ると考えていますが、現在の貿易の減少はその兆候のひとつです。モノが売れないのは人々の暮らしが豊かではないから。金回りがいいのは、金融で儲けた人だけです。
そのうち各国の中央銀行が弱気になり、市場を救おうとするので、安心感から相場が上向くでしょう。しかし、資金の流れを人為的につくりだしているだけなので必ず失速します。そうなると株価はさらに大きく下落するので代償が大きくなる。未曾有の大不況に突入するのです。
商品市場も過去1〜2年でかなり下落していますが、原油安が一因です。イランとロシアに圧力をかけるために、サウジアラビアは米国に説得されて増産を続け、原油価格が下がった。サウジアラビアがこれに応じたのは、シェール石油の台頭を阻止するという目的があったからです。原油安はしばらく続くと私は予想していますが、現在の水準ではシェール石油企業は儲かりません。ですから、シェール石油が大幅に減産されれば、原油価格はそのタイミングで底を打って上昇するでしょう。農産物をはじめ、ほとんどの商品が現在底値に近いので、将来は上がります。
日本では都心の地価が高騰していますが、1989年とは違ってまだバブルではありません。安倍政権は自国通貨の価値を下げるという間違った政策を続けていますが、そうすると人々は実物資産にすがるようになる。昔からその典型が不動産で、金利が低いときほどそうなります。
株式については、現在の日経平均株価は過去の最高値の半分くらいですから、まだ高水準ではありません。安倍さんがどんどん紙幣を刷っていますから、長期的に見れば借金が増えるだけなので日本にとっては悪いことですが、投資家にとっては好機が見込めます。
年内に日経平均株価が3万円を超えることはないと思いますが、日銀が非常に弱気になり、さらに紙幣を刷って市場浮揚策を打ち出すことは予想できます。安倍政権は投資を促すために税優遇策を実施し、年金基金に株式への投資を促しています。株式投資の初心者は知名度のある企業、つまり優良銘柄からスタートしますから、今後も日本の株式市場では、優良銘柄がベストな選択肢であるという状況が続くでしょう。
たとえ世界中の市場が崩壊しても、私は日本、そして中国とロシアの市場を選びます。この3つは、ほかの国よりも影響が小さいだろうと思うからです。中国株は最高値の半分以下になっています。ロシア株は世界の投資家から敬遠されていますが、安いですし、国は豊富な資源を持っている。政府は外国からの投資を促すために企業統治の改善などの法整備を進めています。資本や投資家を破滅させてばかりではダメだということに、彼らも気づいたのです。今では外国人と組んで投資を行っていますよ。原油価格の下落によってロシアの景気は悪化していますが、私は現在ロシア株を保有しているし、今後も好機が来れば買い増しするかもしれない。
米国市場のほうがよさそうに見えるかもしれませんが、ほとんど調整されずに約6年間も上げ相場が続いている。これは異常です。
中国とアジアの時代が来ることを予言して、2007年に米国から移住したシンガポールの自宅にて「今、一番の投資対象」と語る2人の娘と。生まれたときから中国人のベビーシッターをつけ、2人ともバイリンガルに育てた。
■家と保険を買ったら何に金をかけるべきか
このような時代に、豊かで幸せな老後を迎えるためには、お金を貯めることが最優先です。その次に大切なことは、情熱を注げられるものを早いうちに見つけ、それを追求することです。たとえば庭師になりたかったら、周囲が反対してもなるべきです。腕が良ければ皇居の庭師に抜擢されるかもしれないし、全国にガーデニングショップを展開する経営者になって、会社を上場するかもしれません。好きなことを仕事にした人はたとえお金持ちになれなくても幸せなはずです。
30代の読者には、さらに住まいの所有を勧めます。家を持てば、この先住む場所の心配をしなくてすむし、持ち家は安定資産ですから、自分の身になにか起こったときに頼ることができます。同時に、万一に備えて生命保険などの各種保険に加入すべきです。こうして持ち家と保険を手にして初めて、他の方法による資産形成について学べるのです。
ただし、投資するなら自分がよくわかっているものを選ぶこと。他人が持ちかける耳寄りな話を鵜呑みにすると、おそらく損をします。車でもファッションでも、好きで詳しく知っている業界があれば、まずその業界への投資から始めるべきです。新商品の発売など新しい動きがあったら自分でリサーチをしてみて、うまくいきそうだと思えばその企業の株を買う。新商品の価値がどれくらい持続するか、競合他社はどう動くか、次の商品はいつ出るかなど、あなたのほうが私やウォール街の投資家よりもよく知っているでしょうから、売り時もわかるはずです。
すべての人に助言したいのは、海外にも資産を持つことです。日本は安泰であると信じたいでしょうが、いつなにが起きてもおかしくない。私は、「最悪の投資先のひとつ」と言われていた70年代の日本に投資して成功しました。旅行で行ったことがあるとか、親しみを持てるとか、どの国でもいいので海外での資産運用を検討してください。これこそが本当に自分を守るための保険であり、お金を増やす手段ですよ。
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Jim Rogers
1942年、米国生まれ。イェール大学卒、オックスフォード大学修了。ジョージ・ソロスと国際投資会社クォンタム・ファンド設立、10年間で4200%のリターンを上げる。37歳で引退、バイクと車で世界を2度一周した。
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原賀真紀子=インタビュー、構成 宇佐美雅浩=撮影
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