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就活迷走の元凶は?(※イメージ)
安倍政権の「政治判断」が就活を迷走させた 青写真を描いたのは誰か?〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151109-00000009-sasahi-bus_all
AERA 2015年11月16日号
毎年決まった時期になると、似たようなスーツを着た若い男女の一群がビジネス街をぞろぞろ歩く。見慣れた光景だが、このやり方は、もう限界にきているようだ。(編集部・直木詩帆、古田真梨子)
2016年4月入社を目指す大学生の就職活動のスケジュールが、例年に比べて後ろ倒しになったことは、周知の通りだ。
3年生の12月に就活支援サイトがオープンして企業による採用広報が始まり、4年生の4月から会社説明会や面接などの選考がスタートするスケジュールが定着していたが、大学4年間のうちの3年目が終わらないうちに、大学生が就活にかかりきりになることが社会問題化。就活に出遅れないために1年間の留学を短くしたり、留学そのものをあきらめたり、1年留年して次年度に改めて就活したりする学生も現れた。早期化を是正して学生を学業に専念させ、留学を促進するという目的で、経団連が「採用選考に関する指針」を策定。採用広報の開始を3年生の3月に、選考開始を4年生の8月に遅らせるとした。
詳しくは後述するが、「後ろ倒し」で、就職戦線はさらなる早期化・長期化が進むという皮肉な結果に。その混乱ぶりは、「後ろに倒せば倒すほど、指針が形骸化することは、少し採用を知っている人には分かっていたのに」(ベンチャー人事)
「これだけ現場を混乱させて、誰に責任があるかうやむやというのはひどいと思います」(都内大学キャリアセンター担当者)
という怨嗟の声が上がるほどだ。この「後ろ倒し」、誰がどうやって決めたのか。
●若者・女性活躍推進フォーラム
ことの発端は、国公私立大学などで構成される就職問題懇談会(就問懇)が、11年3月と12年11月の2度にわたり、「採用広報開始は3年生の3月、選考開始は4年生の夏季休暇以降」にするよう経済界に要請したことだ。これをもって、「後ろ倒しによる混乱を引き起こした張本人は大学」とする見方があるが、就問懇は「学長レベルの集まりで、現場とは乖離している」(前出のキャリアセンター担当者)。就問懇による早期化是正の要請自体、このときが初めてというわけでもなかった。
転機になったのは、12年の衆院選で自民党が大勝して与党に返り咲き、「女性と若者の活躍」を掲げる安倍政権が誕生したことだ。
13年3月15日、首相官邸2階で「若者・女性活躍推進フォーラム」の第2回会合が開かれた。この日のテーマは「若者の就職活動」。現状の説明があった後、商社の業界団体である日本貿易会の常務理事(当時、以下同)で伊藤忠商事出身の市村泰男氏が「後ろ倒し」を求めた。
「きちんとした形で学生を育てるということを考えますと(中略)、就職というのは4年生からやるべきではないか」
自民党青年局長の小泉進次郎氏も、後ろ倒しに賛意を示し、「夏の時期ぐらいまで後ろに倒してもいいと思います」
と時期に言及。私学事業団理事長で関西大学長なども歴任した河田悌一氏はより具体的に、「企業の就活の広報活動をぜひ、4年生の4月以降にしていただきたい。採用選考の活動は4年生の8月、夏休み以後に」
と踏み込んだ。その後、文科政務官の丹羽秀樹氏が、「最後は政治判断で(後ろ倒しを)やることも可能」
と発言。経団連常務理事の川本裕康氏だけが難色を示した。
「遅い期日だったときに、フライングだらけになって守られなくなったのです。(中略)ただ期日だけをずらしても、結局は、就職が決まらないで卒業する学生がふえてしまうことを危惧しております」
●フライング横行 さらなる早期化
そこからの動きには、迷いがない。13年4月、安倍首相は自ら経団連、日本商工会議所(日商)、経済同友会(同友会)の経済3団体に「就活の後ろ倒し」を要請。5月には若者・女性活躍推進フォーラムが「15年度卒業者(16年4月入社)から、広報開始は3年生の3月1日、選考開始は4年生の8月1日以降」とすることを提言し、6月に閣議決定された「日本再興戦略」で、その提言通りのスケジュールが政府方針とされた。
経団連がこの年の9月に策定した「採用選考に関する指針」は、これに従ったものだ。3月の会合では唯一、後ろ倒しに反対していたのに。
当時、文部科学大臣を務めていた下村博文氏はこう話す。
「先進国で留学生が減っているのは日本くらい。内向き志向と言われるが、その大きな要因として就活がハンディキャップになっていた。だから政府として企業にお願いしたわけです」
しかし、後ろ倒しによって選考期間が短くなり、十分な採用活動ができないことを懸念した企業は学生とのさらなる早期接触を狙い、大学3年生向けサマーインターンシップが急増した。リクルーターを使ったり、面接を「ジョブマッチング」などと言い換えたりする企業のフライングも横行した。学生はまともに授業に出られず、4年生の夏に正念場を迎える理系学生の研究にも影響は大きかった。
「周囲の動きが見えなくて、例年競合にならない業界とバッティングしたり、例年より多くの内定者を引き抜かれたりしてしまった」(大手メーカー人事)
「大手の内定がなかなか出ないので、内定者のフォロー期間が異様に長かった。8月以降、大手に引き抜かれても、追加募集の期間がなかった」(ITベンチャー人事)
など、企業も困惑している。
●一つの基準では各社を縛れない
前文科相の下村氏が指摘したように、6月まで米国の大学に留学していた慶応大学法学部4年の女子学生(22)からは、
「留学から帰っても就活が間に合うんだと思ってうれしかった」
と好評だが、多くの当事者にはマイナスのほうが大きかった。
今年の就活・採用がほぼ終息した直後の10月15日、日商はオワハラの横行などを問題視して就職活動の「繰り上げ」を提言した。経団連も、9月下旬から会員企業に就活についてのアンケートを実施。榊原定征会長が10月に記者会見して、
「実際やってみて予見できなかった問題も出てきた」
「学生への負担が大きかったと思う。(中略)学生、大学、企業のいずれにとっても今回の新スケジュールは問題が多かった」
と総括。17年入社の就活では選考開始を8月から6月前後に早める方向で検討を始めている。
一方の同友会は「通年採用」が望ましいという立場で、具体的な議論を進めているという。
「政治判断」による後ろ倒しから1年で噴き出した見直し論。就活の時期を巡っては、半世紀にわたる紆余曲折が続いてきたが、大企業と中小企業、上場企業と未上場企業だけではなく、ベンチャー企業や外資系企業なども一定の存在感を持つようになった昨今、一つの基準で各社の採用スケジュールを縛ることはもう不可能に近い。
前出の下村氏も言う。
「もう、経団連だけが就職活動時期決定のリーダーシップをとるのは難しい時代でしょう。少なくとも、経済3団体が一緒になって、外資系や中小企業とも連携しなければなりません」
大学側はといえば、11月に就問懇が「大学側と経済界の意見交換を経ない見直しは避けてほしい」という趣旨の要請を経団連と日商に提出。だが、10月中旬までに有力154大学に行ったアンケートで、学長の6割が「選考解禁時期は4月が適当」と答えたという報道もあった。
●化かしあうなら最初から通年に
人事や採用に詳しいHR総研の松岡仁主任研究員は、
「どんな日程に設定しても問題が起こってしまうのであれば、日程自体をなくしてしまうのも一案だと思います」
と、「通年採用」を支持した。
都内の大手IT企業の人事担当者は、今年の採用で平然と嘘をつく学生が増えたと感じた。
「面接じゃないよといって面接をするなど、学生に大人が嘘をついている。化かしあうくらいなら、最初から通年採用にしたらよいのではないでしょうか」
通年採用にも問題点はある。文科省高等教育局学生・留学生課長の渡辺正実氏は指摘する。
「意識の高い学生以外は、活動を始めるきっかけを失うし、中小企業は今までよりも母集団形成に苦労するでしょう」
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