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ドコモが抱える「不安」 顧客大量流出の深刻な不振から、一転して急回復(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan102/msg/351.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 11 月 07 日 23:26:00: igsppGRN/E9PQ
 

                 2四半期連続での増収増益を発表したNTTドコモの加藤薫社長


ドコモが抱える「不安」 顧客大量流出の深刻な不振から、一転して急回復
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151107-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 11月7日(土)22時30分配信


 NTTドコモが10月30日に実施した2015年度第2四半期の決算発表会で、増収増益を達成したことが明らかにされた。新料金プラン導入の影響で大幅な減収減益を記録した昨年とは異なり、売上高や利益を大幅に回復しているドコモだが、その要因はどこにあるのか。また今後も堅調な伸びを続けられるのだろうか。

●数年来の不調が続いたドコモが上方修正

 大手携帯電話会社(キャリア)の中でも、ここ数年不調が伝えられてきたのがドコモである。

 特に13年まで、国内大手キャリアで唯一、米アップルのiPhoneを提供しなかったことの影響は非常に大きく、MNP(携帯電話のキャリアをまたぐ番号継続サービス)によってiPhoneを求めるドコモの顧客が大量に流出し続けた。そのことが、業績を大幅に悪化させた要因へとつながっていたのは確かであろう。

 13年にiPhone 5sを投入して以降、顧客の流出は減少傾向にあり、競争力自体は回復しつつある。だが14年には、同社が先陣を切って、通話し放題の新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」を導入したところ、データ通信料が最も安価な「データSパック」を選ぶ人が想定を大きく超えた影響で、再び業績を大幅に悪化させることとなった。実際、14年10月31日には、営業利益を当初予想より1,200億円下方修正すると発表。その深刻さを物語っている。

 このように、数年にわたって業績を悪化させ続けてきたドコモだが、今年に入ってから、その業績が急速に回復しているようだ。実際、ドコモが7月29日に発表した15年度第1四半期決算では、4年ぶりに増収増益を達成したことから大きな話題となった。10月30日に実施された第2四半期決算においても、営業収益が1.9%増の2兆2,150億円、営業利益が15.8%増の4,626億円と、2四半期連続で増収増益を達成したことが明らかにされている。

 さらに、同決算発表の場において、ドコモは今年度の業績を見直すと発表。営業利益300億円の上方修正を実施するなど、昨年下方修正したのとは対照的な動きを見せている。これだけ急速に業績を回復しているのには、大きく分けて3つの要因があるようだ。

●好調の主因は通信事業以外の伸びとコスト削減

 最も大きな要因となっているのは、新たな事業領域となるスマートライフ事業が好調なことだ。実際、「dマーケット」などのコンテンツ事業は、映像配信の「dTV」など月額課金制のサービスを中心に利用が伸びており、1人当たりの月額利用料は前年比3割増の1,300円に上っている。ほかにも金融・決済系のサービスや、オークローンマーケティングなどグループ会社の業績が好調を続けており、それらが収益の伸びのけん引役となっているようだ。

 次の要素はコスト削減だ。ネットワーク設備投資やマーケティングのコスト削減を一層進めることにより、15年上期で1,300億円のコスト削減を実現。今期の当初予想を上回って推移していることから、当初予想の2,100億円から、100億円増の2,200億円と削減額を上積みしている。

 そして3つ目は、本丸となる通信事業が回復基調にあることだ。純増数は前年上期との比較で1.6倍の190万契約に達したほか、MNPの純減数も、やはり前年上期と比べ8割減の4万契約に抑えられている。なお新規契約に関しては、ドコモの回線を間借りしている仮想移動体通信事業者、MVNOの契約が「半分くらいかなと思ってもらえれば結構」(NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏)と好調な伸びを示しており、ドコモ契約者の純増やMNPの伸びを支え、業績回復に貢献していると見ることができそうだ。

 また最大の懸念とされてきた、新料金プランにおけるパケットパックの選択率も、「データSパック」を選ぶ人の割合が大幅に減少。より大容量で料金が高い「データMパック」以上の選択率が8割を超えたことから、月間電気通信事業収入(ARPU)も下げ止まり傾向にあるようだ。

 これらの内容を総合するに、通信料収入はまだ回復途上にあるものの、スマートライフ事業が好調に推移し、コスト削減が一層進んだことが、ドコモの業績回復につながっているといえよう。

●通信事業の真の回復にはいくつかの課題

 ではドコモの業績は、今後このまま順調に回復していくのか。そこにはまだ不安要素があるのも事実だ。

 最も懸念されるのは、やはり本業である通信事業の不調が続いており、現在はあくまで回復途上にあるにすぎないということ。特に純増数の伸びに関しては、MVNOが支えている部分がかなり大きいことから、ドコモ自体のがんばりが一層求められていることに変わりはない。

 通信料収入に関しては、さらにいくつかの懸念がある。

 ひとつは他キャリアに対抗するべく新たに導入した、5分以内の通話が無料になる「カケホーダイライト」プランの影響である。カケホーダイライトは、通常のカケホーダイと比べ基本料が1,000円下がることから、同じデータMパックを契約したユーザーであっても得られる月額料金は、単純計算で毎月1,000円下がることとなる。加藤社長によると、現状カケホーダイライトを選ぶユーザーは新規契約者の約3割とのことだが、今後こちらが大きく伸びていくようであれば、そのことが業績に与える影響が懸念されるところだ。

 さらにもうひとつ、好調な業績に大きな影を落とす可能性を秘めているのが、安倍晋三首相の発言によって、総務省が携帯電話料金引き下げに向けた有識者会議を進めていること。その議論の結果によっては、なんらかのかたちで料金を値下げしたり、あまり通話や通信をしない人向けの料金を用意する必要がでてくる可能性があるのだ。

 先にも触れた通り、ドコモは昨年の新料金プラン導入直後にデータSパックを選ぶ人が続出したことで業績を大きく落とし、現在はその影響からようやく回復しつつある。それだけに、議論の結果によってデータ通信が小容量のプランやサービスを用意しなければならなくなることは、通信料収入が再び大きく落ちることにもつながりかねないのだ。

 通信事業以外での業績拡大で再び成長へとつなげつつあるドコモだが、やはり真に回復したといわれるためには、本業である通信事業の回復が必須条件だ。同社だけではどうにもできない外部要因もあるが、いかにそうした波を乗り越えられるかが、今後の業績を見る上で大きなポイントになるといえるだろう。

文=佐野正弘/ITライター

 

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