2. 2015年11月16日 08:58:01
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>「子どもを産むのがブルジョア」な日本そんなに単純ではない 世帯年収や、それと相関が高い学歴よりも 女性への子育て支援や就労支援が有効であることは確認されつつある http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/01_honpen/html/hm02010006.html 子育てに最低限の所得は必要だが、子どもの数と所得の関係は不明確
それでは、所得は出産行動にどう影響しているのだろうか。世帯収入と子どもの数との関係を見るために、ほぼ子どもを産み終わったと考えられる、妻の年齢が40〜49歳の世帯を見てみよう(第2−1−9図)。まず、年収が400万円以上の世帯について見ると、子どもの数と年収との間に明確な相関は見られず、1,000万円以上の層ではむしろ子どものいない世帯あるいは子ども一人の世帯の割合が高くなっている。こうしたことから、多くの子どもを育てるために必ずしも所得が高くなければならない訳ではないと考えられる。 第2−1−9図 年収400万円未満の世帯において、子どものいない世帯の占める割合は高い 他方、年収400万円未満の世帯において子どものいない世帯の割合が他の層よりも高い。つまり、一定の年収以上では必ずしも所得と子どもの数には明確な関係が見られていないが、一定の経済力を下回ると子どもを持つ経済的負担感が高まり、子どもを持ちにくくなると考えられる。
http://www.e.yamagata-u.ac.jp/~oshiro/paper/shindo2011.pdf 子化傾向の改善がなされない要因
これまでは尐子化の原因は晩婚化であり,結婚した夫婦の 出生児数は減尐しないと見ていたが,今回の推計においては晩婚化に加えて,結婚した夫 婦の出生児数が減尐するという新しい傾向が認められた,と報告している.ゆえに,本稿 では尐子化の動向において,「出生力を低下させたものは何か」問うことにしたい. 出生力を抑制する要因とその対策について考察する.『尐子化社会を考える懇談会 資料』 (厚生労働省 2006)より尐子化の主な対策として「子育てコストに関するもの」と「育児 と就労の両立に関するもの」という項目が挙げられている.そこで,これら 2 つの観点か ら具体的な対策を確認していく. 本研究においては,経済的・サポート的という 2 つの焦点から,学歴別にそれらの施策 が子ども数にどのように関わってくるかを計量的に分析してきた.前節の分析によってわ かった結果を簡単にまとめると以下のようになる. a.年齢統制なし モデル1. 合計年収と子ども数との関連は,高い学歴層(短大卒層,大卒層)にお いて確認され,仮説 1 と整合的であった. モデル2. サポート数と子ども数との関連は,短大卒層のみで確認され,仮説 2 と は異なった結果であり,また学歴による序列も確認できなかった. b.年齢統制あり モデル3. 30 代においては全ての学歴層で有意差が見られず,特に学歴による関連 の違いは確認できなかった.しかし,40 代では年齢統制前と同様に高い 学歴層(短大卒層,大卒層)において有意差が見られ,更により強い相 関があったことから,仮説 1 との整合性が確認できた. モデル4. 30 代においては全ての学歴層で有意差が見られ,やはり学歴による関連 の違いが確認できなかった.しかし,40 代では高卒層においてのみ有意 差が確認できたことから,仮説 2 との整合性が確認できた.
合計年収に関しては,サンプル全体と 40 代のみのサンプルで,仮説通りの結果が得られ た.40 代のサンプルは,今後子どもを産む可能性が低いサンプルとみなしていることから, 「今後まだ子どもが増える」という不確定な要素が除外されるため,より正確なデータに なっていると考えられる.よって,年齢統制後 40 代のみのサンプルで子ども数との関連に 学歴差が見られたことから,仮説 1 はデータにより実証されたと言える.なお,モデル 3 で示されたように,30 代のみのサンプルでどの学歴層にも有意差が見られなかった原因と しては,前述の通り「今後まだ子どもが増える」という不確定要素が含まれていたことや, 日本の年功序列の賃金制度の影響から,40 代に比べ年の若い 30 代のサンプルでは合計年収 が比較的尐ないカテゴリに偏りがちであったと思われる.実際に,年齢層でエラボレーシ ョンした合計年収の度数分布表(図表 4-1)からも,30 代と 40 代では,分布が大きく異な っていることが確認できた.ために,子ども数との関連において差が出にくかったことな どが考えられる. http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45255 老人の国へまっしぐら、高学歴女性ほど結婚しないタイ アジアの少子高齢化(2)〜バンコクの合計特殊出生率は0.8 2015.11.16(月) 末永 恵 バンコク爆発に「10人以上関与」、国内組織が計画か 警察 タイ・バンコクで20人が死亡した爆発現場で犠牲者を追悼する人々(2015年8月20日撮影)〔AFPBB News〕 政府がお見合い会を主催しなければならなくなった国、シンガポールのケースを前回は見てきた。しかし、「笛吹けども踊らず」で、少子化対策に特効薬はないようである。 ASEAN(東南アジア諸国連合)で第2位の経済大国、さらにこれからも投資拡大が期待されているタイも、実は少子高齢化問題が重くのしかかってきた。 タイと言えば、日本と二人三脚で発展してきたと言ってもよいほど日本企業の進出が著しい。タイで大規模なデモが発生して放火されるような事件があっても、日系企業の入っているビルは絶妙に避けるとも言われている。 日本にとってもアジアの拠点として最も重要な国と言ってもいい。しかし、この国でも少子高齢化が急ピッチだ。いまや日系企業がタイに進出する際の問題は、賃金やカントリーリスクの上昇ではなく、実は人出不足(高度人材含む)にある。 あと15年で高齢者率25%に タイ国家統計局によると、2014年の60歳以上は6500万人の人口のうち約1000万人で、全人口の約15%にも上り、6.5人に1人が60歳以上という、すでに立派な高齢化社会となってしまった。 1994年に約7%だった60歳以上人口が2012年には約12%へと跳ね上がった。高齢者数は2030年には1760万人(総人口の約25%)、2040年には2050万人に達すると見込まれている。 また、合計特殊出生率も1.39と日本より低く、首都バンコクに限っては0.8とも言われ、平均年齢も他のアジア諸国よりはるかに高い34歳(ASEAN域内で2番目、トップはシンガポール)。 ASEAN域内では、イスラム国家ゆえに人口増が見込まれるインドネシアやマレーシアを除けば、タイはシンガポールに次いでいち早く、“超”少子高齢化社会へ向かうのは間違いないだろう。 他のアジアの国と同様、医療技術発展に伴い平均寿命が伸び、高齢化に拍車がかかり、一方、人口抑制策を進めるなか、女性の高学歴化による社会進出拡大で晩婚化、未婚化が急増していることが背景にある。 筆者の友人のタイ女性も独身生活を謳歌している。30代前半の彼女は、タイの東大と呼ばれる最難関のチュラロンコン大学を卒業し、米スタンフォード大学で経営学修士を取得。現在バンコクの欧米企業で管理職を務めている。月収は日本円に換算して約80万円。 彼女によると、タイ、特に都市部の高学歴の女性は本当に結婚しないという。 彼女曰く、「皆、結婚したくないのではない。だけど、特にタイの男性は働かないし、女性が家計を支えて働いているケースも多い。タイに理想の相手がいないだけ。今の生活を切り詰めてまで、という結婚願望がないとも言えるかな」とあっけらかん。 日本では「ワーキングプア」層の拡大で結婚できない男性が増えているが、タイでは女性や男性で年収が低いほど結婚率が高く、その反対に年収が高いほど結婚率が低いという現象が起きている。 地方でも子供は最大2人まで タイの場合、上述の友人のケースだけでなく、本人が高収入だから結婚しないというより、贈与税(2016年2月施行予定)や固定資産税(2017年施行予定)もないタイでは一族の資産が多く、裕福なステイタスや生活を手放したくないという社会構造事情も左右しているかもしれない。 また、「結婚しない女」だけでなく、晩婚化で「子供を生まない女」も増えてきており、今では都市部に比べ子供が多いはずの地方ですら、夫婦の間に子供は2人までというのが常識化しているという。 そんななか、政府(軍事政権下)は政治経済の制度改革を図る「国家改革議会」が少子高齢化対策を重点施策と位置づけ、このほど同対策のため2017年度(2016年10から2017年9月)から、個人所得税の控除枠拡大計画を明らかにし、子育て支援目的の「年少扶養控除拡大」を盛り込んだ。 現行では年少扶養控除は「子供3人が限度」(子供1人当たり1万5000バーツ=約5万円)だが、これを「無制限」に変更することで、4人目以降の多産出産にインセンティブを与えようというもの。 指定教育機関就学の場合は、「25歳まで」が控除対象。今後は「年収の40%、最大6万バーツ(約19万円)」の基礎控除拡大も検討中だという。 また、少子化対策だけでなく高齢社会に向けた取り組みも、まだ始まったばかりだ。 最大の問題は、高齢者の低所得問題。タイの国家統計局などの調べでは、高齢者のうち、貯蓄のある人は34%にとどまり、その半数以上が貯金が全くない状態で、「貧困高齢者」が増えているという。 経済発展に伴う物価上昇などで、公的年金では賄えず、生活費などのほとんどを子供や孫からの仕送りなどに依存し、医療費などへの将来不安などを理由に高齢者の自殺が20%近くにまで増加し、年々増加傾向にあるという。 首都バンコクには、24時間体制の高齢者専門医療施設があるが、破格な入居料で富裕層に限定されているのが現状だ。 とりわけタイでは、高齢化対策は少子化を上回る緊急課題。医療や介護サービス、さらには年金問題など取り組む問題は目白押しだ。高齢者基金は設立されたものの、高齢者医療保険や老齢年金についてはまだまだ検討の段階。 年老いた親が孤独死するケースも 制度面の問題だけでなく、少子高齢化問題は、タイの伝統的な家族制度の「大家族主義」も変えようとしている。都市部でも農村部でも共働きの両親に変わって祖父母が子供の面倒を見て、家族を支えてきたが、その大家族主義も崩壊危機寸前だという。 経済成長の発展で農村の若い世代は都市部に移住、年老いた親が孤独死するケースも増えてきたという。 現在のタイの1人当たりのGDPは約5426ドル(IMF統計、2015年10月時点)。今年にも人口ボーナス期が終焉すると見られるが、先進国との経済や技術力と後発新興国の追い上げの狭間で、このままいくと、豊かになる前に老いていく事態に陥ることが予想され、まさに「中所得国の罠」にはまってしまったと言える。 こうした事態は、中国リスクを避けるためもあっていまなお進出が絶えない日本企業にとって厄介な問題だ。アジアは日本と違って若い働き手がいっぱいいる、しかも賃金は安い――。このような考えをいまだ持っているとしたら、それは幻想に過ぎない。 さて、次回はお隣の国、韓国と中国を取り上げる。これらの国もまた深刻な事態に発展している。 |