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波乱の鉄鋼市場
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 11 月 15 日 09:21:28: Mo7ApAlflbQ6s
 

波乱の鉄鋼市場

(上) 輸入材、国内価格下押し メーカー減産、思惑外れ シェア維持優先も

 鋼材価格の下落が止まらない。中国経済の減速に端を発した供給過剰と価格競争がアジアへと拡散した。円安に守られてきた日本も例外ではない。最終製品の取引だけでなく原料段階の鉄スクラップまで影響が及ぶなど、国内の鋼材関連市場は波乱に見舞われている。


 鋼材の問屋や加工業者が集まる千葉県浦安市の浦安鉄鋼団地。トレーラーに積まれた鋼材のカバーに見慣れない漢字が並んでいる。中国製を含む海外製品が目立つようになった。

 「値段は何とかする。仕入れを減らさないでほしい」。浦安団地で薄鋼板を加工販売する経営者はこの夏、韓国ポスコの製品を扱う商社から懇願された。中国の輸出攻勢が背景にある。中国の1〜10月の鋼材輸出量は9213万トンで前年同期比25%多い。東南アジアなどに安値で大量に流れ、販路の細った韓国製品は日本に向かう。

 海外市況の低迷は、国内メーカーが「ここまでの輸出採算の悪化は記憶にない」(新日鉄住金の太田克彦副社長)というほどだ。代表的な鋼板品種である熱延コイルは、9月の円建ての平均輸入単価は1トン5万1千円強で、2年半ぶりの安値。年初からの下げ幅は13%を超え、毎月のように千円刻みで下落する。

 国産鋼材が割高とみられ販価が下がり続けている。建築や機械向けの厚鋼板を扱う問屋、交告商店(浦安市)の纐纈元・社長は「もはや相場観を持てない」と話す。日本の普通鋼需要に占める輸入品の割合は1割弱と少ないが「国内に与えるインパクトは大きい」(神戸製鋼所)。

 昨年の消費増税以降、国内では自動車用を中心に鋼材の需要回復が鈍い。新日鉄住金などは春から減産に動き、秋までの在庫調整を目指した。輸入鋼材は円安で競争力が低下するとみられ問題視されなかった。

 だが、9月の熱延コイルの輸入量は15万トン超と前月比9%増えた。9月末の薄鋼板の主力3品種の在庫は約420万9千トンで適正水準の400万トンを19カ月連続で上回った。年内に在庫調整が終わるか「楽観できない」(日新製鋼)状況だ。

 市場では「国内製鉄会社が大幅減産に限界を感じシェア維持に傾いている」(鋼材商社)とささやかれるようになった。経済産業省がまとめた10〜12月の粗鋼生産計画は2661万トン。同省が10月に示した需要見通しより8万トン多い。

 製鉄会社は値下げを容認し稼働率と販売数量の確保を優先するのではないか――。減産が効果をあげない中で、こう見立てている鋼板加工業者は一段の価格の下げを覚悟し、「仕入れを最小限に抑えている」と打ち明けた。

[日経新聞11月11日朝刊P.25]
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(下) スクラップ安 底見えず 中国減速で輸出失速 鋼材の底入れ阻む

 10月、千葉県のある鋼材問屋。薄暗い倉庫にマンション建設や土木工事に使う鉄筋用の異形棒鋼が積まれていた。取り扱う商社の幹部は「まとまった注文が最近ほとんど入らない」と嘆く。


 小形棒鋼の9月の国内出荷は約68万トンと前年同月比12%減り15カ月連続のマイナス。価格は1年前より2割超下がり東京では11年ぶりとなる1トン5万円台割れが目前だ。

 原料となる鉄スクラップの急落が背景にある。中国発の鋼材市況下落が響き輸出が失速。2014年秋に1トン3万円を超えていた関東の相場は1万5千円を割った。

 共英製鋼の高島秀一郎会長は「鉄筋とスクラップとの価格連動を断ち切るべきだ」と話す。だが原料安は止まらず、鋼材価格の底入れを阻む。原料安で電炉各社の足元の業績は好調だが、製品価格の下落が進めば利幅の低下は避けられない。

 鉄スクラップは国内粗鋼生産の4分の1を支える。鉄リサイクリング・リサーチの林誠一代表取締役は「鉄スクラップの低価格時代の到来が早まる」可能性を指摘する。

 鉄スクラップの代替品として、圧延前の鉄の塊で半製品である「ビレット」の存在感が増した。不動産投資が減速した中国で鉄筋の需要が鈍り昨年後半から余剰品の輸出が急増した。今年の年間輸出量は前年比7割多い2300万トン超とみられ「日本の電炉が使う鉄スクラップの量に匹敵する」(林氏)。

 日本は世界有数のスクラップ輸出国で、国内供給量の2割に当たる約800万トンが韓国や中国などに渡る。特に韓国で需要が大きい。その韓国や東南アジア、トルコの電炉はビレットの購入を増やすようになった。

 自社で鉄スクラップを溶かし鋼材を作るより、ビレットを圧延して鋼材にする方が割安だ。中国の供給増でアジアのビレットの取引価格は年初より3割超下がった。「ビレット価格が下げ止まらないとスクラップは底入れしない」(鉄鋼商社)状況だ。日本の輸入はまだ少ないが、将来増えると指摘する声もある。

 鉄スクラップ業者81社で共同輸出を手掛ける関東鉄源協同組合は、新たな販路として製鉄業の成長が見込まれるインドに視察を重ねる。「既存の輸出先はスクラップを自前で賄うようになり、市場として不安定さが拭えない」(山下雄平理事長)との危機感がある。

 スクラップ価格の長期低迷をにらみ、輸送や資材調達の効率化に向け、関西の鉄リサイクル企業3社が提携した。合計取扱量は年400万トンと国内最大級の規模だ。アジアに広がる鋼材過剰の波は、競争を繰り広げてきた国内の業界地図を塗り替える可能性もある。

 小野嘉伸が担当しました。

[日経新聞11月12日朝刊P.23]
 

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