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[多面鏡]米国産原油のシェア低下 続く安値、OPECは増産
原油市場でしのぎを削る米国と石油輸出国機構(OPEC)のシェア争い。ここに来て米国の生産量が減り、シェア低下も目立ってきた。国際エネルギー機関(IEA)は現状を「OPECの市場シェアを守る戦略が奏功しつつある」と分析する。だが、優位に立つはずのOPECにも財政赤字が重くのしかかる。
ニューヨーク原油先物は7月下旬以降、ほぼ1バレル40ドル台。「米国のシェールオイルの生産コストは平均1バレル40〜50ドル。低迷長期化で金融機関が融資を厳格化。負債が膨らみ生産休止が広がっている」。エネルギーコンサルティング会社、FEアソシエイツ(横浜市)の藤沢治代表は指摘する。
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シェールの生産主体は100を超える中小開発会社。各社は生産性の高い油井への集中や技術の向上による効率化でコスト削減を図ってきたが、1年を超える原油安で限界に達しつつある。9月には大手サムソン・リソーシズが破綻した。9月の米国の原油生産量は前月比1%減の日量918万バレル。2カ月連続で減り4月のピーク比で4%少ない。世界シェアも11.50%と4月比0.52ポイント低い。
一方のOPECは加盟12カ国の9月のシェアが39.76%。4月比で0.54ポイント上昇している。生産量も9月が前年同月比3%増の日量3172万バレル。7カ月連続の前年同月比プラスだ。
IEAは9月のリポートでこうした米国の劣勢が続くと予想。2016年はシェールオイルを中心に非OPECの供給が前年比日量50万バレル減り、24年ぶりの減少幅になると見込む。
米国の劣勢を象徴するのがOPEC産原油の輸入拡大だ。米国はシェール増産に伴って11年以降、原油の輸入を削減してきた。しかし、7〜9月の全輸入量は日量750万バレル程度と4〜6月比30万バレル程度多い。特にアフリカのOPEC加盟国であるナイジェリア産、アンゴラ産が目立つ。米国の北東部に集積する製油所が、ドル高による輸入価格の下落と国内の鉄道輸送コストの高値をにらんで調達を増やしている。
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今後の焦点はOPECがどう動くか。盟主サウジアラビアは石油収入激減で財政赤字に転落。8年ぶりに国債を発行し、金融資産を取り崩している。シェアでは優勢なOPECも採算は厳しい。10月下旬にはロシアなど非OPECを招いて専門家会合を開催し、生産調整を模索した。OPECとしては米国の大幅増産を招かない程度に価格を引き上げたい思惑がある。
OPECが目指す価格はどの辺りなのか。市場でいわれるのが1バレル60ドル前後だ。石油天然ガス・金属鉱物資源機構によると40ドルや50ドルならシェールオイルの減産が続くが、60ドルでは16年の後半以降は微増。70ドルなら日量40万バレルの増産になる。つまり60ドル前後なら米国のシェア回復をそれほど許さずに収入を増やせる。
ただ、OPECが米国の減産を上回るペースで増産すれば需給の緩みは解消されない。「来年は非OPECが日量60万バレルの減産になるが、OPECはイランのけん引で90万バレルの増産になる」と話すのはバンクオブアメリカ・メリルリンチのグローバル商品調査の責任者、フランシスコ・ブランチ氏。「財政赤字穴埋めのため、高水準の量を維持せざるを得ない」という。
OPECは12月4日に次期総会を開く。市況対策を打ち出せなければ、来年も40〜50ドル台の低迷が続くだろう。
(浜部貴司)
[日経新聞11月10日朝刊P.23]
- 原油価格回復「誰もが役割」:相場回復に期待するが減産はしないUAEエネルギー相 あっしら 2015/11/15 07:19:35
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