http://www.asyura2.com/15/hasan102/msg/466.html
Tweet |
郵政上場で一番儲けたのは、実は財務省だった! それでも国民に還元することなく「増税」を画策中……。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46328
2015年11月11日(水) 磯山友幸「経済ニュースの裏側」 現代ビジネス
■笑いが止まらない財務省
日本郵政グループ3社の株式が11月4日、東京証券取引所に上場した。日本郵政は売り出し価格1400円に対して初日の終値は1760円、傘下のゆうちょ銀行は売り出し価格1450円に対して初日終値は1671円、かんぽ生命は売り出し価格2200円に対して初日終値が3430円と、いずれも売り出し価格を大きく上回った。
3社の時価総額は初日終値の単純合計で17兆4975億円。売出しによって市場からは合計1兆4362億円という巨額の資金を吸い上げたが、無事消化された。大成功の上場だったと言っていいだろう。
今回、売り出された株式は日本郵政が4億9500万株だった。全株を保有していた政府が、発行済み株式の11%だけを売り出したもので、これで政府には6930億円の資金が入った計算になる。
日本郵政が100%株式を保有してきたゆうちょ銀行株は4億1244万株が売り出され、同じく100%子会社のかんぽ生命株は6600万株が売却された。計算では、ゆうちょ銀行で5980億円、かんぽ生命で1452億円が日本郵政に入る。
上場によって日本郵政自身も成長に向けた資金を手にしたように見えるが、実はそうではない。日本郵政は調達資金で、自社株を政府から取得することになっている。
そのため、今回の3社同時上場で市場から吸い上げた1兆4362億円はほぼ全額が政府に入ることになっているのだ。
親子3社の同時上場は世界的に見ても異例だ。そもそも親会社の株式価値には理論的には支配下にある子会社の持ち分も含まれている。それをバラバラにして売るのは、本来ひとつのモノを3つだと言いくるめて売っているに等しい。政府からすれば、笑いが止まらない錬金術といったところだろう。
■まだある財務省の「埋蔵金」
この錬金術はまだまだ続く。上場時点で政府は日本郵政株を89%保有する筆頭株主だが、現在の郵政民営化法では、政府の持ち株比率は「3分の1超」にまで引き下げられることになっている。
つまり、56%弱分の株式が売り出されるわけだ。初日の株価で4兆4000億円に相当する。政府といっても財務大臣が株主と言う建前だから、実質的に財務省の「埋蔵金」が生まれたことになるわけだ。
もちろん、上場が成功したからと言って残りの株が高く売れる保証はない。とくに日本郵政はカネ食い虫の郵便局網を抱えている。地方での人口減少などで中山間地の郵便局など経営が厳しさを増す中で、「ユニバーサル・サービス」の義務を課されているのだ。
要は、国民が等しく利用できるという前提で、郵便局の存続を義務付けられている、ということだ。
日本郵政は物流のグローバル会社に脱皮すると意気込むが、実際には海外物流を独自に手掛けるノウハウは乏しく、世界の民間物流会社と互角に戦っていく力があるわけではない。冷静に考えれば、日本郵政の成長性は楽観視できないのだ。
そうした中で、3社同時上場の意味が出てくる。子会社のゆうちょ銀行株とかんぽ生命株は、いずれ日本郵政が握る89%の株式が手離され、完全民営化する時が来ると見られている。
日本郵政の西室泰三社長は、両社の株式について、「今後3〜5年で売却しないと意味がない」と発言しており、50%程度にまで日本郵政の持ち株比率が引き下げられる可能性が高い。
金融子会社の評価は日本郵政の郵便事業と大きく違う。ゆうちょ銀行が今年3月末で持つ177兆円の貯金残高は、もちろん日本最大規模。完全民営化されれば、現在はできない住宅ローンや企業向け貸し出しなどに進出できる。普通の金融機関、それも日本有数の金融機関に発展する期待があるのだ。かんぽ生命にしても同様である。
今後、追加で売り出される子会社2社の株式は、投資家に受け入れられる可能性が高い。そんな時、政府は今回と同じ手を使うだろう。子会社の株式の売却益は日本郵政に入る。
その資金で日本郵政が政府から自社株を買えば、まるまる資金は政府に入る。日本郵政株が高値で売れなかったとしても、子会社上場の利益をすっかり取り込むことが可能なのだ。うまくすれば政府は10兆円近い資金を株式売却で得ることができるのである。
■巨額の埋蔵金を何に使うのか
問題は政府がその資金を何に使おうとしているかだ。財務省は常日頃から日本の国の借金は1000兆円を超えていると喧伝し、「このままでは国債が暴落しかねない」と危機感を煽っている。GDP(国内総生産)の2倍を超える借金の圧縮は待ったなしだ、というのだ。
当然のことながら、今回、日本郵政グループの株式売却で得る1兆4000億円の資金は、借金返済に回すのだろうと思っていたら、違うと言う。「全額、東日本大震災の復興資金に当てる」としているのだ。震災復興と言えば国民の反発が少ないと考えたはずだ。
だが、震災復興といっても結局は公共事業などの財政支出に回されるだけだろう。
震災復興の原資を捻出するためだとして、政府はすでに所得税の上乗せ税として「復興税」を課している。当初は法人税にも上乗せされていたが、さっさと前倒しで廃止された。だが、個人の所得にかかる復興税は25年間にわたって存続し続ける予定だ。
住民税も10年間上乗せされている。これとは別に、震災復興のための国債も発行されている。
震災復興に使うというのなら、復興税を減額するか、復興のための国債を返済するのが先決ではないか。
アベノミクスの効果もあって、所得税や法人税など税収は増加基調だ。2009年度に40兆円まで落ち込んだ一般会計分の歳入は2014年度は54兆円近くにまで増加した。消費税率が5%から8%に引き上げられた効果もあるが、景気の好転に伴う税収分も小さくない。
ところが、税収が増えた分、霞が関の大盤振る舞いの気配が漂っている。
各省庁が出した来年度予算の概算要求は、合計で過去最大の102兆円である。税収が増えても歳出を増やせば、借金が減るはずはない。税収が膨らみ、株式売却の臨時収入が入るにもかかわらず、霞が関は一向に借金返済に取り組む姿勢を見せない。
財務省は11月10日、9月末段階の「国の借金」残高を発表した。「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」によると、合計残高は1054兆円。6月末に比べて2兆7991億円減少した。税収の増などで国債発行の伸びが止まり、借金が減る可能性が出てきたのだ。
■借金を返す気はまったくない
にもかかわらず、財務省は借金は今後も増え続けると言い張っている。発表と同時に配布する補足説明では2015年度末の借金残高を1167兆円としているのだ。半年で110兆円以上増えるとしているのである。だが、来年3月の借金が1167兆円になることは趨勢からみて、絶対にあり得ない。
そこまで大変だ、というのなら、財務省こそ、株式売却の収入を借金返済に回すべきだろう。だが、それをやる気配はさらさらないのだ。
実際には返す気がないのに、なぜ、借金が大変だ、と危機感を煽るのか。話は単純である。増税ムードを高めるためだ。
2017年4月から消費税率を10%に引き上げることが決まっているが、税収が増え始めたことで、リフレ派などの間から「増税不要論」がくすぶり始めている。そのうえ、借金まで減り始めたとなれば、増税が先送りされる可能性も出てくる。
自らの政策のために情報戦を繰り広げるのではなく、本気で財政再建を進める気概のある財務官僚の登場を待ちたいものだ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民102掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。