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三菱重工本社ビル(「Wikipedia」より)
三菱重工の原発技術、中国企業へ流出の恐れ 政府の圧力で「巨費をドブに捨てる」投資か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151117-00010003-bjournal-soci
Business Journal 11月17日(火)22時32分配信
「国家と共に歩んできた」と自負する三菱重工業は日仏両国政府の顔を立てることで高い代償を払うことになる。
安倍晋三首相は10月5日、来日した仏マニュエル・バルス首相と会談し、日仏の原子力協力の推進で合意した。バルス首相は同国の原子力大手、アレバが経営難に陥っていることから、アレバと新型原子炉で提携する三菱重工に出資を求めた。
三菱重工、アレバの両トップも参加した会合で、バルス首相は「日本の原子力産業がフランスの(原子力の)再構築に参加してほしい」と要請した。
原発輸出を成長戦略の柱に掲げる安倍首相はもとより、経済産業省も当然のことのように、アレバへの出資を促している。
窮地に立たされたのが三菱重工だ。造船事業の巨額赤字や日の丸旅客機(MRJ)の開発難航で、他社を助ける余裕はない。しかし、国策を忠実に実行してきた三菱重工は官邸や経産省の意向を無視できる立場にはない。
三菱重工は持ち株会社アレバ本体と原子炉製造子会社アレバNPへの出資に向けて、具体的な検討を迫られることになった。
●経営危機に陥った仏アレバ
三菱重工の仏アレバへの出資は「ドブに捨てるようなもの」との辛辣な声が証券市場から挙がる。巨額の赤字を垂れ流し続けているアレバは、再建のメドがまったく立っていないからだ。
世界の原子力プラントメーカーは東芝・米ウエスチングハウス連合、三菱重工・仏アレバ連合、日立製作所・米ゼネラル・エレクトリック(GE)連合が大手3社といわれてきた。この関係が暗転するのは2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故からだ。
原発事故後、日本や欧米では太陽光など再生可能エネルギーの導入の機運が高まる。アレバは先進国で原発見直しの動きが出ていることに加え、フィンランドなどで建設中の新型の原子炉EPR(欧州加圧水型炉)でトラブルが続き、完成が大幅に遅れた。このため4期連続の最終赤字に陥った。14年12月期の赤字は48億ユーロ(約6400億円)、過去4年間では計78億ユーロ(約1兆500億円)巨額赤字を計上した。
仏大統領府は約40万人の原子力関連産業の雇用を守るため、政府主導でアレバを救済する方針を打ち出した。仏電力公社(EDF)が原子炉製造などを手掛けるアレバNPの株式を過半数取得して傘下に置いたうえ、政府がアレバ本体への資本注入に応じた。アレバ、EDFとも政府が株式の8割以上を保有する。
EDFが赤字の元凶である原子炉製造のアレバNPに51〜75%出資、アレバ本体に25%出資する枠組みが固まった。ところが、EDFはアレバ本体の株式の25%は持ち続けるが、アレバNPへの出資は51%に抑えると強硬に主張した。
残るアレバNPの株式の24%をどうするかが問題になった。仏政府は日本と中国に出資を求め、アレバと提携している三菱重工にも白羽の矢が立った。
●中国へ、三菱重工の国産技術が流出
仏政府は外国企業に最大24%の株式を割り振る計画である。出資額は900億円近い。三菱重工に14%、中国広核集団(CGN)と中国核工業集団(CNNC)の2社に計10%の資本参加を望んでいるとされる。三菱重工は500億円程度の出資となる。
CGNとCNNCはアレバNPから技術支援を受けており、現在、EPR2基を建設中だ。30年までに100基近い原発建設を目指す中国市場の開拓はアレバにとって経営再建の柱であり、中国2社は三菱重工より重要性が格段に高い。さらに仏政府は9月に中国と使用済み核燃料の再処理工場の建設で合意した。
その上、CGNとCNNCはアレバから技術を導入して中型炉「華龍1号」(新型PWR)を開発した。華龍1号はアレバと三菱重工が共同開発した中型炉「アトメア1」と、もろに競合する。英国は東部のブラッドウェル原発に華龍1号を使うという。中国の習近平国家主席の訪英に合わせて発表された原発建設計画の中核をなす技術が華龍1号なのである。中国は原発事業会社の株式の3分の2を取得し、英国の原発事業へ総額400億ポンド(7兆4000億円)に上る投資をすると伝えられている。話半分にしても、大変な金額である。英国ではたちまち立地住民の建設反対運動が起こっている。
もし、三菱重工が出資を見送った場合、アトメア1は潰される。アレバNPに出資しても、英国の例が示す通りアトメア1の世界展開は進まず、むしろ日仏中連合を通じて三菱重工の持つ国産技術が中国2社へ流れる恐れが強い。
アレバNPだけでなくアレバ本体への出資に応じれば出資額はさらに膨らむ。三菱重工がアレバに投じる資金は、極言するなら中国での核燃料の再処理工場の建設費用に充てられることになる。中国にとって三菱重工が金を出すメリットは大きい。金だけでなく技術も手に入るわけだ。
三菱重工の財務部門はアレバと子会社への出資に懐疑的だ。「やめたほうがいい」との強硬意見ばかりだ。
11月2日、北京を訪問中の仏フランソワ・オランド大統領は、中国の習近平国家主席と会談し、原子力や環境分野を中心に経済協力を拡大することで合意した。EDFやアレバなど40社の企業トップが大統領に同行した。
経営再建中のアレバに対し、CNNCが出資することが決まった。アレバとCNNCは資本関係を含む協力強化を図ることで合意。オランド大統領と習主席の立ち会いの下で覚書に調印した。
アレバの発表によると、CNNCは少数株主としてアレバに出資することや、ウランの採掘、核燃料サイクルといった広範な分野で協力の強化を目指す。アレバは声明で「中国のパートナーとの協力強化は将来の成功に欠かせない」と強調した。ただ、出資金額や出資比率は明らかになっておらず、年内に詳細を詰めることになる。
三菱重工は国産旅客機MRJの開発が難航し、日本政策投資銀行から1000億円の融資を受ける。リターンが少ない、いやまったく期待できないアレバへの出資はしたくないのが本音だが、それを押し通すことはできそうにない。
日仏両国政府が原子力協力を推進することで合意した以上、三菱重工は出資を受け入れるしか選択肢はなさそうだ。
三菱重工にとって、仏アレバとその子会社の出資は喉に刺さった太い骨となった。
編集部
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