3. 2015年11月19日 22:04:09
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アングル:米利上げで再びコモディティ価格は急落か [ロンドン 18日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が大方の予想通り12月に利上げし、ドル高が一段と進むようなら、コモディティ市場が再び大幅な価格下落に見舞われるのは避けられない。その第1の理由は、生産者の事情だ。大半のコモディティはチリやロシアといった非ドル圏で生産されており、ドル高は輸出収入の増加をもたらすとともに、現地通貨建てで支払う労働コストは低下するため、これらの生産者はコモディティ安局面をしのいでいくことが可能となり、供給が大きく落ち込むことはない。 第2の理由は新興国の成長鈍化。ファンドマネジャーによるとドル高で大半がドル建ての債務の借り換え負担が向こう2、3年で増大してしまう。これが近年はコモディティ需要をけん引してきた新興国の経済を冷え込ませる。 さらにコモディティの最大の消費国である中国が、コモディティを投入する重工業から国内消費主導の経済へ構造転換を進めていることが加わり、コモディティ価格が下がる素地は整い過ぎるほど整っている。 ロンドン&キャピタルの投資ディレクター、アショク・シャー氏は「世界経済、特に新興国市場における成長鈍化は、これまでに生み出され、なお生み出され続けている(コモディティの)過剰な生産設備が長期にわたって解消されないことを意味している」と述べた。 過剰設備は過去のコモディティ価格高騰局面で生まれた。銅は2011年2月にはトン当たり1万ドルを突破したが、今は4700ドル近くに落ち込んだ。北海ブレント先物は08年7月に1バレル=150ドルに迫ったものの、現在は40ドル付近で推移している。 生産設備の形成には3年から5年かかる。中にはもう稼働している設備もあれば、今後1年前後で稼働を始める設備もある。 一部の鉱業会社はこれまでのコモディティ価格下落を受けて生産を減らしたが、多くの業者はコスト低下の恩恵を受けて利益率を維持できるため、過剰供給状態にある市場でなおも生産ペースを落とさずにいるのだ。 JPモルガンが中国を除く世界の銅生産業者(全生産量のおよそ4割相当)を対象に実施した調査では、最も生産コストの高い業者は今年に入ってコストが14%下がった。来年になればコストはさらに5%下がると見込まれており、減産が期待できなくなるので銅相場の弱気見通しには拍車がかかっている。 コスト押し下げの主因は、現地通貨に対してドルが値上がりしていることだ。 (Pratima Desai記者) http://jp.reuters.com/article/2015/11/19/commodities-dollar-idJPKCN0T80L120151119?sp=true アングル:顧客選別に動く投資銀行、小口取引見直しへ [ロンドン 17日 ロイター] - 「お客様、今後はこれまでと同じような形では取引できかねます」──。投資銀行からはこんなメッセージが発せられている。大半の顧客との取引の収益性が低く、顧客数の削減を望んでいるからだ。 多くの投資銀行は、顧客層の大口上位100先が収入の40%を占め、上位1000先ではその割合が80%を超える可能性がある。残るその他の小口先はほとんど収入を生まないが、それでも銀行は資源や資本を投入しなければならない。 マッキンゼーの法人・投資銀行部門パートナー、ロジャー・ルディスリ氏は「(投資銀行の)大きな課題は、かなりの部分を占める比較的小口の顧客との取引の価格体系を変更するか、よりコストが安くなるような取引モデルを発見することだ」と述べた。 各銀行の法人顧客への対応はより事務的、強圧的になり自ら顧客を手放しつつある。経済的、あるいは規制面の理由から取引拡大が難しくなっていることや、収入よりも利益を確保する方針に転換していることが背景だ。 広告 ドイツ銀行(DBKGn.DE)の最高経営責任者(CEO)に就任したジョン・クライアン氏は2週間前にアナリストに対して、経営改革の一環として投資銀行部門の顧客を約半分に減らす方針を表明。これらの顧客との取引関係がリターンという点で妥当性を欠いているとの見方を示した。 クライアン氏によると、同行は顧客層の30%から80%の収入を得ている。 ドイツ銀行だけでなくスタンダード・チャータード(STAN.L)新CEOのビル・ウィンターズ氏も今月、収益性に基づいて顧客との関係を逐一再検討する意向を明らかにした。 ウィンターズ氏は、一部のケースでは「顧客との取引を打ち切らざるを得なくなるだろう」と話した。 投資銀行の中には数年前からひそかに顧客数を減らす取り組みをしてた向きもあるが、ここにきて一切手心を加えない姿勢が鮮明化しているように見える。 HSBC(HSBA.L) (0005.HK)は2011年から今年6月までに、主な顧客グループ約4000先のうち275先を削り、今後削減数を700─950先上積みするとしている。 <事業と資本のリスク> 投資銀行が顧客選別を進めるのは、事業面と資本面という2つの理由がある。 各行は、当局の経済制裁やマネーロンダリング(資金洗浄)取り締まりに関するコンプライアンス(法令順守)リスクの分野で、顧客削減を続けている。これらの規制に違反すれば、膨大な罰金を支払わなければならない。 一方で自己資本強化を求められ、それに伴って多くの取引を扱うコストが増大していることからも、顧客を減らしている。 例えばレポ取引はかつて日々十数先の顧客向けに低コストで実行できていたが、新規制の下では従来の5倍の資本を手当てする必要が出てくる。手数料を引き上げるか、顧客により多くの商品を引き受けてもらわないと割に合わなくなり、実際にドイツ銀行はそうした方向に動きつつある。 銀行の動きに呼応して多くの大企業も取引銀行の数を減らしており、残った銀行は企業の内部資金により深く関与できる。 顧客評価能力が最も低い銀行は「ババ」をつかみかねないとの声もあるとはいえ、それによって銀行による顧客の行動監視態勢が改善する契機にもなる。多くのバンカーは過去においてこうした監視態勢が欠如していたと認めている。 ある投資銀行幹部は、部下たちは毎週にわたって顧客や商品ごとに取引の妥当性をじっくり分析するようになり、この銀行は収入に比して費用がかかり過ぎる顧客との取引を解消した、と語った。 もっとも対顧客費用を正確に見積もるのが難しいことは自明だ。セールスやトレーディング、調査などのみならずミドル部門と後方部門の負担、顧客に費やされる資本のコストを勘案しなければならないからだ。 こうした中で銀行は、あまり取引に気の進まない顧客への対応を慎重に進めている。マッキンゼーのルディスリ氏によると、ほとんどの銀行は価格体系の変更か、電子取引プラットフォームへの移行やよりコストの低い地域にいるスタッフに取引を移管するなどの方策を試みるだろうという。 (Steve Slater記者) http://jp.reuters.com/article/2015/11/19/banks-investmentbanking-clients-idJPKCN0T80L520151119
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