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[スクランブル]個人「空売り王」を警戒
数学駆使、思惑先行を許さず
日銀の金融政策決定会合を通過し、2日の株式相場は利益確定売りが優勢となった。個人投資家の押し目買いの動きも鈍い。個人の心理に影響を与えているのが東京市場の「空売り王」の存在だ。中小型株を中心に80銘柄以上に大口の売りを仕掛ける海外ヘッジファンド。個人には運用成績を圧迫し、株価の勢いをそぐとして警戒されている。
2日の東京市場では日本板硝子が続落し、2日間の下げは9%に達した。急落のきっかけは2016年3月期の業績予想の引き下げだが、この日、東京証券取引所が公表した板硝子株の空売り残高も注目を集めた。英領ケイマン籍のファンド「OXAM QUANT FUND」が空売りを増やしていたのだ。
株券を借りて売る空売りは、残高が発行済み株式数の0.5%を超えると公表しなければならない。OXAMの板硝子株の空売り残高比率は急落前の10月29日に1.54%だったが、30日に1.74%に上昇した。
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新興市場でも売り手として存在感を高めている。東証マザーズでは株価が上昇していたダブル・スコープ株への売り増しが目立ち、ACCESS株では空売り残高比率が2%に達する。OXAMの空売り残高の公表銘柄数は11月2日分で83と1ファンドで全体の3割弱を占め、さしずめ「空売り王」の様相だ。「人気銘柄が失速する」「えたいが知れない」と、ネットトレーダーはOXAMを嫌う。
実態はどうか。OXAMを運用する英オックスフォード・アセット・マネジメントを知る関係者は「数学者やエンジニアの集まり」と解説する。英オックスフォード大出身者を中心に70人超を抱え、うち7人は国際数学オリンピックのメダリストという。
金利や商品、経済指標と株価の相関や、企業業績や財務、投資指標を、数学やコンピューターを駆使して解析し、銘柄を選ぶ。「人間には感情が入るが、コンピューターは規律をもたらす」という哲学を持つ。
50億ドル(6千億円)の運用資産のうち500億〜1000億円程度を東京市場に振り向け、買い持ちもある。同じ業種内で売りと買いの量を均衡にし、銘柄間の値動き格差で稼ぐ。保有期間は数日〜1年以上と幅があり、高速で値ざやを稼ぐような手法ではない。
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空売り残高比率の公表銘柄が多いのは、中小型株への空売りが多く、公表基準の0.5%を超えやすいためだ。ヘッジファンドの空売りは従来、保険会社や信託銀行など機関投資家が貸す大型株が中心だった。近年はネット証券が個人から中小型株を調達し、外資証券を通じてヘッジファンドに行き渡るようになった。
「株価は最後はファンダメンタルズに回帰する」。オックスフォードのもう一つの哲学だ。個人の買いが殺到し、思惑先行で急騰する株は格好の売り対象になる。個人中心だった中小型株にプロの視点が入ることは株価の過熱を抑え、価格形成にはプラスともいえる。一方、大化け銘柄で稼げない個人は余力が低下し、利食いが先行しがちだ。貸株市場発の構造変化が個人の投資に影響している。
(松崎雄典)
[日経新聞11月3日朝刊P.16]
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