3. 2015年11月09日 22:20:35
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FRBの前途、険しいぬかるみ HARRER/BLOOMBERG NEWS By DAVID WESSEL 2015 年 11 月 9 日 13:10 JST 金融政策を説明する場合、何かに例えることが多い。信用の縮小を「水深が浅くなる」としたり、経済の悪材料を「(帆船の)逆風」に例えたり、引き締めを「(自動車の)ブレーキを踏む」としたりする。そして、昔の例えが新しい状況にそぐわないことも時々ある。 ダートマス大学経済学部のアンドリュー・レビン教授は先週、国際通貨基金(IMF)の会合で、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げにあたり極めて慎重に行動するべき理由を説明する際、古くからある自動車への例えに、新たな(筆者の知る限りでは)独自の手を加えた。同教授は、以前にイエレンFRB議長の顧問を務めた人物だ。 レビン教授は、FRBが「完璧な見通し」を持っていれば、金利の設定は「停止信号がかなり手前からはっきり見える、良く整備された平らな田舎道で乗り慣れた車を運転するようなものだ」と語った。この場合、車は米経済を指し、運転手はFRBで、FRBはブレーキを踏んだときの車の反応を正確に理解していることになる。停止信号は、賃金が上がり始める段階まで失業率が低下した時点を指し、経済が過熱して望まれないインフレを生じないようにFRBが利上げすべき時を示している。 この場合、「十分に前からブレーキをかけ始め、車が静かに止まるよう徐々に減速する」のがスマートなやり方だ。 だが、レビン教授によると、FRBはいま、こうした状況に身を置いていない。FRBは「停止信号が丘の上にあってまだ視界に入らず、カーブがたくさんあり一部がぬかるんでいる、きつい上り坂の田舎道で乗り慣れていない車を走らせている」状態だというのだ。 では運転手はどうすべきかと言うと、もちろんスピードを出し過ぎてはいけないが、かといって落としすぎてもいけない。レビン教授は「失速しないよう慎重にすべきで、車がぬかるみで立ち往生したとき、アクセルが使えなくならないよう注意するべきだ」と助言した。 この先の道は険しく、曲がりくねり、ぬかるんでいる。ブレーキを踏むタイミングが早すぎてはいけない、というのがレビン教授からイエレン議長への忠告だ。 関連記事 FRBの利上げ軌道、これまでとは全く別物に FRBの前途、険しいぬかるみ 米利上げ観測【特集】 米経済の好材料、FRBの利上げ正当化か By GENE EPSTEIN 2015 年 11 月 9 日 12:14 JST 米サプライ管理協会(ISM)は先週、米経済の主要部門である製造業とサービス業の活動について対照的な報告を行った。幸い、サービス業の堅調が好感され、10-12月期の経済成長率は順調なペースになるはずとのムードが支配的となった。
6日に発表された10月の米雇用統計も利上げのゴーサインとなったため、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月の連邦公開市場委員会(FOMC)でようやく利上げに踏み切る可能性はある。 明らかな悪材料は、ISMが2日発表した10月の製造業景況指数だった。同指数は50.1と、緩やかな拡大を示す水準を示したものの、前年同月の57.9を大きく下回った。だが、その数日後の4日に10月のISM非製造業景況指数という好材料が発表された。同指数は59.1へ急上昇し、拡大・縮小の分かれ目となる50を大幅に上回った。非製造業景況調査では、ある卸売業者が「全体的に事業はかつてないほどのペースで成長を続けている。ガソリンの値下がりで消費者の可処分所得が増えていることと直接関係があるはずだ」と回答した。 さらに、これもガソリン安が関係していると思われるのだが、10月の自動車販売台数は年率1820万台と、10年ぶり高水準を再び更新した。全体の販売台数に占める小型トラックの割合は通常よりも高かった。 非製造業に比べると製造業はさえない状態にあるが、それでも内需が強いためこうした状態を脱する日は近いはずだ。いずれにしても、ISMの非製造業景況指数は民間部門の大部分を網羅しているため、同指数の優位性に変わりはない。同指数の内訳を見ると、全15業種中、鉱業を除く14業種が10月の活動拡大を報告した。 労働省労働統計局が6日発表した10月の雇用統計では、製造業の就業者数は横ばいで、鉱業は小幅なマイナスとなった。ただ、民間部門の就業者数は前月比26万8000人増と大きく伸び、市場予想を上回った。一方、政府部門は同3000人増にとどまった。10月の非農業部門就業者数は同27万1000人増と、今年最大の増加数だった。 今回の結果は、当初発表された8月と9月の弱い数字を異常値と受け止めた筆者らの正しさを裏付けるものだ。失業保険申請件数が急減するなど、他の主要指標でも雇用市場の引き締まりは明らかだった。8月(13万6000人増から15万3000人増に上方修正)と9月(14万2000人増から13万7000人増に下方修正)の修正幅は差し引きで1万2000人の小幅なプラスにとどまったが、8〜10月の3カ月平均は18万7000人とまずまず好調な伸びだった。 しかも重要なことに、労働市場の引き締まりを反映して、時給の伸びがようやく改善の兆しを見せ始めた。非農業部門の全ての民間就業者の平均時給は10月に前年同月比2.5%増と、6年ぶりの伸びとなった。しかも物価上昇率がゼロに近いため、実質ベースでもほぼこれに近い伸びとなる。 10月の失業率は5%にやや低下し、米国がグレート・リセッション(大不況)入りしてから間もない2008年4月以来の低水準となった。失業率は09年10月に10%のピークを付けたが、その後の6年間でちょうど半減した格好だ。経験則から言えば、失業率は一段の低下余地がある。07年5月は4.4%だった。 FRBは労働市場が上向いていることを示す確かな証拠を得たことで、12月に9年ぶりの利上げに踏み切ることがほぼ確実となっている。インフレ率はFOMCが目標とする2%に達しないかもしれないが、何でも正当化する術(すべ)に長(た)けたFRB関係者なら、それくらい難なく正当化してしまうだろう。
米株の見通し、一段と不透明に By E.S. BROWNING 2015 年 11 月 9 日 11:22 JST 米株価は先週終盤、道路上の段差に突き当たるように上昇スピードが落ちた。この結果、好調だった今年秋の上昇基調が今後どれほど持続するか疑問視する声が出ている。
8月末の安値からの反発は、神経質な投資家を安堵(あんど)させた。だが、他方でそれは、ダウ工業株30種平均が新高値を付けた5月に彼ら投資家が直面したのと同じ困難な状況に戻した。つまり割高な株価だ。 一部のマネーマネジャーやアナリストは、株価は極めて高く上昇したため、企業利益と歩調を同じくしないかもしれないとみている。企業利益が不安定にみえるからだ。週末6日発表の10月の強い雇用統計を受けて、連邦準備制度理事会(FRB)は近く利上げする公算が大きくなっており、株価の見通しはさらに不透明になっている。 4710億ドルの資産を運用しているコロンビア・スレッドニードル・インベストメンツ社の上級ポートフォリオマネジャー、アンウィティ・バフグナ氏は「これまでは希望に駆られた上昇局面の一つだった。それは、統計がもっと悪ければ、中央銀行が救済に乗り出すとの見方に基づいていた」と述べた。そして最近の上昇は持続可能かとの質問に「そうは思わない」と語った。 株式市場のハードル。(左から)ダウ工業株30種平均bの推移、S&P指数採用500社の売上高・利益の前年比伸び率、S&P500種構成企業の直近12カ月間PERの推移 ENLARGE 株式市場のハードル。(左から)ダウ工業株30種平均bの推移、S&P指数採用500社の売上高・利益の前年比伸び率、S&P500種構成企業の直近12カ月間PERの推移 同氏によれば、同社は米国株の保有比率を削減し、キャッシュを増やしたという。幾人かの他のマネーマネジャーも、万一に備えてキャッシュポジションを多くしていると述べている。一部では、欧州と日本での保有を削減する向きもいれば、保有削減を米国株のみに限定している向きもいる。 ダウ工業株30種平均は8月25日の安値以降14%上昇した。調査会社ビリニ・アソシエイツによれば、S&P500種は現在、構成企業の直近12カ月間の純利益の23倍で取引されている。歴史的な平均である15.5倍をはるかに上回っており、9月当時の20倍をも上回っている 。 ゴールドマン・サックス・グループの米株ストラテジスト、デービッド・コスティン氏は、S&P500種は向こう10年間、平均して5%という年間総リターンになるだろうと予測している。このうち配当が2%、株価上昇分が3%だという。 同氏は、S&P500種指数は現在から年末までの間に約4%下落(配当を除く)し、2015年通年では約2.9%の下落になろうと予想している。16年については5%の上昇、配当がさらに2%上乗せされるだろうという。 同氏はその理由として、金利上昇の結果、資金がこれまでほどには容易に入手しにくくなり、その結果株の上昇が抑制されることを挙げた。株価は大半の指標で平均を大きく上回っている。このため、株価収益率(PER)は、金利が上昇するにつれて低下するはずで、株価の上昇テンポは利益のそれよりも小さいだろうという。(続く) |