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日本郵政グループ3社の上場はひとまず大成功だったが…(撮影:尾形文繁)
“郵政上場で全般の地合いも改善!”は本当か?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151112-00092059-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 11月12日(木)11時36分配信
郵政3社の新規株式公開(IPO)は大成功となった。上場前日に情報会社が出していた初値予想は総じて公開価格比プラス10%程度までといったところ。これは前週に観測されたグレーマーケットでの約定価格、たとえば、日本郵政 <6178> だと公開価格1400円に対して1470円といった水準が影響したのだろう。そう考えても、同社株が上場2日目の5日につけた高値1854円まで値上がりし、現時点でも1700円台で推移しているのだから御の字である。
郵政3社が上場した4日以降、日経平均は3ケタ幅の上昇が4営業日続いた(9日時点)。この現象について、多くの投資家は「ドル高(米国の年内利上げ確率上昇)による夜間の日経平均先物買い(買い戻し)が根本的な理由」と理解しているはずだ。主力企業の決算発表を見ながら業績に対する見直し買いが入ったわけでもなく、ましてや郵政3社のIPO成功が理由ではない。
しかし、郵政3社の値上がりを、強引に日本株の地合い改善に結び付けようとするような相場解説もちらほらと耳にした。「日経平均再び2万円へ!」的な業界のキャンペーンが張られているからだろうが、このIPOの成功はそんな力を持ち合わせていない。
確かに日本郵政やゆうちょ銀行 <7182> は発行済み株数が45億株もあり、時価総額も8兆円弱。KDDI <9433> とホンダ <7267> の中間くらいに相当する超大型銘柄である。ただ、初回売り出しで市場に放出されたのはその約1割程度(公開株数は日本郵政で4億9500株、ゆうちょ銀で4億1244万株)にすぎないことを忘れてはならない。
「郵政3社のIPOが生み出した投資家の利益が今後、再投資に回るような形で日経平均2万円に向けた起爆剤になる」的な論調がある。これについて、実際に計算して検証したい。IPOで新しく生み出された利益として、今回の売り出し株(以下:IPO株)に当選した投資家の想定利益をはじき出してみる。
初値がついた時点で生み出された利益。これは、「(初値-公開価格)×公開株数」で計算できる。
初値がついた時点でIPO株から生み出された想定利益は2573億円余りだった。もちろん、初値で売却して利益を実現した投資家の分もこの中には含まれる。同じように、上場2日目の5日に3社がつけた高値をベースに、瞬間的な最大想定利益も計算してみる。
高値で計算すると、IPO株が生み出した想定利益は瞬間最大で5052億円余りとなる。いずれもゼロから生み出された利益としては大きいし、一部では経済効果につながるだろう(儲かったおカネを消費に回すとか……)。ただ、2573億円にしても5052億円にしても、日本株全体のセンチメント改善に直接つながるとは到底思えない。なぜか? 東証1部の時価総額は約580兆円に達するからだ。
■ 新興株市場でシコリ玉整理が進んだ?
ただそれだけだが、言い換えれば、IPO株を手に入れた幸運な投資家だけから生み出された2573億円の利益は、「東証株価指数(TOPIX)が0.04%上がったとき、市場全体に生み出される買い方の想定益と同等」となる。瞬間最大の想定益である5052億円にしても、「TOPIXが0.09%上がったときに市場全体に生み出される買い方の想定益と同等」。「超大型IPOが結構上がった→この利益で日本株全体のセンチメント改善」と発想が飛躍するのはわかるが、実際はこの程度である。
むろん、日経平均やTOPIXに現時点では採用されていないため、郵政3社がいくら値上がりしようが指数は押し上げられるわけではない。また、FTSE(10日大引けで需給インパクト発生)、MSCI(同17日)、TOPIX(同12月29日)と郵政3社に対して買いインパクトになる指数イベントが今後、予定されている。
この3銘柄にはそのたびに買い需要が発生するが、指数のリバランスのため“3銘柄買い”と“その他銘柄売り”がセットで実施される。3社が買われる分、すでに採用されているその他の銘柄には逆に売りインパクトが生じるのである。
ただ……上場前10月13日の本コラムで皮算用を行ったように、新興株市場に対してはプラスになるという見方に変化はない。
郵政3社上場は大活況となった上場2日目まで、新興株市場にとって資金流出(デイトレ資金が郵政3社にシフト)要因として働いた感がある。ただ、この現象についてあるベテラン市場参加者は「郵政3社で利益が出た個人投資家が、含み損状態だった新興株を合わせ技で売却したのではないか?」との指摘をしていた。
確かに、年末まで残り2カ月弱。節税目的で損失確定させる動きが出てくることは考えられ、郵政3社のIPOがその背中を押した側面もあるかもしれない。そういった意味では含み損のまま抱えていたシコリ玉がいくぶん整理されたという前向きな見方もできるだろう。
年末に向けて……米国が利上げする確率と新興株が上がる確率、どちらが高い?
(おしまい)
※株式コメンテーター・岡村友哉
株式市場の日々の動向を経済番組で解説。大手証券会社を経て、投資情報会社フィスコへ。その後独立し、現在に至る。フィスコではIPO・新興株市場担当として、IPO企業約400社のレポートを作成し、「初値予想」を投資家向けに提供していた。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
岡村 友哉
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