2. 2015年11月19日 16:17:35
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日銀:政策維持決定−予想物価「このところ弱めの指標」と下方修正 (1) 2015/11/19 13:01 JST (ブルームバーグ):日本銀行は19日の金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を8対1の賛成多数で決めた。企業や家計、金融市場の先行きの物価感である予想物価上昇率については「このところ弱めの指標もみられている」として判断を下方修正した。 日銀はマネタリーベースが年約80兆円に相当するペースで増えるよう金融市場調節を行う方針を据え置いた。長期国債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−REIT)の買い入れ方針も維持した。反対したのは前回会合に続き木内登英審議委員だった。ブルームバーグが13−17日にエコノミスト41人を対象に行った調査では、全員が現状維持を予想していた。 7−9月の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率0.8%減と2期連続のマイナス成長となったが、日銀は所得から支出への前向きの循環メカニズムは引き続き作用しており、物価の基調も改善を続けているとの見方を変えていない。これを踏まえてエコノミストで追加緩和を見込む予想は皆無だった。 日銀は2%物価目標の早期実現のための鍵となる予想物価上昇率について、これまでの「やや長い目でみれば、全体として上昇している」という表現は据え置いたものの、「このところ弱めの指標もみられている」との記述を追加して判断を引き下げた。 金融市場の予想物価上昇率を表すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)はこのところ低下基調が続いている。日銀が10月2日発表した企業短期経済観測調査(短観)の「企業の物価見通し」は1年後に1.2%上昇と、6月の前回調査(1.4%上昇)から低下。3年後も1.4%上昇、5年後も1.5%上昇といずれも前回調査(1.5%上昇、1.6%上昇)から低下した。 物価の基調は改善 JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストはGDP発表後のリポートで、「今回のGDPが日銀の政策に及ぼす影響は限定的であろう。2期連続のマイナス成長ではあるが、GDPの内容は悪くない上、日銀が重視する『物価の基調』と『所得から支出への好循環』についての日銀の見方がGDP統計で変化する可能性は低い」としていた。 日銀は10月30日、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の前年度比見通しを15年度0.1%上昇、16年度1.4%上昇に下方修正し、物価目標である2%程度に達する時期を「16年度後半ごろ」と従来の「16年度前半ごろ」から後ずれさせた。それでも物価の基調は着実に改善しているとして、同日の決定会合で政策は据え置いた。 原油価格が引き続き低迷していることもあり、8月のコアCPIは日銀が異次元緩和を導入して以来2年4カ月ぶりの下落となり、30日発表の9月分も0.1%低下と2カ月連続マイナスとなった。一方で、日銀が独自に試算しているエネルギーを除くコアCPIは9月に同1.2%と上昇率を徐々に高めている。 追加緩和なし予想が増加 黒田総裁は10月30日の会見で、「物価の基調は着実に上昇している」とした上で、「経済全体でバランスが取れた形で2%に向けて上昇していくことが一番望ましい」と述べた。ブルームバーグ調査では、追加緩和なしの予想が19人(46.3%)と10月30日会合前の前回調査(33.3%)から増加した。 もっとも、日銀は展望リポートで、わが国経済は「2016年度後半ごろに2%程度の物価上昇率を実現し、その後次第に、 これを安定的に持続する成長経路へと移行していく可能性が高い」としながらも、こうした中心的な見通しについて経済、物価ともに「下振れリスクが大きい」と指摘。必要であれば躊躇(ちゅうちょ)なく調整する方針も変えていない。 バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストはGDP発表後のリポートで、日銀は次回展望リポートを公表する来年1月28、29日の金融政策決定会合で、「15年度の実質GDPをさらに下方修正せざるを得ないであろう」と指摘。 「特に設備投資に対する強気な見方は大きな修正を迫られるはずだ。直近10月の展望リポートで、日銀は15年度の実質GDPを1.2%増(政策委員見通しの中央値)としているが、これを少なくとも1.0%増まで下げざるを得ない」とみる。 春闘は期待外れに 日銀は最近、賃上げの重要性をこれまで以上に強調しており、来年の春闘で賃上げ率が拡大し、それが物価を押し上げることを期待している。しかし、第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは16日のリポートで、3年連続のベア実施を予想しながらも、賃上げ率は前年からやや鈍化する可能性が大きく、「日銀にとっては期待外れの結果に終わる可能性」が大きいとしている。 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは「日銀は物価目標の達成時期を『16年度後半ごろ』に後ろ倒ししたが、依然達成は難しく、追加緩和が必要になるだろう」と指摘。そのタイミングは「2014年10月の追加緩和で進行した円安がほぼ一巡して物価の基調が想定を下回るリスクが高まることや、春闘での賃上げの側面支援となる」2016年1月とみている。 ブルームバーグが10月30日会合前に行った調査では36人中16人(44.4%)が同会合での追加緩和を予想したが、今回の調査ではこのうちの多くが来年1月(29.3%)、4月(17.1%)に時期を先送り。一部は追加緩和なし予想に転じた。 木内氏は引き続きテーパリング提案 木内氏は前会合と同様、「マネタリーベース及び長期国債保有残高が年間約45兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節及び資産買い入れを行う」などの議案を提出したが、反対多数で否決。「資産買い入れ策と実質的なゼロ金利政策をそれぞれ適切と考えられる時点まで継続する」との議案も提出したが、1対8で否決された。 黒田総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は12月24日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイトで公表している。 関連ニュースと情報:日本経済は2期連続マイナス成長、7−9月GDPが年率0.8%減 (2)日銀:物価の基調は着実改善、2期連続マイナスでも判断維持−関係者遠のく緩和観測、引き金は為替−日銀、物価見通し下げても政策維持でトップストーリー:TOP JK 日銀の総合ページ:BOJ 日本のコア消費者物価の推移グラフ: JNCPIXFF Index GP M 関連銘柄コード:8301 JP (Bank of Japan) 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡徹 tfujioka1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net;宮沢祐介 ymiyazawa3@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 上野英治郎, 宮沢祐介 更新日時: 2015/11/19 13:01 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NXZJ4Z6JTSEE01.html 債券は上昇、中期堅調が長期・超長期ゾーンに波及−黒田総裁会見注目 2015/11/19 14:20 JST (ブルームバーグ):債券相場は上昇。このところ中期ゾーンが買われた流れが長期や超長期債まで波及し、相場全体を押し上げている。日銀はこの日の金融政策決定会合で政策の現状維持を決めたが、市場では午後の黒田東彦総裁会見が注目されている。 19日の現物債市場で新発20年物の154回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い1.065%を付けている。新発30年物の48回債利回りは1bp低い1.385%に下げている。長期金利の指標となる新発10年物国債の340回債利回りは、午後に入ってようやく横ばいの0.295%で開始。新発2年物の358回債利回りはマイナス0.02%と、前日に記録した新発債として5月28日以来の低水準に並んでいる。 長期国債先物市場で中心限月12月物は前日比1銭高の148円55銭で開始。いったん1銭安となったが、その後は横ばい圏でもみ合い。午後に入ると4銭高の148円58銭まで上昇した。
三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッドは、「2年債利回りがマイナスになっているが、売れる人もいない。短いゾーンがしっかりしているので、長いゾーンも堅調だ」と話した。日銀金融政策決定会合については、「無風だった。市場で追加緩和を予想している人もほとんどいなかった。当面、金融政策は波乱材料にはならないだろう」と言う。 18日の米国株式相場は上昇。S&P500種株価指数は約1カ月で最大の上げとなった。この日公表された10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録で早ければ12月に利上げを開始しても経済には乗り切れる力があると政策当局者が考えていることが示唆された。議事録では、利上げのペースが漸進的になるとしている。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「米国が12月利上げなら円調達コストをさらに低下させる要因となり、米金利に上昇圧力がかかっても、海外からの需要が円債金利上昇を抑制する」と指摘。「2年債利回りのマイナス状態が深まってきたほか、5年債利回りもじりじり水準を切り下げる展開。新発10年債利回りの0.30%割れを積極的に買い進む雰囲気はないが、しばらく0.3%台半ばには届かないだろう」と言う。 日銀決定会合 日銀はこの日、前日から開いた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を8対1の賛成多数で決めた。マネタリーベースを年80兆円に相当するペースで増やす金融市場調節を続ける。反対したのは木内登英審議委員の1人。ブルームバーグがエコノミスト41人を対象に行った調査では全員が今回会合での現状維持を予想した。午後3時半からは黒田総裁が定例会見を行う予定。 黒田総裁会見について、三菱UFJモルガン証の稲留氏は「13日に示された引当金積み増しルール緩和をめぐる質疑応答を通じ、日銀バランスシートや出口戦略に関する総裁の考えがうかがい知れれば興味深い」と言う。 関連ニュースと情報:日本国債に関する記事:NSN JBNA2国債入札に関する記事:NSN 9715トップストーリー:TOP JK 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 赤間信行 akam@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 青木 勝 更新日時: 2015/11/19 14:20 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NY10P46KLVRE01.html |