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「マンション購入=リスキー」な下落期突入か 一斉に資産価値低下の恐れ、安全神話崩壊
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151112-00010004-bjournal-soci
Business Journal 11月12日(木)22時31分配信
「杭が支持基盤に刺さっていないことが判明」
「4棟構成のマンションのうち1棟(全長56メートル)が、両端で2センチメートル以上の差が生じている」
今回の横浜マンション傾斜事件の第一報は、かなり衝撃的だった。しかし、起こっている現象自体は、筆者から見ればかなり平凡に思えた。1999年に定められた「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(略称「品確法」)を元につくられた建設省告知による「技術的基準」によると、全長10メートルの建物で3センチメートルまでの傾斜は「レベル1」とされる。その内容は「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性」が「低い」となっている。簡単にいえば「騒ぐほどのことはない」「許容範囲内ですよ」ということ。
今回、約1年前に建物が微妙に傾斜していることがわかってから、売主である三井不動産レジデンシャルが「東日本大震災の影響ですから大丈夫です」という言い訳をしてきた背景には、この技術的基準があるはずだ。
11年3月に発生した東日本大震災の直後、筆者はある大規模マンションの建築基準法違反を訴えた裁判の原告団を応援するため、その材料となる建築事例を探していた。そして、エキスパンションジョイントで住棟を連結した建物が、地震の際にいかに危険かを裁判官に知ってもらうため、大規模マンションに暮らす数人に協力を要請。実際にエキスパンションジョイントが大きくずれたマンションの現場をいくつか見に行き、何人かの住民の話を聞いた。
「このマンションを施工したゼネコンからは、『エキスパンションジョイントがずれるのは当たり前です。それによって揺れの力を逃がしているのですから』と説明されました。しかし、下手をすれば通った人が転落する事故にもつながりかねませんでした」
ほとんどの人が納得していなかった。しかし、その後にエキスパンションジョイントは管理組合の費用でつなぎ直されたはずだ。
住棟と住棟をつないでいるエキスパンションジョイントがずれたということは、どちらかの住棟が沈んだのか、もしくは浮き上がったのか。あるいはその両方だったのか。ともかくいくらかは傾いたことは確かだろう。筆者が見た限り、階によっては10センチメートルほどずれていたところもあった。あの情景を見ていたので「56メートルで2センチメートルの傾斜」と聞いた時に、「もっとひどいマンションはいくらでもあるはずだ」と、背筋に寒いものを覚えたのだ。
●揺らぐ安全神話
今回の事件は大きな広がりを見せている。支持基盤に杭が届いていないにもかかわらず、まるで届いているかのような書類を偽装する工事のやり方は、旭化成建材の一現場責任者だけのものではなかった。会社ぐるみ、あるいは業界に蔓延している慣習であることさえ疑われている。
つまり、日本全国に杭が建築基準法で定められたN値50の支持基盤まで刺さっていない鉄筋コンクリート造の建物が、まだ無数にあるかもしれない、という疑惑が巻き起こった。すでにいくつかの建物では、それを確認すべくボーリング調査が行われているという。
建物の支持杭というのは、耐震性を満たすための基本である。最重要な部分であるといっても過言ではない。これが支持基盤に刺さっていないということは、建築基準法で定める耐震性が担保されていないということだ。
1981年の建築基準法改正で、ほぼ今と同水準の耐震基準が定められた。業界では「新耐震」と呼ばれている。その新耐震による基準とは「大地震がやってきても建物が倒壊しない」というもの。そのために「N値50の地盤に必要な数の杭を打ち込む」ことが定められているのだ。
その耐震性が得られていない建物が、あの横浜のマンションだけではなく全国にまだ多くあるとすればどうなるのか。
震度7以上の大地震がやってくると、新耐震の建物でも倒壊する可能性があるということだ。
ある意味、日本のマンションの安全性に対する神話は、大きく揺らいでいる。マンションで暮らしている方々は「もしやここも……」という不安に駆られているかもしれない。さらに、これからマンションを購入しようとしていた方にとっては、意欲を減退させる原因になっている。
かつて、姉歯事件というものがあった。あの時は、特殊な倫理観を持った一級建築士とあまりにも利益を優先した新興デベロッパーの組み合わせが起こした、「レアケースな欠陥マンション事件」というとらえ方が大勢だった。また、行政側もそのような世論の流れを導いたように推測できる。だから、あの事件後のマンション市場には「大手なら安心」という空気が広がった。
今回は、売主や元請けのゼネコンがいずれも財閥系。杭工事を施工した企業も、日本を代表するメーカー系。さらにいえば、昨年から大手財閥系のマンション施工不良事件が連続している。エンドユーザーは「何を信じていいかわからない」状態だろう。今回の事件は間違いなくマンション市場に冷水を浴びせている。
●市場が下落期突入か
そして、マンション市場をさらに冷やすトピックスが流れた。国税庁が「タワーマンションによる相続税対策」に対して、現行よりも厳しい基準で対処するように国税局に指示した、というニュースだ。
現在、東京の山手線周縁部から城南エリア、湾岸エリア、川崎市と横浜市の一部はバブルといってよい水準までマンション価格が高騰している。高くなったマンションを勢い良く買っていたのは、相続税対策を行いたい富裕層とアジア系の外国人。
ところが、今回の国税庁の指示によってマンション購入による相続性対策は、さらにリスキーになった。今までより多くの相続税が発生する可能性が高まるとともに、その物件自体の資産価値が低下する恐れも大きくなった。世の中のマンション購入熱が、急速に冷める可能性があるからだ。
今のところ読みにくいのは、外国人の動きである。彼らの「爆買い」熱が衰えそうな兆しはないが、日本のマンション建設に対する信頼が揺らいでいるだけに、今後の展開は不透明。東日本大震災の直後に、東京の街から一斉に外国人が消えたように、マンションを一斉に売り始める可能性もある。また、外国人の主力とみなされる中国人たちの本国では、共産党政府の発表する経済成長の統計数字が世界中から疑われている。彼らが今後とも日本のマンションを爆買いできるのか、やや疑問である。
マンション市場には、これだけの不安要素が出てきた。現状の「地域限定バブル」というべき状態は、今が潮目となって下落期に突入する可能性が高まっている。
文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト
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