1. 2015年11月18日 18:47:49
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「オオカミおじいさん」藤巻氏、物価目標は日銀予想より前に達成 2015/11/18 15:02 JST (ブルームバーグ):日本の物価目標は日本銀行の予想よりも早い時期に達成−。その際には急激な円安・ドル高とハイパーインフレへ進み、財政危機を招く可能性がある、と藤巻健史参院議員(65)はみている。 日銀は10月30日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2%の物価目標に達する時期の予測を2016年度前半から同年度後半に修正した。原油安などを理由にした4月に続く2度目の先延ばしだったが、藤巻氏はむしろ、逆方向に進んでいる日本と米国の金融政策が円安・ドル高とハイパーインフレを招き、ひいては財政危機につながる可能性があると言う。 「日銀の異次元緩和は、財政法で禁止されている実質的な財政ファイナンス。全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)2%目標を達成した時に、日本がどうなるかが最大の懸念材料」、「財政ファイナンスを止めなければいけなくなるが、その時には日本がギリシャ化する。私は日銀より早くCPIが2%に達すると思っているので、もっと早くXデーが来るかもしれない」と藤巻氏は9日のブルームバーグとのインタビューで語った。 藤巻氏は日本の財政破綻を20年近く警告し続けて、自身を「オオカミおじいさん」と呼ぶが、国内総生産(GDP)との比較で世界最大に膨張している政府債務に関しては、危機感を持っている専門家は少なくない。元財務官の榊原英資青山学院大学教授は6月のインタビューで、公的債務の膨張に歯止めが掛からない日本が消費増税を怠れば10年後にも財政危機に見舞われると指摘した。 日本のXデー、「財政問題解決には、時期が遅すぎて無理」 ギリシャのような財政危機が日本で起きたらどうするのか。「Xデーが避けられないなら、企業・個人はドルを買って自分を守れと言っている。国も簡単にドルを使ってはいけない。外貨準備を売らずに持っておくべき。財政問題解決には、時期が遅すぎて無理なので、備えるべきだ。日本の国力に見合った為替水準は1ドル=180−200円程度」と藤巻氏は言う。 一方、「日銀はCPIが3%になろうと4%になろうと資産購入を続けるしかない。日銀が購入を止めると、資産価格がクラッシュする。ルビコン川を渡ったので戻れない。国債市場の中心人物である最大手が買い入れ量を減らすのは大変なことで、バリューアットリスク(VAR)ショックが起こる」と藤巻氏は読む。 ジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めるなど金融業界で活躍した後に政界入りした藤巻氏は昨年末、「日銀が財政危機をカムフラージュしていることが露呈した場合、200円を超えるドル高・ 円安に進む可能性がある」と指摘していた。ブルームバーグの市場予測調査によると、ドル・円相場は中央値で今年末に123円程度、来年末に126円程度が見込まれている。 財務省が公表した14年の債務残高は、対国内総生産(GDP)比で230%と主要7カ国中で最大。榊原教授によると、債務残高は今後6年間で約300%程度まで膨張する見通しだ。同省が10日発表した国債・借入金・政府保証債務残高は9月末時点で1054兆円程度となっている。 米国の利上げは1回では終わらない 9日の外国為替市場では、円が対ドルで一時123円60銭と8月以来の安値を付けた。6日に発表された10月の米雇用統計が市場予想を上回る結果となったことを受けて、12月の米利上げ観測が強まったことが背景だ。米国の2年債利回りは6日に一時0.95%と、10年5月以来の水準まで上昇した。同年限の日本国債利回りとの格差は88ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と約6年ぶりの水準に拡大した。 藤巻氏は、円安・ドル高が一段と進む根拠の一つとして挙げている米国の利上げ見通しについて、「イエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長がCPIは低いと言っても、景気は良い。ゼロ金利は異常な政策なので、12月に利上げを始めて、米金利は上昇していくと思う。少なくとも、これだけ失業率低下や株・不動産価格の上昇をみると、利上げは1回では終わらない」とみている。 一方で、「日銀は、未来永劫(えいごう)利上げできない。円安・ドル高トレンドを反転させるのは大変だろう。日米の金利差が広がるとドル・円はかなり上昇する。為替はCPIに極めて大きな影響を与える」と述べた。 日銀が2%の「物価安定の目標」と「量的・質的金融緩和」を13年4月に導入して以降、円は対ドルで2割を超える値下がりとなっている。長期金利の指標となる新発10年債利回りは、今年1月に過去最低の0.195%を記録。足元は0.3%前後で推移している。 「日本はブレーキがない欠陥車」 総務省が発表した9月の消費者物価統計によると、全国コアCPIは前年比0.1%低下と、13年4月以来の低下に転じた8月に続くマイナスとなった。一方、食料・エネルギーを除くと同0.9%上昇だ。 ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は、「16年度の後半に、まっとうな理由で2%を安定的に維持するのは無理」と指摘。ただ、「為替が少し円安に動けば2%へ行ってもおかしくない。為替相場や原油価格上昇など外部環境次第でワンタッチ2%はあり得るが、それだけでは長続きしない」とも述べた。 毎月8兆−12兆円程度の長期国債買い入れオペを実施する方針を示している日銀は、国債の最大保有者となっている。日銀統計によると、6月末時点の保有は295兆円程度と過去最高を記録し、国債等の発行残高全体の3割近くを占める。日本の国債市場では、流動性の低下が懸念されている。 藤巻氏は、2%の物価目標を達成した時に、「日銀は、量的・質的緩和をどういう理由をつけて続けるのか。日銀と政府のバトルが始まり、日銀にものすごいプレッシャーがかかるだろう」と指摘。「日本はブレーキがない欠陥車。財政赤字でインフレになって、日銀以外に国債を買う人が見つからない限り、Xデーが来たら1ドル=1000円だっておかしくない。ぼくがいつまでもオオカミおじいさんでいるのが日本のためだが、そろそろそうは言っていられなくなってきた」と語る。 藤巻氏は1950年6月生まれ。74年に一橋大学を卒業し、三井信託銀行(現三井住友信託銀行)に入行した。米ノースウェスタン大学大学院で80年に経営学修士(MBA)を取得。85年にモルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)に移籍し、95年から2000年まで東京支店長。2000年にはジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めた。2013年7月の参院選で日本維新の会(現維新の党)から比例代表で初当選した。維新の党の分裂騒動を経て、11月1日「おおさか維新の会」に入党。 関連ニュースと情報:【クレジット市場】円は「奈落の底」へ、財政危機露呈で200円−藤巻氏【クレジット市場】黒田氏の政策発言に現実味か、インフレ鈍化藤巻氏:黒田緩和「大失敗」、マイナス金利が正解−マル外で円安にトップストーリー:TOP JK 関連ニュースと情報:トップストーリー:TOP JK 関連銘柄コード:%JPY (Japanese Yen)8301 JP (Bank of Japan) 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 Chikako Mogi cmogi@bloomberg.net;東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 崎浜秀磨, 青木 勝 更新日時: 2015/11/18 15:02 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NXKT176K50XY01.html |