1. 2015年11月11日 17:22:09
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物価2%は道半ば、当分の間QQE継続=黒田日銀総裁 [東京 11日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は11日午前の参院予算委員会で、物価の基調は着実に改善しているものの、物価2%目標には道半ばとし、現行の量的・質的金融緩和(QQE)を当分継続すると語った。小川敏夫委員(民主)の質問に対する答弁。 日銀は10月30日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、物価2%の達成時期を従来の「2016年度前半頃」から「2016年度後半頃」に先送りした。 総裁は2%後ずれについて「主としてエネルギー価格の下振れによるもの」と述べる一方、過去最高水準にある企業収益や労働需給のひっ迫に伴う賃金上昇などを背景に「物価の基調は着実に改善している」と強調した。 そのうえで、日銀が試算している生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価の前年比上昇率が直近でプラス1.2%となっていることに触れ、「(2%には)まだ道半ばであり、当分の間、量的・質的金融緩和を続けていく」と語った。 (伊藤純夫) http://jp.reuters.com/article/2015/11/11/kuroda-idJPKCN0T009520151111 追加緩和の是非、物価2%達成延期の理由次第=原田日銀審議委員 [宇都宮市 11日 ロイター] - 日銀の原田泰審議委員は11日午後、宇都宮で記者会見し、追加緩和に踏み切るかどうかは2%の物価目標の達成時期を「延期する理由次第」と述べた。
原田委員は、10月末に追加緩和を見送ったのは「エネルギー価格の下落という、国民経済に良いことが理由で達成時期を延期したため」と説明した。追加緩和手段については「制限はない」として、「弾切れ」懸念をけん制した。委員就任前に主張していた付利引き下げも排除しない可能性を示唆した。 <循環メカニズム崩れれば、ちゅうちょなく追加緩和> 原田委員は、「雇用から所得への関係は崩れておらず、弱いながらも消費・投資が増え、結果的に物価は上昇していく」との見通しを示した。同時に「所得から支出へのメカニズムが崩れれば、ちゅうちょなく追加緩和が必要」と強調した。 エネルギー価格下落の影響について「実質所得の増加で貯蓄率が上がっている」と指摘。「貯蓄率が無限に上がることはないので、所得が増えた分が支出に回るようになる」との見解を示した。 <緩和手段に制約ない> 雇用状況が良ければ追加緩和は不要か、との質問に対して「物価より雇用が大切と考えているわけではない」と反論。「雇用が拡大し結果として賃金も物価も上がるのが望ましい経路」と説明した。 黒田東彦総裁は10月10日の会見で「付利引き下げは検討していない。近い将来、考えが変わる可能性もない」と発言していた。一方、原田委員は委員就任前のインタビューで、付利引き下げを選択枝に挙げており、その考えに変化はあるかとの質問に対して「追加緩和手段に制限はない、あらゆる手段がある」と強調した。また「緩和手段に制約があるとの意見もあるが、制約はない」と言い切った。 <増税すれば景気悪化、物価に影響> 消費税率の引き上げについて「増税すればその分だけ景気が悪くなり、物価の上昇を抑える影響があったのは事実」と指摘した。一方「政府は財政再建のため、消費税増税は必要との認識で、わたしとして何かコメントすることはない」と答えた。 10─12月の輸出・生産の見通しについては、「輸出は実質でみればまあまあ」「生産はプラスが当面予測できる」と述べた。 *内容を追加します。 (竹本能文 編集:田中志保) http://jp.reuters.com/article/2015/11/11/harada-boj-idJPKCN0T00FN20151111?sp=true コラム:ECBのユーロ安誘導、12月に加速か=唐鎌大輔氏 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト [東京 11日] - 10月の米雇用統計の上振れを受けて、連邦準備理事会(FRB)による12月の利上げが確実視される中、ドル高が勢いを盛り返している。これと対をなす動きとしてユーロ相場の軟化が著しいが、その背景には米利上げ観測だけでなく、10月22日の欧州中央銀行(ECB)理事会での緩和予告もある。
ドラギECB総裁からは10月理事会以降も予告を強めるような発言が続いている。例えば今月3日には「金融緩和の水準について12月(3日)の理事会で見直す必要がある」と、10月理事会の声明文で材料視された表現を改めて強調した。 筆者のもとにも「12月ECB理事会で何が起きるのか」との照会が増えている。プレビューにはやや早いものの、現時点で想定されるシナリオを提示してみたい。 <量的緩和は期間延長に伴い規模・構成も拡大の公算> 考えられるオプションは大別して2つある。まず拡大資産購入プログラム(APP)、いわゆる量的緩和(QE)の拡大、そして預金ファシリティ金利のマイナス幅拡大だ。 1番目のAPPについては、声明文と記者会見で「資産購入プログラムは規模(size)、構成(composition)そして期間(duration)の観点から十分な柔軟性を供給する」と述べられてきた経緯がある。ついては規模、構成、期間のいずれに修正が入るのか注目されるが、結論から言えば3つ全部が対象となる可能性が高い。 期間を延長すれば購入総額は押し上げられ、全体の規模拡大にもつながる。また、APPについては、かねてより資産の枯渇化が懸念されており、購入の規模を増やせば構成資産の拡大も検討することになるだろう。つまり、各要因は独立ではなく相互連関していると考えるのが自然であり、恐らく12月理事会では3つ全てに修正が入ると予想したい。 とはいえ、1銘柄あたりの購入は発行総額の33%までとの規定も踏まえれば、急激に規模を引き上げることは難しいはずだ。現状の月600億ユーロを700億ユーロ程度に増額する一手などが想定される。いずれにせよ、2016年9月末と設定されている期限が延長ないし撤廃され、これに応じて規模や構成が修正される公算が非常に大きい。 問題は、預金ファシリティ金利のマイナス幅拡大だ。ドラギ総裁は先月末にイタリア紙のインタビューで「(預金ファシリティ金利の引き下げは)時期尚早」と述べており、行き過ぎた市場期待をけん制している。だが、預金ファシリティ金利のマイナス幅拡大はもはや行うしかないと思われる。 理由は2つある。第1に、総裁の口から可能性をほのめかしたことでユーロ相場はすでに大きく押し下げられてしまっているからだ。もはや為替相場の動きだけを見れば、マイナス金利幅拡大の有無ではなく、どれくらい拡大するのかという点に関心が移っている感さえある。 民間向け貸出が堅調に伸びている状況下でECBが緩和に積極的なスタンスを取るのはひとえにユーロ相場が高く、それが商品価格下落とも相まって消費者物価指数(HICP)の低迷を招いているからに他ならない。この期に及んでマイナス預金金利を据え置くという判断を行えばユーロ相場が上昇することは目に見えており、そうした事態を避けるためには実施せざるを得ないというのが実情だろう。 第2に、APP拡大との兼ね合いだ。規定上、APPで購入できる資産は「預金ファシリティ金利より高い金利の資産」である。現在の預金ファシリティ金利はマイナス0.20%であるため、これよりも高い金利の資産しか買えない。現時点(11日東京時間午前)では、ドイツ国債で言えば4年物まで(フランス国債で言えば3年物まで)が購入不可となる。裏を返せば、預金ファシリティ金利を引き下げればAPPの拡大余地が広がるわけで、こうした技術的理由からも引き下げが行われる可能性がある。 なお、11月9日には、ロイターが匿名の理事会メンバー4名の話として、すでに預金ファシリティ金利の引き下げは既定路線であり、その引き下げ幅が焦点になるといった見通しを報じている。 <マイナス0.3%で打ち止めの保証なし> 要するに、12月3日のECB理事会に関しては「預金ファシリティ金利はどこまで下げられるか」が1つの注目点となってきそうだ。この点、2014年6月に0.10%のマイナス金利が導入され、2015年9月にはマイナス0.20%へ拡大してきた経緯を踏まえれば、次の一手も10ベーシスポイント(bp)刻みとなり、マイナス0.30%を予想するのが妥当である。 だが、それで打ち止めとは限らない。ドラギ総裁は10月22日の記者会見で「1年前、我々は下限到達と宣言したが、他国の経験を見る限り、預金ファシリティ金利のさらなる引き下げを検討することになった」と述べている。「他国の経験」とはマイナス金利政策を導入する他の中銀、具体的にはデンマーク、スウェーデン、スイスなどの例を指している。 すでにマイナス金利政策で先んじているこれらの国の例を見れば、ECBの預金ファシリティ金利に相当する金利に関し、スウェーデン国立銀行(リクスバンク)はマイナス1.10%を設定している。デンマーク国立銀行は1週間物譲渡性預金(CD)金利をマイナス0.75%に、スイス国立銀行(SNB)は3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の誘導レンジをマイナス1.25―マイナス0.25%に設定している。 これらの国の金融市場で大きなトラブルが起きていないことを踏まえ、ドラギ総裁が「もっと行けるはず」と着想したのだとすれば、マイナス0.30%で打ち止めとなる保証はない。少なくとも2度の下限到達宣言(2014年6月、9月)で恥をかいている経緯を踏まえれば、もはやドラギ総裁が下限到達を口にすることはないだろう。 そもそもECBの政策目的が暗にユーロ安誘導にある以上、一度に大きなマイナス幅を見せつけるよりも、小刻みに打ち込んで「継続感」を誇示した方が効果的に思われる。今回はマイナス0.30%で止めるにしても、そこで打ち止め感を見せないように情報発信が行われるのではないだろうか。 ゆえに12月3日の理事会では一気にマイナス0.35%やマイナス0.40%という性急な判断は下さず、あえてマイナス0.30%で止める決定などが予想される。ちなみに、1カ月先1カ月物のユーロ圏翌日物無担保金利加重平均(EONIA)フォワードレートは最近、マイナス0.20%付近まで低下している。過去半年間、現実のEONIAと預金ファシリティ金利のスプレッドは6―8bpであることなどを踏まえれば、2カ月先(1カ月先1カ月物)のEONIAはおおむねマイナス0.30%を織り込んでいると言える。 <不均衡増幅するドイツ、通貨安に倫理的ハードル> ただ、「技術的に可能であるか否か」と「倫理的にやって良いかどうか」は別である。どのような大義名分をつけてもマイナス金利政策は通貨安政策であり、12月にマイナス幅拡大が決定されれば、2014年6月以降の相場付きが示していたように、向こう数カ月にわたって強烈なユーロ安が演出される可能性が高い。 一方、2015年のドイツの経常黒字は、国際通貨基金(IMF)の秋季世界経済予測によれば、2800億ドルと過去最高に達する見込みであり、これは同国の国内総生産(GDP)対比でプラス8%を超える巨額の不均衡だ。 また、同じくIMFの予測によれば、ユーロ圏全体でも2015年は4500億ドルを突破する見込みで、GDP比でプラス3%を超える不均衡となる。ちなみに、中国の経常黒字が3500億ドル弱(GDP比プラス3%超)であることを踏まえれば、世界経済不均衡へのユーロ圏全体の加担度合いは中国と同等程度、ドイツに至っては中国以上になっていると言える。 このような通貨圏の金融政策としてマイナス金利幅の拡大という選択肢が果たして正しいのか。折しも米国ではドイツ自動車大手フォルクスワーゲンの排ガス規制逃れが話題となっているが、米独の通商関係はECBの金融政策を火種として今後、一段と複雑化していくように思えてならない。 *唐鎌大輔氏は、みずほ銀行国際為替部のチーフマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。2012年J-money第22回東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では1位、13年は2位。著書に「欧州リスク:日本化・円化・日銀化」(東洋経済新報社、2014年7月) *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら) .http://jp.reuters.com/article/2015/11/11/column-daisukekarakama-idJPKCN0T003U20151111?sp=true
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