2. 2015年11月13日 23:17:24
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曇る日本株の「先見性」、株高基調でも不透明な半年後[東京 13日 ロイター] - 日本株は堅調だが、国内景気や企業業績の不透明感は強い。株価は半年先のファンダメンタルズを織り込むと言われる。しかし、米利上げや中国景気など不安材料は多く、来期は今期よりも予想しにくいのが現状だ。ここ1カ月の株高は海外勢が押し上げた需給相場であり、反動安への警戒感も出ている。 <マクロ指標と株価のかい離> 来週16日に発表される国内7─9月期国内総生産(GDP)1次速報値。ロイターがまとめた民間調査機関の予測によると、予測中央値は前期比マイナス0.1%と2四半期連続のマイナスとなる見通しだ。一方、日経平均は9月末に比べて13日終値で12.6%の上昇と、景気指標と株価のかい離が目立っている。 GDPは過去の数字であり、株価は半年先のファンダメンタルズを織り込むと言われることも多い。しかし、今上期の半年前にあたる14年9月─15年3月の日経平均.N225は18.7%高と急騰していた。足元では機械受注や景気ウォッチャーなど先行性のある指標も弱く、マクロ面からは先行きを見込んだ株高とは言いにくい状況だ。 株価は直接的にはマクロ的な成長ではなく、企業業績に影響されるとの見方もある。みずほ証券リサーチ&コンサルティングの集計によると、東証1部3月期決算企業(除く金融)の今上期の経常利益は前期比20.6%増の20.3兆円と過去最高を更新する見通しだ。半年前の株価上昇率(18.7%)と近い。 また、今下期の経常利益は前期比で12.5%減の見込みだが、日経平均もその前の半年間(15年4─9月)で9.4%下落している。 アベノミクス相場開始以来、日経平均は現時点で約2.2倍に上昇してきたが、経常利益も約2倍となっている。これまでのところは、企業業績に対する株価の長期的な先行性が認められるといえそうだ。 <企業業績でも説明しにくい足元の株高> しかし、足元の株高は、その企業業績でも説明がつけにくい。足元の株高が半年先を織り込んでいるとすれば、来年度上期の2けた増益を予想していることになるが、市場では「円安効果が薄れる来期は、増益率が低下する」(りそな銀行・アセットマネジメント部チーフ・エコノミストの黒瀬浩一氏)という見方がもっぱらだ。 フィデリティ・インターナショナルのインベストメント・ディレクター、ショーン・モロニー氏は、日本株に強気としながらも、日本株の予想一株利益の伸び率を13%から11%に最近引き下げた。「ROEの改善など期待できる面もあるが、円安メリットは低下し、アップサイドのポテンシャルは小さくなっている」と話す。 日本株に強気で知られるゴールドマン・サックス証券でさえ、16年度の経常利益予想(10月23日時点)は9.5%と、15年度の13.2%増から低下する。足元の株高に見合うような、半年で2桁増益というのは簡単なハードルではない。 日本株が上昇を加速させたのは、上振れた10月米雇用統計がきっかけだったが、市場では世界経済に行方に対して警戒感も根強い。「米利上げには、新興国企業などのドル建て債務の負担増加などマイナスの面もある。今はプラス面だけみている相場だ」とアムンディ・ジャパン投資情報部長の濱崎優氏は慎重な見方を示す。 <海外短期筋がかく乱か> 足元で株価と景気や業績見通しがかい離しているのは何故か──。1つは短期売買主体の投資家の影響が、大きくなっているためとの見方がある。 ニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏は「株式市場には将来を予想する投資家と1秒後の株価を予想する投資家が混在する。最近はアルゴリズム取引など短期視線の投資家が増えてきた印象がある」と指摘。株価の先行性が薄れてきたとすれば、その影響が大きいのではないかとみる。 海外投資家は、先物と現物株を合わせ10月から前週まで約1兆円、日本株を買い越した。その間、先物と現物株の割合はほぼ半々だが、先物買いの中心はヘッジファンドなど海外短期筋との見方が多い。市場では、米系証券の大口先物買いが話題だ。 一方、長期資金を運用する投資家からは「不透明感の強いマクロは見ていない。いまは企業業績をベースにした個別株物色」(外資系投信の運用担当者)との声が出ている。 12月はイベント満載であり、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が強まっている。そこまでは、リスクオンムードを背景としたドル高/円安基調が続き、日本株も底堅い展開になるとの見方は多い。 しかし、海外短期筋が主導しているリバウンド相場だけに、その間も株価の乱高下には十分注意が必要だ。VIX指数.VIXなどボラティリティもじわりと上昇してきている。 (伊賀大記 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/2015/11/13/gdp-idJPKCN0T20NW20151113 コラム:「師走の円安」アノマリー再現か鈴木健吾みずほ証券 チーフFXストラテジスト [東京 13日] - 相場には、周期性やアノマリー(Anomaly)などと呼ばれる特徴的な動きがみられることがある。たとえば株式市場では、日本の「節分天井、彼岸底」や英米の「Sell in May(5月に売れ)」といった格言がよく知られている。実際、相場の「癖」は投資のタイミングを考える際において参考になる場合も多い。 ドル円相場にこのような格言があるかは定かではないが、それでも特徴的な動きは観測できる。たとえば今年、ドル円は毎月10日前後に月間の高値を付ける傾向がある。 今年もすでに10カ月が過ぎたが、2月は12日、3月は10日、4月は13日、8月は12日、9月は10日に月間の高値を記録している。5日が高値となった6月も含めれば10カ月中6カ月の高値が10日前後に集中しており、11月も9日の1ドル=123.60円を高値にドル円は上値の重い値動きをみせている。 アノマリーとは直訳すれば理論的に異常であることや説明できない事象のことを指すが、このような相場の特徴的な動きについては理論的な説明とまではいかなくても、背景程度なら指摘することが可能だ。前述のドル円の値動きについては、為替市場の焦点が米国の景気回復動向と連邦準備理事会(FRB)の利上げのタイミングに集まるなかで、米重要経済指標の発表スケジュールがこのような値動きを引き起こしているのではないか。 為替市場が重視する米重要経済指標は月末・月初に集中する傾向がある。月の最終週には国内総生産(GDP)や個人所得、個人消費が発表され、月が替わるとISM製造業景気指数やISM非製造業景気指数、ADP雇用統計などが続き、クライマックスは第1週の金曜(正確には毎月12日を含む週に調査を行い、その3週間後の金曜日に結果が発表されるが、大抵、翌月の第1週の金曜日がこれにあたる)に発表される雇用統計だ。 その後、第2週には小売統計が発表されるが徐々に市場にとって「小粒」な指標が増えていく。米国が緩やかな景気回復傾向にあり、FRBが利上げのタイミングを模索するなか、米重要経済指標に対する評価や期待を背景にドルは月末から月初に向けて上昇傾向を強める。一連の発表が終わると上昇が一段落して利食いなどによる調整的な値動きが強まり、また月末になると再び上昇傾向を強める、といった動きの繰り返しが、結果として毎月10日前後の月間高値を形作っているのではないか。 <ドル円の年初来高値更新へ条件整う> 前述の通り、今月も9日にかけて上昇基調を強め、一時123円台後半を示現した。10月半ばからすでに5円以上の上昇となっており、短期筋が利食いに動く可能性や米利上げ観測が新興国市場にもたらす影響を見極めたいなかで、目先はやはり調整的な値動きとなりやすいだろう。 しかし、12月半ばの連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ期待もある状況下、また月末が近づくにつれて期待がドルを押し上げる展開を想定している。 さらに長い年ベースでみても、ドル円相場の特徴的な動きは観測できる。2007年から2011年頃にかけては夏から秋頃に下落し、その後、年末から翌年序盤に上昇する傾向が顕著となった。2012年以降も年終盤から年始にかけての上昇傾向は継続しており、2012年、2013年、2014年ともに年の高値は12月に記録している。 背景には2007年頃からの一連の金融危機とこれに対するFRBの対応があると考えている。2007年に金融市場を揺るがしたサブプライム問題は8月9日のパリバショックがその発端となり、その後9月にかけて危機が加速した。 翌2008年は9月15日にリーマンショックが起き、2009年10月には政権交代が実現したギリシャにて前政権の粉飾が明らかになるとともにギリシャ債務危機がスタートした。2010年は9月30日、銀行救済の巨額負担のためアイルランドの財政赤字が急増することが発表され、その後アイルランドは金融支援申請へと進んでいく。つまり、毎年世界の金融市場を揺るがす事件がいずれも8月から10月頃に集中して勃発している。 このような市場の動揺に対応し、FRBは2007年以降、機動的に利下げを実施していたが、2008年12月にはついに事実上のゼロ金利政策を導入するとともに政府機関債の購入に言及し量的緩和(QE)へと突入していく。2010年11月にはQE2を導入し、2011年9月にはツイストオペを開始。2012年9月にはQE3を導入するなど、重要な金融政策の導入や変更は9月頃から年末にかけて集中している。2013年に量的緩和ペースの縮小(テーパリング)を発表したのも12月のFOMCだ。 ドル円相場はこのような一連の動きを反映し、危機が強まる夏から秋にかけてリスクオフの円買いなどから下落傾向を強め、その後、年終盤にかけてはFRBの政策対応に対するドル買いなどに反転。年末から翌年序盤にかけて上昇するものの、次の夏から秋には再び別の危機が到来、といったサイクルになったとみられる。 加えて、日本サイドでも2012年の年末に成立した安倍政権に対する期待や、2014年10月31日の日銀によるサプライズ緩和などが、ドル円の年末上昇アノマリーに拍車をかけることとなった。 今年、ドル円の上下レンジは115.85円(1月16日)から125.86円(6月5日)の10.01円。昨年までの直近5年間の平均はおよそ15円強、同10年間の平均は16円半程度となっており、このまま年末を迎えれば変動相場制に移行してからの最小値幅を記録するほどの小幅な値動きにとどまっている。 しかし、前述の通りドル円相場は年末から年始にかけて上昇する傾向がある。奇しくも年末年始に向けて、12月にはFRBがついに利上げに踏み切る可能性が高まり、日本サイドでも補正予算などを通じたアベノミクスに対する期待再燃や日銀に対する追加緩和期待もくすぶるなど、アノマリーを再現する条件は整っている。今年もあと1カ月半となったが、ここからドル円が年初来高値を更新していく可能性は意外に高いのではないかと考えている。 *鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。 コラム:ドル125円は「売り」か=上野泰也氏 2015年 11月 12日 コラム:経済迷走で中国指導者の「無謬神話」崩壊 2015年 10月 20日 為替こうみる:米12月利上げほぼ確実、ドル126円目指す=マネースクウェア 山岸氏 2015年 11月 10日 http://jp.reuters.com/article/2015/11/13/column-kengosuzuki-idJPKCN0T20R320151113 日銀、引当金制度の拡充を申請 [東京 13日 ロイター] - 日銀は13日、政省令の改正を必要とする引当金制度の拡充を財務相に申請したと公表した。「量的・質的緩和(QQE)」政策からの出口など金利上昇で日銀の収益が減少しても、日銀が国庫に納める納付金が急減することがないよう、収益が出やすい緩和拡大局面で引当金を大幅に積めるようにするのが狙いだ。 制度の詳細は今後詰める。 財務基盤が充実することで追加緩和に踏み切りやすくなる一方、日銀が封印してきた出口準備の一環と解釈される可能性もありそうだ。 新制度により緩和拡大局面での引き当て金積立額は数千億円規模になる見通し。これによって日銀が国庫に納める納付金も大幅に減少する可能性がある。2014年度の国庫納付金は7567億円だった。 一方、緩和政策からの出口など日銀の収益が悪化する局面では、引当金を取り崩すことで赤字になることを回避。納付金支払を確保できる可能性が大きくなる。 広告 具体的には、既存の債券取引損失引当金について、保有国債の利息収入を積み立てることができるような仕組みに拡充することなどが考えられる。 QQEのような量的緩和政策は、中央銀行が保有国債を増やす緩和拡大局面では、国債からの利息収入などにより収益が拡大するが、出口局面では逆に利息収入の減少や、当座預金の付利引き上げによって収益が悪化し、結果的に財務体質の悪化を招く。 財務体質悪化は通貨の信認にも悪影響を与えかねないため、緩和拡大局面での利益蓄積による財務体質強化が課題となっている。 このためQQE初年度の2013年度決算では、日銀は最終利益(当期剰余金)のうち、日銀法で定められた5%を上回る20%を自己資本に組み入れた。14年度決算では組み入れ比率を25%まで引き上げた。 組み入れ比率の拡大にはそのつど政府(財務省)との協議が必要だったが、新制度が導入されれば利益の5割をメドに毎年度の決算において引当金を積むことが可能となる。金利上昇による収益減少・損失発生局面では引当金を取り崩すことで、利益を確保し、国庫納付が可能となる。 (竹本能文、伊藤純夫 編集:吉瀬邦彦) http://jp.reuters.com/article/2015/11/13/boj-qqe-intrests-idJPKCN0T21AC20151113 |