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自動車用ガラスの世界シェア(「経済産業省 HP」より)
また中国の安値輸出攻勢で、日本勢が苦境…世界シェアトップ逆転間近
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151109-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 11月9日(月)22時31分配信
経済産業省は半導体、液晶、造船など数々の業界再編の音頭を取ってきたが、次のターゲットに建築用・自動車用の板ガラスの業界を考えている。中国勢の台頭をにらんでのことだ。
今年6月下旬、経産省は「板ガラス産業の市場構造に関する調査報告」を公表した。世界的に見て日本の板ガラス業界は供給過剰の状態にあり、将来的には国内需要は縮小に向かうことから、設備の統廃合を含めた再編を促す内容になっている。板ガラス業界は旭硝子、日本板硝子、セントラル硝子のほぼ3社だけ。安い外国製品に押されて、各社とも安値競争に走り、利益が出にくい状態に陥っている。資材高騰で建築費の上昇が続く中で、板ガラスだけは例外だ。
首位の三菱系の旭硝子の最終利益は159億円(2014年12月期)、2位の住友系の日本板硝子は黒字に転換したものの16億円(15年3月期)、3位の独立系のセントラル硝子は103億円(同)。あまりの低収益ぶりに業を煮やした経産省が、再編に乗り出した。
●中国勢の侵食
経産省が危機感を募らせている要因のひとつが、中国メーカーが日本市場へ輸出攻勢をかけてきていることだ。経産省の推計では、板ガラスの世界シェア(13年)は旭硝子が7.8%で首位、日本板硝子が6.6%で2位。だが、中国勢は全体で60.8%を占める。建築用板ガラスでは、中国勢との価格競争が激化して利益が出なくなった。
自動車用ガラスは高い品質、機能性の要求が参入障壁となり、日本メーカーの独壇場だった。ところが、この分野にも中国勢が侵食してきた。
経産省の推計による自動車ガラスの世界シェア(同)は、旭硝子が22%で首位、2位は中国の福耀(フーヤオ)集団の20%、日本板硝子は3位の19%、4位はセントラル硝子・仏サンゴバン連合の16%、5位は中国の信義ガラスと米ガーディアンが各5%だ。フーヤオは1987年に設立された産業用ガラスメーカー。自動車用ガラスでは中国最大手で、中国の自動車ガラス市場の65%のシェアを持つ。世界市場でも20%で旭硝子を追い上げてきた。
フーヤオのHPによると、GM、フォード、アウディ、フォルクスワーゲン、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、ボルボ、現代自動車、ベントレー、ダイムラー、BMW、フィアット、ランドローバーなどに製品を提供している。フーヤオは日本のお家芸だった自動車ガラスでもトップを奪う勢いだ。その危機感から経産省は、再編して企業体質を強化せよ、と迫ったわけだ。
●日本板硝子の失敗
再編の筆頭に挙がるのは、06年に英ピルキントンを買収した日本板硝子だ。当時の同社の連結売上高は2649億円(05年3月期)。一方、ピルキントンの売上高は約5000億円。売上高が2倍の企業を買収する、まさに「小が大を呑む」買収だった。しかも、買収額は6160億円と大型買収だった。
しかし、ピルキントンを買収したものの日本板硝子にはグローバル経営のカジ取りができる人材も力量もなかった。「外国人が経営し、日本人が監視する」経営を謳ったが空理空論で終わった。
「買収に要した負債が重くのしかかり、赤字、大リストラ、無配と経営はガタガタになり、いまや日本企業による海外企業買収の代表的な失敗例」(市場筋)
その日本板硝子とセントラル硝子の統合が取り沙汰されている。日本板硝子は住友系、セントラル硝子は仏サンゴバンと提携している。経産省は盛んに笛を吹いているが、両社が踊る気配はなく、業界内では再編を歓迎する空気はない。
文=編集部
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