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中国にデフレの足音
製品価格下落→生産や投資不振 景気下押しの悪循環
【北京=大越匡洋】中国国家統計局が11日発表した10月の主要経済統計からは、生産や投資が振るわず、景気の下振れ圧力が依然として強い実情が浮かび上がった。製品価格の下落が生産の減少や投資の鈍化を招き、景気をさらに下押しする悪循環が続く。安さが売りのインターネット通販に消費者がなびき、物価は思うように伸びない。中国経済にデフレの足音が聞こえ始めた。
10月の工業生産は前年同月比5.6%増と、伸びが前月より0.1ポイント縮小した。2008年11月以来の低い伸びだった今年3月と同じ水準だ。
企業の生産活動がどのくらい活発かを映す発電量も、減少幅は3.2%と前月より大きくなった。生産の不振で中国経済は減速が続いている。
「会社を辞めて四川料理店でもやるつもり。住宅購入も取り消した」。河南省の国有炭鉱会社で管理職を務める37歳の男性は途方に暮れる。昨年まで年収は30万元(約580万円)以上あったが、今年は春節(旧正月)以降、月2千元弱の基本給だけとなったからだ。
年収が9割以上も減る悲劇の背景には、中国の製造業を襲うデフレ圧力がある。石炭の国内価格は過去1年半で約2割下がり、生産減が相次いでいる。10月の卸売物価は5.9%下落と44カ月連続で前年を下回り、ただでさえ設備過剰を抱える鋼材やセメントなどの生産は前年割れが続く。
中国人民銀行(中央銀行)は企業の苦境を救おうと相次いで利下げしているが、企業の借入金利はすぐには下がらない。実質的な債務負担が増した企業は投資も絞り、1〜10月の固定資産投資は前年同期比10.2%増と1〜9月より伸びが0.1ポイント鈍った。昨年通年の伸びの6割強の水準だ。
10月の消費者物価は1.3%上昇した。物価が持続的に下がり続けるデフレには至っていないものの、中国政府が今年想定した3%のインフレ率は大きく下回っている。
価格が持ち直しつつある住宅市場も景気を押し上げる力は弱い。売れ残りの在庫が重荷で、1〜10月の不動産開発投資は2%増と、1〜9月から伸びが0.6ポイント縮小した。2〜3割増が当たり前だった中国からすればゼロに等しい。
それでも景気が失速しない理由の一つには、個人消費の底堅さがある。10月の社会消費品小売総額(小売売上高)は前年同月比11.0%増と、前月より伸びが0.1ポイント拡大した。「安価」で「便利」なネット通販は急速な成長を遂げている。その一方で、総じて苦戦しているのは大型店だ。
9月末、内陸部の重慶市郊外にあるアウトレットモールが閉店した。閉鎖された門前には「商品を整理中」との通知が置かれている。「プラダ」など高級ブランドを取りそろえて昨年末に営業を始めたが、1年足らずで閉店に追い込まれた。
「企業の設備過剰を解消し、コストを下げる必要がある。住宅在庫も解消しなければならない」。習近平国家主席は10日、共産党内の経済分野の会議でこう訴えた。けん引役不在の景気への当局の危機感は強い。追加の金融緩和など一段の景気下支え策に動く可能性が高まっている。
[日経新聞11月12日朝刊P.3]
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