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パリで発生した凄惨なテロは、株式市場にどのような影響を及ぼすだろうか(写真:REUTERS/Yves Herman)
テロが株式市場に与える心理的影響は大きい 先行き不透明だと気迷い生じる投資家心理
http://toyokeizai.net/articles/-/92658
2015年11月15日 馬渕 治好 :ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済
8〜9月の内外市場には、気迷い気分が蔓延していた。中国経済の先行き、それが日米等の景気・企業収益に与える影響、米連銀はいつ利上げするのか、利上げしたらどうなるのか、フォルクスワーゲンスキャンダルのドイツ経済への影響――といった、不透明要因が満載だったからだ。
ところが11月上旬にかけて、日米株式市場の気迷いはいったん影を潜めた。その背景には、次のように不透明要因が縮小したことが大きい。
1)中国経済は依然として冴えないため、日米企業の中国関連事業の収益が極めて悪化しているのではないかとの懸念が一時強まった。しかし、最近の7〜9月期の決算発表で、中国関連事業の収益が心配したほど悪くはなかった、悪いなりの度合いが見えたとして不透明感が後退した。
2)アメリカは、11月に入ってイエレン議長を含めた連銀高官の発言や6日発表の10月の雇用統計の堅調さから、12月利上げの観測が強まった。金利が上がるということ自体は決して株価にプラスとは言えないが、利上げがいつ行われるのかがわからない、という不透明感が薄らいだ。
こうした心理の改善が、11月第1週(11月2日〜6日)の株価が世界的に上昇した(当該週の世界各国の株価指数騰落率をみると、株価が下落した国が8カ国しかなかった)ことに表れていた。
■投資家の心にむらむら出てきた気迷い
ところが先週(11月9日〜13日)の米国株はほぼ一貫して下落している。この理由として、利上げが気になる(今さら?)、欧州株が下落したから、原油価格が下がったから(他市場のせい?)といったものが報じられているが、どれも腑に落ちない。おそらく、先々週まで米国株価がかなり堅調に推移したため、かえって「逆に反落するのではないか」という懸念が、投資家の心の中にむらむらと湧き上がり、売りが嵩んだという解釈のほうがすっきりくる。
日本株は、さすがに先週末の13日(金)は米国株に巻き込まれて調整したが、総じて底堅さをみせた。ただ、相場の動きとは異なり、投資家の不透明感は強かったようだ。というのは、筆者は週次メモ「時の花」を、毎週月曜日に配信している。このメモ、株価が大きく下落すると投資家の方々が不安になるためか売り上げは伸び、株価が上昇している局面では逆に増えないという傾向がある。
しかし先週初は、配信直後からメモを買い求めてくださる方が多かった。ここから推察すると、総じて堅調な国内株価の推移にもかかわらず、「このような株価上昇が続くのは不安だ、何か悪いことが起こるに違いない」と感じた投資家が多かったのではないか、と感じている。
先に述べたように、11月9日〜13日の米国株軟調と、それによる先週末の日本株下落は、実態面で悪いことが起こったとはまったく考えておらず、それまで順調だった株式相場に対する警戒感が主因だったと推察している(米国株式と原油先物などでヘッジファンドによる同時並行的な大きな投げがあった可能性はある)。
とすれば、16日以降の日本株については、心理面の変化を考えればよい。週前半は、まだ気迷い気分が居座りそうだ。13日夜、パリで陰惨なテロが発生した。犠牲者の方のご冥福と、怪我をなさった方の一日も早い回復をお祈りしたい。こうした事件は、市場の地合いが強い時はそうでもないが、心理が悪い方向に傾いている局面では、市場に(短期的だろうが)大きく影を落とす恐れがある。
■日本市場はテロ事件をどう消化するか
「イスラム国」による犯行声明ビデオは流暢なフランス語だった
たとえば、テロが他国で起こるのではないだろうか、あるいはそれを防ぐために、各国政府だけではなく企業が自衛のために警備を増やすなど、コスト負担が生じてしまうのではないか、パリへの観光客が減ってフランス経済にとって打撃になるのでは、海外への観光旅行や出張が自粛され、空運会社の収益を圧迫しかねない、など、種々の懸念が市場で広がる可能性は否定できない。この事件を世界で最初に消化しなければならない主要市場が、週明けの日本市場というのも、日本株の不透明感を強めそうだ。
また、16日にGDP(7〜9月期)が発表される。10月のESPフォーキャスト調査(41人のエコノミストに対する集計)では、実質経済成長率(前期比年率ベース)は0.55%増が見込まれている。しかし7〜9月の鉱工業生産は前期比で1.3%減少しており、実質GDPも2期連続のマイナス成長となる可能性は否定できない。
18日〜19日には、日銀の金融政策決定会合があるが、金融政策の変更はないだろう。「GDPを確認して景気が悪いから追加緩和」という展開は、10月に日銀が景気見通しを引き下げた際に追加緩和しなかったことと矛盾する。ただし、政府が来年の参議院選挙をにらんで、法人減税の加速や大幅な最低賃金の引き上げ、補正予算といった金融政策以外の経済政策を打ってくる可能性はある。
政府がこうした政策を発表することは、株価を押し上げる即効性のある材料にはならないが、投資家心理を下支えする効果はある。今週(16日〜20日)の株式市場は、前半は気迷い気分が嵩みそうだが、その後は少しずつ落ち着きを取り戻すのではないか。日経平均株価は1万9200〜1万9800円のレンジを予想する。
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