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[大機小機]なぜ設備投資は増えないのか
中国の成長鈍化が日本経済に影を落としているとはいえ、企業収益は過去最高の水準にある。収益拡大を反映して配当性向の引き上げはもとより、海外企業のM&A(合併・買収)も増加している。しかし設備投資や研究開発投資、あるいは賃金引き上げなどの動きは総じて低調である。この結果、企業の手元資金の増加が続いている。
企業の保有する設備は老朽化が進んでおり、更新投資であっても省エネ・省力化などを通じた生産性向上の効果は大きいはずである。実際、大企業の年度初めの設備投資計画は2ケタ増に達していた。それにもかかわらず現実の設備投資は低調に推移している。
また、賃金は過去2年間上昇してきたが、収益の大幅な伸びに比べれば伸び率は低く、結果的に労働分配率の低下が続いている。
なぜ企業収益の伸びに比べて、設備投資や賃上げの動きは鈍いのだろうか。企業経営者がいまだにデフレマインドを引きずっていることが一因であろう。またリーマン・ショックを経て、経営者が外部環境の変化に敏感になっていることも考えられる。
一方で自己資本利益率(ROE)などの物差しでみた日本企業の収益力は、まだ高いとはいえない。それにもかかわらず、レバレッジ(テコ)を効かせるわけでもなく、いたずらにキャッシュをため込むばかりでは、収益力の向上は望めない。株主からみれば、日本企業の経営努力は十分とは言い難いだろう。
本来であれば、こうした経営スタンスは市場から批判の目にさらされる。しかし日本ではコーポレート・ガバナンスがまだ十分に機能していないこともあって、近視眼的な経営が許されているのではないか。
政府はこれまで企業に対して賃上げを要請してきた。さらに官民対話などを通じて設備投資の拡大を求めている。政府のこうした動きは企業部門に深入りしすぎであるとの批判もあるが、政府としては財政健全化を進めるために消費税を引き上げる一方で、経済活性化のために法人減税を進めてきた経緯がある。企業部門にプレッシャーをかけるのは当然であろう。
日本の企業経営者には現状の収益に甘んずることなく、一層の生産性向上と収益力の拡大に向けた努力を求めたい。
(追分)
[日経新聞11月5日朝刊P.19]
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Business | 2015年 11月 6日 17:01 JST
賃金・投資増加企業に法人税先行減税、諮問会議提言へ=関係筋
[東京 6日 ロイター] - 政府が11日に開催予定の経済財政諮問会議で、民間議員は名目国内総生産(GDP)600兆円達成に向け、賃金・設備投資などを前年比増加させた企業に、法人実効税率を16年度に20%台へ先行引き下げするインセンティブを付与する構想を提案する。関係筋が6日、明らかにした。当面はこうした制度を継続することも盛り込む。
賃金・設備投資・配当などキャッシュアウトの現預金に対する比率は、2011年以降、低下傾向に歯止めがかからず、今年4─6月期にはこの10年間で最低の0.51倍となっている。
政府は5日開催した「官民対話」で、企業に設備投資の増加と賃金の引上げを要請したが、企業のキャッシュアウトを促すため、何らかのインセンティブが必要だとの見解が政府内に広がっている。
そこで、諮問会議民間議員の一部は、前年比で賃金・設備投資を増加させた企業に対し、16年度に予定されている31.33%から30%台への法人実効税率引き下げに関し、20%台へと先行引き下げするする案を検討している。
民間議員は政府関係者とともに、実効税率の先行引き下げの対象となる企業の範囲をめぐり、キャッシュアウト比率など詳細な条件を検討しており、次回11日の諮問会議までに提言へ盛り込む方向で精力的に調整作業を進めている。
このうち賃金については、政府内部で2020年度までに名目GDP600兆円を目指すために、毎年継続して3.5%のベア引き上げが必要と試算。25年度まで達成目標を先送りした場合でも、毎年3%のベアが必要とみている。
3─3.5%に近い実績を上げた企業には、法人実効税率を毎年引き下げる優遇措置を講じることも検討されている。
また、賃上げへの環境整備として、最低賃金の引上げも検討対象に上がっている。
政府部内には、海外との立地条件競争に勝つには、法人税実効税率を最終的に25%程度まで引き下げる必要があるとの見方があり、今後5年間程度は企業にこの「インセンティブ制度」を適用し、賃上げと設備投資、法人税引き下げをセットで実現するべきだとの意見もある。
菅義偉官房長官は5日午後の会見で、法人税率引き下げについて「引き下げはできるだけ早いほうがいいと思っている」と語った。法人実効税率を来年度から20%台に引き下げるべきとの意見が出ていることについては「GDP600兆円という目標を掲げている。これに対し、政府がどういう政策で進めていくかを明確にしていく。そのなかで国際社会との競争に耐え得る状況にするということも行っていくのは当然のことだと思う」と述べている。
ただ、諮問会議民間議員の間で、意見集約は終了しておらず、財源をめぐり財務省との調整も必要な情勢となっている。
(中川泉 梅川崇 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/2015/11/06/gdp-idJPKCN0SV0SU20151106?sp=true
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