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<衝撃レポート>下流老人に一番なりやすいのは、「年収700万円世帯」だった! 〜あなたに忍び寄る、老後破産という現実
http://www.asyura2.com/15/hasan102/msg/312.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 11 月 06 日 08:49:04: igsppGRN/E9PQ
 

            【PHOTO】gettyimages※写真はイメージです


【衝撃レポート】下流老人に一番なりやすいのは、「年収700万円世帯」だった! 〜あなたに忍び寄る、老後破産という現実
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46167
2015年11月06日(金) 週刊現代 :現代ビジネス


「日本の中流」といえば、豊かな暮らしの象徴。もちろん自分もその一員だ。人並みに家を買い、子供を育てる—なんとなくこう考えている人が、老後に真っ先に「下流」へ落ちる。時代は変わった。


■「普通より上」と思っていたら


「もう、食費や生活費を切りつめた生活にも慣れました。働いていた頃は、年収は700万円ほどありましたから、『老後もきっと大丈夫だろう』と思っていたんですが」


こう言って苦笑するのは、東京都内に住む72歳の男性である。この男性は、現役時代は有名外資系ホテルに勤めていた。しかし、長期間の海外勤務で手当も受け取っていたにもかかわらず、浪費が多く、まとまった貯蓄ができなかった。退職後、妻が病気を患ってからは、ギリギリの生活を強いられているという。


「海外生活が長かったため、年金は夫婦合わせて月に17万円しかもらえていません。今は家賃4000円の都営住宅に住んでいます。家内が人工透析を受けていて、障害者手帳1級なので、この家賃で住めるんです。これでも昔は都心のマンションに住んでいたのですが、それも売り払うはめになりました。


食費は数百円の惣菜も買うのを控えるほど節約しているつもりですが、医療・介護費、交通費、光熱費などを差し引くと、自由に使えるお金はまったく残りません。


普通のサラリーマンは、退職金もあるので、定年して数年は余裕があるんです。問題はその後。急な病気や家族の介護といった想定外のことがあると、あっという間に貧困に落っこちてしまう」


貧しい老後を過ごす「下流老人」が増えている—こんな話を昨今、しばしば耳にするようになった。だが、どれほどの人が、それを自分のことだと考えているだろうか。「もともと貧乏な人の話だろう」「ウチは中流だから、何とかなる」と、高をくくっている人が、なんと多いことか。


先の男性の例をひくまでもなく、その認識は大間違いだ。むしろ「中流家庭」、しかも「年収700万円」前後の、現役時代に比較的恵まれていた世帯こそが、いちばん下流へ転落しやすいのである。ベストセラーとなった『下流老人』の著者で、NPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典氏が警鐘を鳴らす。


「ふつうは、それだけの年収があれば余裕をもって暮らせるはずです。しかし、人は毎年700万円が入ってくると、自然と700万円に見合った額を使ってしまう。入るお金の額が多いか少ないかは、下流老人に転落するか否かとは、実は関係がありません。


むしろ『自分は中流だ』と思っている人こそ油断しやすく、お金も貯まらないものなのです」


日本人の年間世帯所得の中央値(全世帯を所得順に並べたとき、真ん中になる額)は415万円。これを大きく上回る「年収700万円」という額は、サラリーマンなら有名企業・一流企業に勤める人、中小企業でも役職者でないともらえない。


首都圏ならば、都心へ1時間程度で行ける私鉄沿線のマンションに住み、地方であれば、一戸建てでゆとりのある生活を送る、「普通よりも少し上」の家庭。「ものすごく贅沢ができるわけではないが、たまのプチ贅沢が許される程度には余裕がある」と思っている人。


だからこそ油断してしまい、危機感を持てない。プライドのせいでつい見栄を張ったり、身の丈に合わない買い物をする。そしていざ定年となったとき、老後の資金がろくに貯まっていないことにはたと気づくのだ。不測の事態に見舞われれば、ひとたまりもない—。


■「背伸び」が命取り


多くの中流家庭がはまる落とし穴は「住宅」と「教育」である。ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が言う。


「年収700万円クラスの家庭は、住居費と教育費の2つに暮らしを圧迫されているケースが非常に多いですね。大企業のサラリーマンには、30代中盤で30〜35年ローンを組み、家を買う人が珍しくない。購入時は『定年になったら、退職金がもらえるから何とかなるだろう』と思っているのですが、ほとんどの人は、想定外の医療費や学費を甘く見積もっています。


それに住宅ローンは、繰り上げ返済で期間を短くすることはできても、借り換えて期間を延ばすことは意外と難しい。そのため、分割回数を多めにする人が多いのですが、60歳で定年を迎えて再雇用、という時にまだ返済が終わっていないと、老後の生活がいきなりカツカツになるのです」



前出の藤田氏も言うように、人は収入の額にそってカネを使う。いや、正確に言えば、少し背伸びをするものだ。年収700万円でも、5000万円以上のローンを組む人、少し高級なマンションや新築物件を購入する人は少なくない。


「他人よりも、ちょっとだけいい場所、いい家に住みたい」という欲望が、貴重な老後の資金と引き換えになると気づかずに。


子供の教育もまったく同じ。他の家の子よりも、少しでもいい大学に行き、いい仕事についてほしい—そう思った瞬間から、終わりなき「出費のスパイラル」が始まる。


「『子供を私立の学校に入れてから、生活が苦しくなった』という家庭は跡を絶ちません。たとえ収入が多くとも、私立の中高一貫校は公立の3倍、最低でも年間150万円以上は学費がかかります。


そのうえ、私立の場合は保護者同士の付き合いも公立に比べて密でお金がかかるので、ついつい見栄を張ってしまい、暮らし全体がインフレしてしまう。『参観日がベンツやBMWの見本市のようだから、ついウチも外車を買ってしまいました』と話す保護者もいました」(前出・中村氏)


都内の有名私立校には、学校での授業を重視せず、もっぱら進学塾での自主学習で力をつけさせる学校もある。私立校の高額な学費に塾代が積み上がると、富裕層であればともかく、年収700万円クラスではギリギリのやりくりを強いられ、とうていお金は貯まらない。「早慶などの有名私大に行くために浪人する」ということになれば、負担は増す一方だ。


「それでも、子供が収入の高い仕事についてくれれば、せめて独り立ちさえしてくれれば、いつかは親を援助してくれるようになるはず」という目算も、今の世の中では成り立たない。


「最近では就職がなかなか決まらず、社会人になってからも、ブラック企業に入って鬱病になるとか、会社を辞めて再就職できないケースも多い。そうなると30歳前後の子供を養わなければなりません。『親の年金に頼って暮らしている』という若者に相談されることもあります」(前出・藤田氏)


■節約ができない人たち


東証一部上場のメーカーに長年勤務してきた、埼玉県在住の男性(65歳)は、36歳のとき結婚し、翌年に長男が生まれた。


「私は晩婚だったので、40歳手前で30年のローンを組んで一戸建てを買ったんです。息子が私立の中高一貫校に受かってからは、ほとんど生活に余裕はありませんでしたね。それでも1000万円くらいの貯蓄はありましたし、退職金も満額もらえるだろうから、ローンは繰り上げて返せるし、老後も贅沢はできないけれど、どうにかなるだろうと思っていました」


しかし、定年を目前にした57歳のとき、不測の事態が起こる。郷里の岡山に独りで住む母親が、認知症を発症したのだ。ヘルパーの利用や帰省のための交通費で、月に10万円近い出費を強いられるようになった。


「交替で面倒をみる兄弟も私にはいませんし、母には財産もなかった。最終的に関東の施設へ入居させることを選びましたが、母が亡くなるまでの5年間で、介護費用は最終的に600万円ほどかかりました」


苦境に追い討ちをかけたのが、実家を離れて一人暮らしをしていた息子の、就職の失敗だ。


「100社近く受けたけど、ダメだった。かといって留年もさせられないと言ったら、息子と大ゲンカになってしまいましてね……最終的に家に戻らせたのですが、今ではほとんど引きこもりのようになってしまった」


■地獄は介護から始まった


まったく予想していなかった事態にたて続けに襲われ、貯蓄はあっという間に底をついた。住宅ローンは何とか完済が見えてきたそうだが、ローンを返しながら年金で妻と息子を養う生活は、爪に火をともすような苦しさだという。


順風満帆だった現役時代には、想像すらしなかった「下流老人」に、彼はあっと言う間に落ちてしまった。


長野県に住む60歳の男性は、数年前に80代の父親が倒れて介護が必要になったため、勤めていた大手メーカーを辞めて、東京から地元に戻った。いわゆる介護離職である。


「長野では同じ業界の小さな会社に再就職しました。収入はかなり下がりましたし、私立大学に通う子供の教育費もかかるので、自由になるお金はほとんどありません。保険を見直したり、軽自動車に乗り換えたり、外食をやめたり、努力はしているつもりですが……。


この前、結婚して東京に住んでいる娘が『マンションを買う頭金を出してほしい』と言ってきたときは、妻と一晩悩んで、なけなしの300万円を出すことにしました。これも老後に何かあった時の資金にしようと、貯めていた金だったんです」


確かに、まだ働き盛り、稼ぎ盛りの50代半ばで転職を余儀なくされたことには同情すべきだろう。しかし、ひとつ引っかかるのは、この男性が「軽自動車に乗り換える」「外食をやめる」といったことを「努力」ととらえている点だ。


世の中にはこれを「努力」だと思っていない人、最初からそうしているという人もたくさんいる。多少手狭でも公営住宅でがまんし、子供を公立の学校に通わせ、型落ちの中古車に乗る。


身の丈に合ったものを買い、無謀な投資をしたりローンを組んだりせず、地道に貯金する。年収700万円層もこうした暮らしを心がけていれば、不測の事態が起きても、慌てずに済むはずである。


しかし「自分は中流だ」というプライドと油断は、簡単には抜けない。そのせいで、せっかくの老後資金を失ってしまう人が続出している。


「年収700万くらいだと、退職金を2000万円前後もらえる人も多い。しかし、いきなり口座に大金が振り込まれて気が大きくなると、銀行や証券会社の言いなりになってしまう。若い異性のコンシェルジュが付いたり、他の客とは違う窓口に案内されたりして、勘違いするのです」(投資家・経営コンサルタントの岩崎日出俊氏)


恐ろしいのは、近い将来、政府が年金支給年齢のさらなる引き上げや、大幅な減額を行うことがほぼ確実ということだ。すでに欧米では、67歳以上への支給年齢引き上げが順次始まっている。現在40代から下の世代は、「無年金」「無収入」の老後を過ごす覚悟を固めねばならない。


先の60歳男性がこう言って溜め息をつく。


「私も昔は『日本は世界で指折りの豊かな国だ』と思って、わけもなく安心していました。でも、これが現実なんですね」


この「自分だけは大丈夫」という根拠のない思い込みが、「下流老人」への落とし穴なのだ。


「週刊現代」2015年11月7日号より


 

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コメント
 
1. 2015年11月06日 09:53:08 : OO6Zlan35k
生活困窮者が路上生活を抜け出せない負のカラクリ【第29回】 2015年11月6日 みわよしこ [フリーランス・ライター]


路上生活者など生活困窮者の生活は、なかなか改善されづらい仕組みが根付いてしまっている
今年2015年、住居と暖房に関する生活保護費の引き下げが行われた。生活保護世帯をふくめた生活困窮者を中心に「健康で文化的な住」が脅かされようとしている。

今回は、基本的な「住」と社会の姿を改めて再考すべく、稲葉剛氏(市民活動家・立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授)にお話を伺った。

劣悪な住まいでも
「転居」が許されない生活保護世帯

――ご無沙汰しています。2015年7月より生活保護費の家賃補助(住宅扶助)が、10月からはさらに暖房費補助(生活扶助の冬季加算)がそれぞれ削減されています。劣悪な居住環境で暖房費がかさめば、その他の生活費が食費を中心に圧迫されることになります。人間の生活の基本は、「住」ではないかと思います。路上生活者支援にも長年関わって来られているお立場から、いかがでしょうか?


稲葉剛(いなば・つよし)氏
1969年、広島市生まれ。東京大学教養学部卒。1994年より東京・新宿を中心に路上生活者支援活動に取り組む。2001年、湯浅誠氏らと共に自立生活サポートセンター・もやいを設立し、幅広い生活困窮者の相談・支援活動を開始。2014年、一般社団法人つくろい東京ファンドを設立し、空き家・空き室活用による低所得者支援を事業化。2015年、立教大学大学院特任准教授に就任し、貧困・社会的排除、居住福祉論を教える(稲葉剛公式サイト:プロフィールより)。
Photo by Yoshiko Miwa
?住は「大切」というよりも、住まいそのものが基本的人権です。日本ではなかなか、この「住まいは基本的人権である」という考え方が理解されにくいのですけれども。

――住に関する問題を抱えていない方は、日本には、ほとんどいないかもしれません。持ち家にしても賃貸にしても、個人や家族単位で住を確保し続けるのは大変です。

?もともとの住宅市場にも、問題がありますね。入居するためのコスト、特に賃貸住宅の初期費用が大きいとか、不利な条件を抱えた方は賃貸アパートへの入居が難しいとか。生活保護の方が、いったん住み始めたアパートに問題が発生した時、転宅を希望しても、福祉事務所がなかなか転宅を認めないとか。福祉事務所からすれば、「気に入らないから転宅させて」は国民感情が許しません!?ということなのでしょうけど、これも初期費用の問題が大きいんです。

――過去に取材した生活保護利用の障害者の方で「自分がアパートに入居して暮らし慣れたころ、アパートの隣の部屋に入居した夫妻の夫が毎晩、妻に暴力をふるっていて、物音と泣き声で精神を病んだ」という方がいました。1年ほど福祉事務所と交渉を続け、録音した音声なども提出して、やっと転宅を認められたそうです。もちろん被害を受けている妻のために通報なども行ったそうですが、何の効果もなかったとのことでした。

?福祉事務所は、2回目・3回目の転宅を、なかなか認めませんからね。精神科医の意見書で認められる場合もありますが、それでも認めない福祉事務所もあります。

――別の生活保護利用の障害者で、ストーキング被害に遭っていた女性もいました。彼女は証拠を集めて福祉事務所に提出していたのですが、なかなか転居が認められませんでした。でも不法侵入の可能性で警察が動いたことから、転居できることになりました。

?だから、「どこに住むかを選ぶことができる」を含めて、「住まいは基本的人権」なんです。この考え方が日本に根付いたら、失業しても住まで容易に失うことはなくなりますし、巨額の住宅ローンに長年苦しむ必要もなくなります。

「住まいがあればホームレス状態は終わる」

――住まいを「基本的人権」と認めると、どういうメリットがあるんでしょうか?


立教大学内、稲葉剛氏の研究室。2011年に建てられたビルの5階にある。もう一人の教員と共同利用している2人部屋
Photo by Y.M.
?認めるとか認めないとかじゃなくて、住まいは基本的人権で、メリットがあるかどうかではないんですが(笑)、困窮している方に対して「まず、普通の住まいを」という考え方は、安くつくんです。

――「普通の住まいというゼイタク品を、困窮者に提供するとは?」という反発がありそうです。私自身が、日本の住宅の現状を「当たり前」と洗脳されすぎているのかもしれませんが。

?米国に「Pathways to Housing」という団体があるんです。かつての米国でも、現在の日本と同様、精神障害者に対しては隔離収容が行われていました。「まず治療ありき」ということで。

――子どもの時に精神科病院への強制入院を経験した米国の青年から、入院中の話を聞いたことがあります。冬、暖房で暖かい閉鎖病棟の窓から雪の中を歩く野良猫を見て「外は寒いかもしれないけど、自分も猫になりたい」と涙ぐんだそうです。

?でも1992年、ニューヨーク市で、精神科医たちが、重度の精神障害者や依存症患者にアパートを提供するプログラムを開始したんです。他の地域移行プログラムでは、何度も失敗した方々が対象でした。

――「何度も失敗した」のは、「病院で治ったら生活訓練施設に、訓練施設でうまくいったらグループホームに、グループホームで問題を起こさなかったら、最後にアパートに」というタイプのプログラムですか?

?そうです。住まいがゴールで、そこまでに長い階段を登らなくちゃいけないんです。階段を登り切れれば、普通の住まいにたどりつけるわけです。でも、そういうステップアップ方式だと、どうしても階段の途中から落ちてしまう人たちが出てきます。その失敗の積み重ねを長い目で見ると、社会的なコストが増大しています。でも、最初から、どういう人であるかを問わず、本人の希望する適切なアパートを用意すると、案外うまくいきました。さらに、コストも安くつくということがわかりました。それで、各国に同様の取り組みが広がってきています。

――「Pathways to Housing」の歴史を見ると、活動の初期、ホームレス状態にある精神障害者や依存症患者に対して、活動メンバーの精神科医が「住まいがあれば、ホームレス状態は終わる。簡単なことだよ」と言った、とありますね。

?ええ、だから、「ハウジングファースト」なんです。

「まずは施設に」という考えが
路上生活から抜け出せない一因に


稲葉剛氏の研究室があるフロアから見る池袋駅方面。池袋は、駅近くの池袋西口公園を中心に、数多くの路上生活者が住む街でもある
Photo by Y.M.
――精神障害者に対しては、イタリア・トリエステ市で1960年代から行われた「バザーリア改革」の中で、精神科病院の解体と元入院患者の地域生活を推進する取り組みが同時進行で始まりました。以後、ここ数年の日本でも話題になっているフィンランド・西ラップランド地方の「オープン・ダイアローグ」、ニュージーランドに起源を持つ「ファミリー・グループ・カンファレンス」など、精神障害者が地域の普通の住まいで生活することを基本と考えた上での取り組みの積み重ねが、数多く存在します。もちろん日本でも、既に数多くの取り組みがあります。精神障害者の地域生活に対する世の中の理解は、少しずつ深まってきているのでは??と思います。しかし、精神障害を持たない生活困窮者一般に対しては、「同じ考え方を拡大していいのか?」という意見もありそうです。

?基本は同じだと思うのですが。日本ではいまだに、路上生活の方々が生活保護を申請すると、「まずは施設に」、あるいは同等の場所に、となります。そして、数ヵ月あるいは数年間、そこから出られないことになります。施設というのは、無料低額宿泊所とか、5月に火災になった川崎市の簡易宿泊所などです。

――施設そのものが劣悪で危険な場合もありそうです。貧困ビジネスの搾取の場であった例も、過去にありました。そういう住環境にいること自体、もう「健康で文化的な最低限度」未満だと思います。

?福祉事務所のケースワーカーさんに「なぜですか?」と聞くと、「ある程度、訓練をした上でないと、アパートに住ませることはできない」ということです。でも、さきほどの、精神障害者に対するステップアップ方式と同じで、失敗が多いんです。

――どういう感じで失敗するんでしょうか?

?基本、集団生活の寮ですから。いじめられたり、トラブルがあったり。それで路上に戻ってしまって、また力尽きたところで生活保護という感じで、路上と施設を往復することになるんです。路上生活者の生活保護申請や、申請を支援することは、一般的になってきました。だから、「アパートに住んで地域生活を始め、その後、可能だったら就労も」というパターンをたどる方は増えてきているんですが、路上と施設の往復状態の方は、その往復状態から抜けられないんです。「まず集団生活」で失敗し続けていますから。

――「路上よりマシなのに、ガマンできないなら自己責任」という意見もありそうです。

?でも路上生活の方の中で、精神障害や知的障害の可能性のありそうな方の比率は、非常に高いんです。2008〜2009年、精神科医の森川すいめい氏らの調査では、62.5%が精神障害、34%が知的障害という結果が出ています。

――合計すれば100%近くなりますね。重なりがあるとしても、障害をお持ちの方が多数なのは間違いないでしょう。

?長年、支援していての印象ですが、精神障害や知的障害の可能性がある方の比率は、高くなってきていると感じます。そういう方が、施設と路上の往復状態になってしまいやすいという傾向があるのではないかと思っています。

?精神障害の方だと、同じ空間に、他にたくさん人がいるだけで耐えられない場合もあります。音に過敏な人もいます。耐えられなくて、結果的に出て行ってしまいます。施設からは「自主退所」「失踪」という形で認識されていますが。

――「ご本人が主体的に路上を選んでいる」と見るのは困難ですね。とはいえ、そういう方に積極的に「隣人になってほしい」という人も多くはないだろうと思います。

日本ではいかに
「ハウジングファースト」を実現すべきか

――2014年2月、福岡市で生活保護を利用していた85歳の男性が、電気代節約のために、こたつの中でカセットコンロに火をつけ、アパートを全焼させた事件がありました。「来てほしくない、住んでほしくない」という意見は、善悪はともあれ、一定の現実のリスクを踏まえての話ではあると思います。

?私たちが関わっている方々でも、そういう事例は、ときどきあります。ですから、手厚いかかわりが必要なんだと思います。訪問して、電気製品の使い方をはじめとして、生活の方法を身につけていくことを手伝うとか。今、住んでいる家がゴミ屋敷状態になっているのなら、一緒に片付けて掃除するとか。アメリカやフランスでの「ハウジング・ファースト」の取り組みでは、そういう活動が行われています。人件費はかかりますけど。

――精神医療ならば、日本にも、ACT(Assertive Community Treatment)など多職種チームによる既存の支援体制があります。不完全ですが、チーム支援を支える制度もあります。障害に限らず何らかの困難を抱えた人の地域生活をチームで支援するために、日本で足りないものをどう補っていくのか。知恵を絞る必要がありそうですね。

?でも、解決しなくてはならないことが数多くあるということは、解決そのものや、解決の手段や道筋がビジネスになる可能性もあるということではないでしょうか(笑)。「ハウジングファースト」に関しては、シンポジウムを企画しています。岡山で既に、不動産業者として生活困窮者への居住支援に長年取り組んでいる阪井ひとみさん、豊島区で医療も含めて生活困窮者支援に取り組んでいる、先ほどお話した精神科医の森川すいめいさんに加え、フランス・マルセイユで「ハウジングファースト」に取り組んでいる精神科医のヴァンサン・ジェエラールさんにご報告をいただき、日本で「ハウジングファースト」をこれから実現するためにどうすればいいか、ご一緒に考えられればと思います。どうぞご参加ください。

立教大学?21世紀社会デザイン研究科主催
ハウジングファーストと社会デザイン―フランスと日本の実践から
http://www.rikkyo.ac.jp/events/2015/11/16832/
日時:2015年11月14日(土)14:00〜17:00(13:30〜開場)
場所:立教大学?池袋キャンパス?5号館1階5123教室
講師:ヴァンサン・ジェエラール 氏(世界の医療団フランス本部、精神科医)、森川すいめい氏(認定NPO法人メドゥサン・デュ・モンド ジャポン東京プロジェクト担当、精神科医)、阪井ひとみ氏(阪井土地開発株式会社代表取締役,NPO 法人おかやま入居支援センター理事)
司会:稲葉剛(21世紀社会デザイン研究科特任准教授、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事)
――残念です。その日、私はあいにく、お台場の日本科学未来館界隈で開催される「サイエンスアゴラ」の「本音で語る研究費問題 〜幸せに研究するために〜」に、企画提供者として参加しますので、行けません。幸せな研究生活のためにも、「ハウジングファースト」は大切だと思いますが……どちらも、盛会になりますように!?

?本日はありがとうございました。
http://diamond.jp/articles/-/81183


2. 2015年11月06日 09:57:14 : nJF6kGWndY

>定年を目前にした57歳のとき、不測の事態が起こる。郷里の岡山に独りで住む母親が、認知症を発症したのだ。ヘルパーの利用や帰省のための交通費で、月に10万円近い出費
>結婚して東京に住んでいる娘が『マンションを買う頭金を出してほしい』と言ってきたときは、妻と一晩悩んで、なけなしの300万円を出すことにしました

僅か年収700万程度しかないのに、こうした事態を想定していない点で、既に下流が確定している


3. 2015年11月06日 18:25:01 : v1gbxz7HNs
年収300万世帯はやけに堅実ではないか。
ここまで堅実な発想の者が年収300万というのも不可解だが、まあ、これは堅実というより健全というべきかもしれない。
これ以上何を求める?
頭のユトリか?

4. 2015年11月06日 21:36:59 : jAdmYOHtYU
塾や家庭教師がいた方が進学率絶対上がるし
野菜の産地を選べないって・・・早死にしろってか

酷いね。


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