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財布の紐を緩めない中国の消費者 なかなか進まない経済のリバランス、刺激策に効果がない理由(JBpress)
http://www.asyura2.com/15/hasan102/msg/654.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 11 月 18 日 00:31:10: igsppGRN/E9PQ
 

比較的若い世代は消費に意欲的だが、彼らが主な経済主体になるまでは、消費主導の成長モデルへの転換は待たねばならないかもしれない〔AFPBB News〕


財布の紐を緩めない中国の消費者 なかなか進まない経済のリバランス、刺激策に効果がない理由
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45290
2015.11.18 金刻羽 JBpress


 この数年、中国の指導者たちは経済の「リバランス(再均衡)」を追求してきた。投資と輸出に基づく年来の成長モデルをサービスと国内消費に基づくモデルに置き換えるということだ。中国にとって、これは必要な移行だ。残念ながら、消費主導の成長は依然、遠い先の展望だ。

 確かに、国内総生産(GDP)に対する国内消費の寄与度はこの2〜3年で若干高まった。だが、これは主に、力強い消費の伸びではなく弱い投資需要を反映している。実際、蓄財は今もなお、中国家計の一番の目的だ。

 そして、中国の経済構造と発達が不十分な金融市場、弱い福祉制度を考えると、将来予見できる限り、高水準の予備的貯蓄が続くだろう。

 実際、消費を妨げている大きな要因は、比較的年配の中国人労働者が直面する、退職に備えて貯蓄する必要性だ。昔は、儒教の孝の伝統が、子供たちが老いた親を支えることを意味した。だが、一人っ子政策が30年以上続いた後、退職者はそれと同じような援助を期待することはできないし、中国には、不足を補うほどの強力な年金制度がない。

■高齢者さえもが貯蓄を増やす国

 現状では、都市部の退職者は平均して、収入のほぼ半分を家族の援助から得ている。だが、中年の労働者は自分が退職する時に、それほど期待できないことを知っている。平均寿命の延びと医療費の高騰もあって、高齢者さえ貯蓄を増やしている。この状況は、米国の高齢者の間で急速に進む貯蓄減少とは全く対照的だ。

 中国の家計が支出を増やす見込みが薄いもう1つの理由は、GDPに占める家計所得の割合が低下しており、1990年の約70%から2010年の約60%へと下がったことだ(先進国では、約80%の一定水準に保たれている)。

 この問題には2つの側面がある。まず、中国の成長モデルは歪んでいる。雇用の伸びよりも投資を重視しており、生産と輸出を助成するために部分的に賃金抑制に依存しているからだ。次に、金融抑圧のせいで中国の家計貯蓄の利回りは実質ゼロに抑えられている。

 低利の資本と安い人件費はGDPの伸びにとっては良いかもしれないが、家計の需要が抑え込まれている。その意味では、中国が対処しなければならない主たる不均衡は、消費と投資の間の不均衡ではなく、一方に家計、他方に政府と企業が来る二者の間の不均衡だ。

 典型的な刺激策がうまくいかなかったのは、このためだ。しかも、努力不足のせいではない。

 過去数年間、中国政府は、通常であれば消費者を刺激し、将来の高インフレを見越して消費を増やすよう促す拡張的な財政政策と緩和型の金融政策の組み合わせを実行してきた。

 このアプローチは中国で効果がなかっただけではない。家計が自分たちの購買力を守るのに必死になり、貯蓄を増やし、高い利回りを追求することで、逆効果だったということになる可能性もある。この効果はすでに、金融緩和にもかかわらず、消費者物価と生産者物価の上昇を阻止する一方、資産価格のバブルを膨らませてきた。

 明らかに、中国政府は資産価格の上昇から来るプラスの資産効果が消費を刺激することを期待していた。ところが、政府による金融イノベーションの促進は、株式市場の急騰を煽り、中国の経済的ファンダメンタルズに値する水準をはるかに超えるところまで押し上げた。

 今夏、政府が市場を抑制しようとした時、不本意にも大規模な売りの引き金を引いてしまい、それが即座に大暴落に発展した。主な原因は、こうした金融イノベーション(例えば信用取引など)だった。今後、その余波が消費のさらなる減少を招くかもしれない。

■将来に楽観的な若者世代への期待

 こうした状況はどれも、国内消費拡大を追求する中国の取り組みが失敗する運命にあることを意味しているわけではない。それどころか、文化大革命のようなショックが実利主義と用心深さを助長した今日の中年労働者とは異なり、中国の比較的若い世代は将来について楽観的だ。彼らは、両親や祖父母よりも高い賃金を妥当に期待できることを知っている。

 さらに、中国の若い世代は、先進国のライフスタイルに常にさらされていることもあって、自分たちの生活の質をはっきり意識している。その結果、両親よりもはるかにサービスや非耐久財にお金を使う傾向がある。

 彼らが中国経済の主たる主体となる時――つまり、彼らが中年になる時――には、中国の消費風景は様変わりしており、中国が世界的な売り手ではなく世界的な買い手の役目を果たしている可能性がある。

 だが、この移行は遠い先の話だ。その間、中国政府は異なる消費テコ入れ策を追求すべきだ。家計の借り入れの制約を緩和することから始めるといいだろう。

 近年、中国の家計債務はGDP比12%前後に上っている。これに対して、米国は95%という莫大な規模だ。

 中国では、住宅ローン債務はGDPの16%相当だが、対照的に米国は120%だ。

 中国では、15歳以上の人口のうち、住宅ローンを抱えている人がわずか5%で、クレジットカードを所有している人が8.2%。これに対し、米国の数字は前者が33.4%、後者が61%だ。

■本物の進展には時間

 明らかに、中国の家計には借り入れを増やす大きな余地がある。中国政府が家計の信用の制約を緩和すれば、中国の若者は米国の若者のように、自分の教育資金を賄ったり、さらに多くの耐久財を買ったりすることができるようになるだろう。

 経済的なリバランスに関して言えば、中国は辛抱し、リバランスに必要な類の消費急増をもたらすには、現在の世代はとにかく貯蓄に執着しすぎているということを認識する必要がある。進展を加速させるために政策立案者が講じられる対策はあるが、次世代が大人になるまでは、本物の進展は待たねばならない。

 

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コメント
 
1. 2015年11月18日 06:55:01 : jXbiWWJBCA

【第191回】 2015年11月18日 高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
世界経済の新たなリスク 新興国4ヵ国に注意せよ高田創・みずほ総研チーフエコノミスト
世界経済の回復力は鈍い
特に新興国には下振れリスク
世界経済は“新興国危機”のリスクを抱えている。写真はブラジルのサンパウロ
 11月、みずほ総合研究所は四半期毎に改訂している『内外経済見通し』を発表した。図表1がその世界経済予測総括表だ。
 2015年の基本シナリオは、新興国の減速が続く中、先進国が中心の回復となり、米国一国に期待が集中する米国機関車論であった。2015年を振り返れば、先進国、特に日本の回復力は期待外れだった。日本は、7〜9月期のGDP(1次速報)が年率▲0.8%と2四半期連続のマイナスとなり、アベノミクス始まって以来の逆風状態にある。
 今回も2015年の見通しは、前回(8月)見通し、さらに5月見通しに続き、全般的に下方修正を行った。中でも、日本は▲0.4%Ptと大幅な下方修正となった。新興国は予想通りの減速が続いたが、我々が注目したのは、世界経済の長期にわたるバランスシート調整の第3局面としての、新興国問題である。
 2016年を展望し、先進国は緩やかな改善を見込むが、新興国は下振れリスクを内包する局面にあるとした。
◆図表1:みずほ総合研究所の世界経済予測総括表(2015年11月)
(注)予測対象地域計はIMFによる2012年GDPシェア(PPP)により計算。
(資料)IMF、みずほ総合研究所
拡大画像表示
バランスシート調整の第3局面は新興国問題
リスク度が高いのは4つの国
 我々の抱く世界経済のバランスシート調整の3局面の基本シナリオは、図表2にまとめられる。
 第1局面として2000年代以降、先進国における、米国の住宅ブーム、欧州のユーロ統合ブームの過度な信用拡張の反動が、2007年のサブプライム危機、2008年リーマンショックにつながった。第2局面は、第1局面の危機に対処すべく、民間の過剰債務を公的に肩代わりする大量の国債発行、南欧を中心とした過度な信用拡張に伴う対外バランスの悪化によるものである。ここでの危機は欧州債務問題として2009年以降、南欧を中心に生じた。
 第3局面は、バランスシート調整が第2局面の先進国自らの財政対応だけでは収まらず、2008年の中国の4兆元対策に象徴されるような、新興国の信用拡張によって対処してきたことによるものだ。同時に先進国の中央銀行の超金融緩和の資金が新興国に流入し、新興国の信用拡張が進んだことの反動の側面もある。
 2015年以降、我々の認識は「端境期」とした牽引役の交代シナリオを取ってきた。すなわち、第3局面として、新興国が新たなバランスシート調整を迎える局面に入ったという認識である。
 第2局面で、欧州債務危機により経常収支の赤字国で問題が顕現化したように、第3局面でも新興国において経常収支の赤字国では問題が顕現化しやすい。今回、我々はリスク度が高い国として、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、トルコを挙げた。
◆図表2:世界経済のバランスシート調整の3局面概念図
(資料)みずほ総合研究所作成
米国一本脚打法は変わらない
利上げは“恐る恐る”にならざるを得ない
 今回の見通しの特徴は、日本の見通しを大きく引き下げたことに代表されるが、米欧ともに2016年を展望しても回復力は大きくないことだ。
 米国だけが金融政策の引き締め方向にする準備態勢にあるが、その他の国々は新興国も含め金融緩和による自国通貨引き下げで、他国の外需に依存する姿勢にある。それだけに、米国の一本足打法の状況は変わりない。
 米国の利上げは従来、景気の過熱を冷ますために行われてきたが、ここで仮に米国の回復が冷やされてしまったら、世界中に回復の火種がなくなってしまう。世界でただ一つ残った米国の火を消さないように、恐る恐る利上げを行う制約がある。こんな状況は未だかつてなかったことだ。
 米国は12月に利上げをしても連続的にはなりにくいだろう。また、政策金利を引き上げても長期金利の上昇は限られたものとなるだろう。

http://diamond.jp/articles/-/81855


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