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杭偽装が発覚し、未曾有の危機に直面する旭化成グループ (c)朝日新聞社
旭化成 おさまらぬ杭偽装問題 情けないガバナンスで存亡の危機〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151112-00000002-sasahi-soci
週刊朝日 2015年11月20日号
旭化成ブランドが危機に直面している。
先月発覚した横浜市の大型マンションが傾斜した問題を発端とした、旭化成建材による杭工事の施工データ改ざん問題は、どこまで広がるかわからない「底なし沼」状態となってきた。
そして、未曽有の危機に直面したトップの対応のまずさが、さらに事態を悪化させるという悪循環に陥っているのだ。
「御社の対応は、誠実とは言い難いのではないでしょうか」
11月2日、約300人の報道陣が詰めかけた会見会場に、記者の怒声が響き渡った。
旭化成建材が過去10年間に請け負った全国の杭工事3040件を調査するよう、国土交通省から指示を受けたのに対し、同省に提出した経過報告の会見だった。ところが提出した詳細は発表されず、記者の質問に対して親会社である旭化成の平居正仁副社長は「(データ改ざんのあった)杭の数は今わかりません。後で広報にお問い合わせください」。
経済部記者がこうあきれ返る。
「経過報告の内容を把握せずに会見に臨むのは信じられない」
そもそも10月30日に会見するはずが、国交省への報告の準備ができていないとして、当日の夕方になって2日に延期すると発表。さらに2日午後になっても時間と場所が確定せず、2時間前にようやく決まり報道各社へ連絡が行くというドタバタ具合だった。
市場の見方は厳しい。会見の次営業日にあたる4日の旭化成の株価は15.5円安の711円となった。問題発覚後の先月15日に13%下落し、その後乱高下を繰り返し問題発覚前と比べて約2割安の水準が続いていた。
旭化成の対応について、危機管理に詳しい中村克己弁護士は言う。
「会社側の準備ができていなかったり、そもそもファクト(事実)の把握に不十分な点があったりしています。今回の問題はまさに会社の存亡がかかっている事態。本来なら経営資源すべてをつぎ込んで十二分な体制で対応する必要がありますが、そうした体制になっているのか、疑問が残ります」
この問題で旭化成が会見を開くのはすでに3回目。危機に際した対応としては一見丁寧に見える。ところが、危機管理コンサルタント会社リスク・ヘッジ代表の田中辰巳氏は言う。
「致命的だったのは、最初の記者会見での、平居副社長の『3040件の中で傾いたのはこの1件のみ』『データ転用をしたのは1人だけ』という発言です。まだ調査をしてもいない段階でそのように言うことで、消費者や被害者に余計に疑心暗鬼を与えてしまいました」
最初の会見が不信感を招いた発端だったというのだ。「自ら火に油を注ぐようなことをやっているようにしか見えません」(田中氏)という対応が続くことになる。
旭化成建材の前田富弘社長は先月29日、データ改ざんをした現場責任者がかかわった建物が最も多い愛知県で知事に謝罪をした。
「ところがその際に、報道陣を避けて裏口から逃げたとか、夜討ち朝駆けをする記者を無視して通り過ぎたとか言われていますが、大人げなく感じが悪い。目の前の記者やカメラマンへの不快な気持ちが顔に出ていますが、それがそのまま消費者や被害者に対しての気持ちのように感じさせ、印象を悪くしています」(田中氏)
さらに、会社全体のガバナンスが問われる事態となっている。
当初、役員らは会見で「1人の現場責任者がずさんで、データ改ざんをした」と個人的行為と強調したが、その後一転、複数の現場責任者がデータ改ざんを行っていたことを認めた。2日には国交省が立ち入り調査を実施。「社内の体制に問題があるのではないかと調べています」(同省担当者)
さらに、この問題について調べている社内調査委員会こそがガバナンスの欠陥を露呈しているというのだ。調査委員会のメンバーに名を連ねる平居副社長は、問題の時期に旭化成建材の取締役を務めていた。企業統治に詳しいペイ・ガバナンス日本の阿部直彦氏は言う。
「取締役として経営を監視する立場だった人が、当時の問題を調べるための調査にかかわっている。そのこと自体が利益相反と指摘されても仕方がない。グローバル企業であれば利益相反を避けるような調査を行うはずです。平居氏はメンバーから外れるべきだったでしょう」
会見で指摘されると平居副社長は「役員報酬はもらっていませんでした。問題ないと判断したのだと思います」と開き直り。ところが少したって「すみません、役員報酬はもらっていました」と説明を二転三転させ、失笑を買っていた。
11月6日に発表した中間決算では、建材事業を下方修正したものの、好調を維持している。
「杭工事の新規受注をストップしているうえ、調査対応に人をとられており、杭工事以外にも影響が出ています」(担当者)
そして「今回の問題を受け杭工事などで管理コストが増大し、全体のコスト増につながる懸念があります」(東京商工リサーチの原田三寛情報本部部長)。
さらに補償問題に発展したときの影響は計り知れない。行政処分を受け、長期の営業停止となれば、建材事業自体が傾きかねない。旭化成の住宅・建材事業は、売上高の約3割を稼ぎ出す主要部門のひとつ。事態は深刻だ。
(本誌・長倉克枝)
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