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東芝にまた会計不祥事が発覚!口先だけの是正策、本気で「再建」に取り組む気があるのか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46395
2015年11月17日(火) 町田 徹「ニュースの深層」 現代ビジネス
■また、やっちゃった
混迷が続く東芝に、新たな会計不祥事が発覚した。
先週月曜日(11月9日)発売の日経ビジネスが報じたもので、同社が頑なに連結ベースでの減損処理を拒んできた米原子力事業子会社ウエスチングハウス(WH)に関して、WHが米監査法人に減損処理を迫られて2012、3の2会計年度に合計1600億円の損失処理を実施していたにもかかわらず、それを開示せず、上場企業としてのアカウンタビリティ(説明責任)を怠ったというものだ。
これに対して、東芝は、報道された事実関係を否定せずに、特殊な会計ルールを適用しているので連結ベースでは減損処理の必要がないという趣旨のコメントを公表するにとどまっている。
これを受けて、新聞各紙も新たな隠ぺいを競って報じ始めた。
ご存じの通り、東芝は今年9月、2014年度第3四半期までの6年9ヵ月間に2248億円の税引き前利益の水増しがあったと決算修正を行ったうえで、取締役会の過半数を社外取締役とする新しい経営体制を発足させたばかり。
しかし、そうした是正策が口先だけだったことがはっきりと裏付けられた格好で、早くも再建が暗礁に乗り上げたのだ。
日経ビジネスによると、WHの減損処理は、2012年度が9億2600万ドル(約1110億円)、2013年度が4億ドル(約480億円)だ。いずれも新規の原発建設の受注などの不振から、バランスシート上の資産価格を大幅に切り下げざるを得なかったというもので、WHは両年度の期間損益が赤字に転落したという。
こうした事実は、同誌が入手した東芝経営陣の電子メールのやりとりなどを記載した内部資料で明らかになったとしている。
早くから、WH問題の闇を指摘する向きは多かった。筆者もその一人で、本コラム(2015年7月21日付「膨らんだ『のれん代』1兆円超 東芝がひた隠す『原発事業の不都合な真実』」http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/44271)などで、事態の収拾を当時の経営陣任せにしていては問題が封印されかねず、再建に支障をきたすと警鐘を鳴らしてきた。
というのも、WHは、東芝が社運をかけたM&A(企業の合併・買収)案件であり、2006年から2度にわたって総額6600億円あまりという巨額の資金を投入したにもかかわらず、新規の原発建設受注が10基程度と、当初の目論みの3分の1から5分の1という低水準にとどまっていたからだ。
背景には、スリーマイル島、福島第一両原発の大事故や、廉価なシェールガスの商用化がある。世界的に原発事業を成長分野と見込むことが難しい環境になり、会計的にも投資戦略の失敗の清算を迫られていたのである。
■役目を果たさなかった監査法人
東芝は今年9月の決算修正で、半導体やPCなどの部門で翌期の利益を先食いして利益を水増しするパターンの不正を修正した。だが、それだけでは不十分であり、WHを含む連結ベースでの減損処理もすべきだったのである。
ところが、東芝は「新規建設は減っているが、補修・管理が伸びている」「将来性は不変だ」「米会計基準に則って会計処理している」といった理由を並べて、WH単体の財務状況の開示も、東芝本体の連結ベースでのWHの「のれん代」(買収金額と買収対象になった会社の正味価値の差額)の償却や保有株式・有形固定資産などの減損処理も、頑なに拒否してきた。
もう一つ、日経ビジネスの記事で注目されるのは、こうした減損処理の見合わせは、同社の監査を担当している新日本監査法人が積極的に認めたものではなく、東芝が圧力をかけて新日本監査法人に容認させた疑いを浮き彫りにしたことだ。
同誌によると、東芝は2013年7月、当時の副社長がWH幹部に宛てた電子メールの中で、入札によって監査法人の首を挿げ替える考えをちらつかせながら、新日本監査法人の提携先でWHを担当している米監査法人に、WHに対する減損処理要求を取り下げさせようとしたという。
そして、これが難しいとなると、特殊な会計ルールを持ち出して、減損処理が東芝本体の連結決算に波及するのを防ぎに回ったという。その特殊な会計ルールとは、関係の深い事業をひとまとめにして評価する「グルーピング」と呼ばれるものだ。
WH単体は減損処理で期間損益が赤字に転落したが、連結ベースで見れば東芝本体の原子力部門がキャッシュフローを生んでいるので、WHを含む連結原発部門の減損処理は不要だという“屁理屈”を新日本監査法人に容認させて、連結の減損処理を回避したというのである。
一連の経緯には、グローバルベースで10億円近くになるとみられる監査報酬の出し手である大口クライアントの東芝に頭が上がらず、果たすべき公正な監査をできない新日本監査法人の弱体ぶりも伺える。
監査法人問題はさておき、これほどおかしな話はない。というのは、会計上のルールにグルーピングが存在することと、それを採用してよいかということは、まったくの別物だからだ。
■隠ぺいを試みたのは明らかでは?
東芝のように、WHを戦略投資と位置付けて巨額の資金を投入してM&Aを敢行した場合、その結果をきちんと株主に開示するのは上場企業の当然の責務である。他の大きな部門とグルーピングすることで結果を隠ぺいするというのは、社会常識からしてあり得ない行為だ。当然、許される会計処理ではない。
つまり、東芝はWHに関してグルーピングを採用すべきではなかったのである。
もし、何か正当な理由があってグルーピングを採用するなら、これを導入した2012年度に情報開示すべきだったことも言うまでもない。
東芝は11月13日、「11月7日付当社『2015年度第2四半期決算』にてお知らせした通り」で「当該事業部門全体として収益性が確保されているので減損処理を計上しておりません」とのコメントを出したが、これでは遅過ぎて致命的だ。
「重要な決算方針の変更」として、2012年度決算の際に、グルーピングを採用した事実を明示したうえで、新旧両基準で算出した数値を併記する必要があったはずである。
それらの開示を怠ってきた事実から推定される結論は、はっきりしている。東芝はWH単体と、本体の連結決算の双方で、減損処理の回避、減損額の矮小化、減損損失の隠ぺいを試みていたとみなさざるを得ない。
今後、東芝が、減資、増資などを組み合わせて毀損したバランスシートを修復し、速やかに経営を再建しようとするならば、連結ベースでの徹底的かつ早期の減損処理が不可欠だ。さもないと、将来にわたって収益面で重い十字架を背負うことになる。
執行部が隠ぺいを続けたために、社外取締役陣には知る術のなかったWH問題の一端が見えたのだ。徹底的に執行部を追及し、会社を早期に再建軌道に乗せられるか、社外取締役陣の力量が問われている。
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