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中国経済崩壊説のまやかし 安定期に突入、中国政府と市場の「強い実力」
http://biz-journal.jp/2015/11/post_12349.html
2015.11.11 Business Journal
●中国自動車市場にはびこる弱気
地方政府の過剰投資と不良債務問題の広がりを受け、また経済成長の急激な減速もあり、中国経済に対する悲観論が高まっている。人によっては不動産バブルや株式バブルの崩壊により、いずれ中国経済に大変な事態が起こるだろうという予測を述べる人もいる。このような極論の背景には、ここのところの南シナ海や東シナ海での膨張的海洋進出への反発もあり、「そらみたことか」と思い切り溜飲を下げたいという心理も働くのだろう。
たしかに、足元の中国自動車市場はあまりよくない。一時は「いずれは4000万台だ。いや5000万台だ」とにぎやかだった声もすっかり影を潜め、「数年後には2000万台の水準の維持が難しい」という声すら聞こえてくる。しかし本当だろうか。
●市場構造を分析
工場出荷ベースなので、必ずしも市場、需要動向を反映していないデータだが、横並びに全部が全部悪いわけではない。第一に車種を見ると、セダン、微型VAN(五菱など軽キャブバン派生車種)、商用車はとても悪い状況だが、SUVはとても売れている。その結果でもあるが、国籍別ブランドを見ると、韓国系はひところの勢いがすっかりなくなり、むしろ大苦戦中であり、逆に民族系と日系はそれほど悪くはない。
セダンについてはあまり強い需要が認められないが、SUVに対する需要は強まりこそすれ、弱まる気配はない。8月に筆者が長春周辺の工場を視察した時、4ドアセダンが工場周辺の空き地に在庫として大量に置かれていたのが印象に残った。これは、セダン需要は政府監視の強化から法人需要をはじめとして急ブレーキがかかっていることを示しているということだろう。
つまり、SUV、民族系の車種はまだ強い需要があることを観察すると、依然として個人需要は根強いものがあるといえよう。
●今回の経済調整期の性格をどう見るか
中国経済が調整期に入っていることは誰の目にも明らかである。しかし、問題はこの調整期の性格である。不動産バブルの崩壊から、日本のバブル崩壊とイメージを重ねて長期停滞の始まりととらえることも可能だが、結論からいうと、それはまったくのミスリードである。
日本も過去何度か調整期を経験している。高度成長期にも1965年に東京五輪直後の停滞、70年代前半に2回にわたるオイルショックに伴う危機、85年プラザ合意以降の円高危機、そして90年代のバブル崩壊と金融危機である。
今回の中国の経済調整と類似性があるのは、70年代の2回にわたるオイルショック後の危機ではないかと考えている。この時の危機はオイルショックが引き金ではあったが、田中角栄の「日本列島改造論」を背景にした国内の開発ブームの終焉が真の原因であり、これをもって日本の高度成長は終息し、その後安定成長期に入っていった。
つまり、今回の中国の調整は、単に2ケタの伸び率を示してきた高度成長が収束しつつあるのであって、安定成長期に入ったことを示すものであり、中央政府の認識もそのようなものである。断じて、長期停滞の始まりでも中国経済崩壊でもない。
●中国経済回復のためのフリーハンド
財政赤字が顕著で、政府負債GDP比率が240%もあり政治家の能力が低い日本政府を基準に見ると、中国政府の実力を見誤ることになるだろう。
まず、地方政府は財政赤字であり不良債務を背負っているが、中央政府は財政的には黒字であり、また国有企業の収益と資産は潜在的な歳入でもある。中国政府は、多様な財政・金融政策を打ちだす余力を持っている。
さらに中央政府の官僚や政治家たちの能力は極めて高い。一党独裁なので政策への集中力も高い。権力闘争にその能力を削がれず、本来の高い能力を発揮できれば巧みな政策で経済をコントロールしていくだろう。
●依然として有望な中国自動車市場
経済の難局を打開できるとしたら、中国自動車市場は今後も成長を続けることは間違いないであろう。経済は比較的安定した成長率に移行するとしても、相変わらず成長を続けること、さらに依然として中国の自動車保有水準は低位であり、その潜在的な経済力からすれば、まだ拡大する余地は大きい。依然として有望市場である点は変化がないだろう。
では、中国は日本の10倍の人口・世帯数なので市場規模も10倍になると単純に断言できるのだろうか。日本やアメリカなどの先進国では、自動車購入可能な世帯はほぼ100%か、これに近い水準とみてよいだろう。
では中国の購入可能世帯はどのくらいだろうか。実は正確な世帯別の所得統計がなく、分析は難しい。中国の顕在的自動車購入可能世帯の比率は、将来的にも全世帯の半分くらいではないだろうか。つまり、日本の購入可能世帯の5倍程度にすぎないとみることができよう。
そうなると、日本市場がほぼ500万台であるから、2500万台という中国の市場規模予測は極めて妥当な規模である。さらに日本の過去のピークが777万台であったから、中国のピークも相当好条件が重なった場合で3900万台くらいが上限なのかもしれない。このあたりの議論はいずれ、稿を改めて行いたい。
文=井上隆一郎/東京都市大学都市生活学部教授
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