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中国、「隠蔽」経済のツケが露呈か 資本流出の兆候に必死の抵抗
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151108-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 11月8日(日)22時30分配信
6月中旬からの株式暴落でバブル崩壊が叫ばれている中国だが、8月11〜13日に人民元の対ドル切り下げを行ったことが話題になった。
これは、中国政府が実体経済の悪化を懸念し、国際競争力を高めるために採った施策だが、予想以上に売り圧力を招いてしまい、人民元は政府がコントロールできない状態になってしまった。そのため、政府は膨大な額の外貨準備を使って為替介入を行っている。
中国の外貨準備は3兆5600億ドル(約425兆円)で世界最大だが、外貨準備というのはあくまでも、「外貨をいくら保有しているか」にすぎない。また、中国の場合は日本などと違い、政府と中央銀行の保有分に加え、国有銀行の保有分も含まれている。
そして、国有銀行の保有分には、企業などの決済用資金などが含まれるといわれている。つまり、外貨準備のうち、いくら使えるかはまったくわからないのである。
さらにいえば、中国の米国債保有額は、約1兆2000億ドルしかない。3兆5600億ドルの外貨準備のうち、米国債は3割程度ということになる。日本は外貨準備の9割以上を米国債が占めているが、これは米国債の換金性の高さと安全性を重視した結果である。
9月下旬、日本の国債市場で海外投資家による中長期債1兆1904億円、短期債3兆4602億円、合計4兆6506億円という大量の売り物が出た。日本銀行の国債買い入れにより市場で売り物が少ない中で、このような大量の売りが出ることは珍しく、市場関係者は「中国が売ったのではないか」と言っている。
この時期、米中首脳会談があり、中国は米国の手前、米国債を売れない環境にあった。代わりに、換金性が高い日本の国債を売ったと考えられる。
●人民元売りを規制する中国
このような状況から、人民元の信用が損なわれ始めているわけだが、中国政府は対応策として、人民元売りに対する規制を行っている。将来の為替取引を予約する「為替予約」において、銀行が顧客の取引残高の20%をドル建てで中国人民銀行に1年間預けないといけないという決まりをつくったのだ。
これにより、人民元売り・外貨買いを抑制するというものだが、事実上、人民元の先物売りを禁止したのである。
中国では、中国人の外貨の両替を年間5万元に制限しているが、これは実際には守られていなかった。実は、中国銀聯(ユニオンペイ)の銀聯カードを利用して外貨調達が可能だったのである。
クレジットカードの一種である銀聯カードは、デポジットカードと呼ばれるもので、海外でキャッシングを行ったり、買い物をした場合、即時に中国の銀行口座からお金が引き出される仕組みになっている。
つまり、銀聯カードの限度額は銀行口座の残高であり、残高がある限りはいくらでも外貨を引き出すことができたわけだ。そして、これが中国人の「爆買い」の原資でもあった。中国政府は、この穴をふさぐため、今年10月1日から、10月から12月までが5万元、来年以降は年間10万元というキャッシングの限度額を設けた。また、中国政府は違法な海外送金システムである、地下銀行にも手をつけ始めている。
この急激な対応こそが、中国の外貨準備の脆弱性を証明するものであるといえる。3兆5600億ドルの外貨準備すべてが自由に使えるお金であれば、こういった規制を行う必要はなかったはずだ。この一連の流れも「中国経済は張子の虎」といわれる一因だろう。
文=渡邉哲也/経済評論家
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