1. 2015年11月06日 11:48:15
: OO6Zlan35k
成果の出ない部下の人生を変えた上司の一言 第44回 頑張れない部下のやる気を上げるカウンセリング技法 2015.11.6(金) 藤田 耕司 肩を抱き合ってギリシャの首相官邸に入るギリシャのアレクシス・チプラス首相(右)とフランスのフランソワ・オランド大統領(2015年10月23日)(AFPB) ?私は大人数で飲むことよりも2人で飲むことの方が多い。2人で飲みに行くと複数人で飲みに行った時には聞けないような深い話がよく聞ける。?特に「あの出来事があって自分は変わった」というような自分の生き方を変えるきっかけとなったことの話を聞くのが好きだ。 ?これまでたくさんの方の話を聞いてきて思うのは、自分の生き方を変えるきっかけとなったことの多くに、影響力のある人が同じ目線に立って深く共感してくれたということがある。 ?これまでに聞いた2つのエピソードをご紹介したいと思う。 若者を変えた優しい祖母の一言 ?高校時代、部活に熱中していてあまり勉強はしなかった。部活を引退後も勉強に身が入らず集中力も散漫で、ずるずると大学を受験した結果、どこの大学も受からなかった。 ?働きに出ている両親に代わって自分を育ててくれた祖母にその結果を伝えた。穏やかで優しい祖母は、その結果を聞くと目を真っ赤にして、震える声で「よく頑張ったな。つらかったな」と自分を励ましてくれた。 ?祖母が泣く姿を初めて見た。「よく頑張ったな。つらかったな」。そう言われ、情けない気持ちと後ろめたい気持ちでいっぱいになった。 ?頑張ったなんてとても言えない。もう二度とばあちゃんを泣かしてはいけない。その思いで一念発起し、浪人生活を始めた。そして、猛勉強の末、翌年、第1志望の大学に合格した。 ?給料のほとんどは売り上げに連動して支給される会社で営業マンとして働いていた。朝から晩まで歩き回って頭を下げて回るも、契約が取れないため給料はかつかつ。 ?家族を養うのも危うい状態で、経済的にも精神的にも追い詰められていた。今の自分の歳を考えると転職も厳しい。悲壮感が漂う自分を会社の同僚たちは次第に避けるようになっていた。 ?そんな時、上司から呼び出された。体育会系の兄貴肌の上司だった。自分のふがいない成績を見て、一喝されるかと思いきや、上司はこう言った。 ?「実はな、ここだけの話、俺も昔は売り上げが上がらなくて大変な思いをしたのよ。だから、今のお前の気持ちはよく分かる。確かに結果は出てないけど、でもお前が一生懸命頑張ってるのは俺もよく分かってるんだよ」 ?結果を残せていないにもかかわらず、上司は自分が頑張っていることを認めてくれた。嬉しかった。と同時に、結果を出せていないことの情けなさと上司に対する申し訳なさがこみ上げてきた。 ?そしたら涙がぽろぽろこぼれてきた。一喝されるよりもはるかに心にスイッチが入った。それ以後、高い結果を出している同僚に頭を下げて営業の教えを請うて回った。 共感が安心と勇気を与える ?恥も外聞もなく、がむしゃらだった。そして、今では毎年表彰されるほどの成績を残すようになった。 ?共感は人に安心と勇気を与える。共感はカウンセリングの基本でもある。 ?本気で相手と向き合い、しっかりと共感しながら話を聞くことによって、相手は心を動かされ、時に涙することさえある。 ?プロのコーチやカウンセラーは深く話を聞くための準備として、クライアントの感情にしっかりと寄り添い、同じ目線に立ち、クライアントが人には言えないことでも言えるような「場」を作る。 ?問題の本質を探る前に、まず「あなたの気持ちは分かる」「私はあなたの味方だよ」「大丈夫だよ」といった安心感を与える。 ?安心感が与えられると、クライアントは次第に心のガードを解く。その後、心の中のわだかまりを引き出せるようにクライアントに優しく問いかけ、話してくれた言葉の一つひとつを噛みしめるように受け止める。 ?そうやってクライアントの心はだんだんとほぐれていく。心はほぐれると弾力性を帯び、活力を取り戻す。 ?パフォーマンスが低い部下に対して、「もっと頑張れ!」「こんな成績でどうするんだ!」と叱ることが必要な場合がある。 ?しかし、いくら叱っても部下が心をがちがちにガードしている状態では、その言葉は相手の心の奥に届かない。 ?言葉が心の奥に届かなければ部下の行動や考え方を根本的に変えることはできない。心のガードを解いてもらうためには相手と同じ目線に立ち、共感することが必要になる。 ?「頑張れ」と言う前に「よく頑張ったな」とこれまでの労をねぎらい、「こんな成績でどうするんだ!」と言う前に「お前が大変なのは俺もよく分かる」と部下の苦悩を理解する。 心のガードを解いてやる ?こういった共感が相手に安心感を与え、心のガードを解いていく。ノーガードの状態で言われた言葉は心の奥に届き、それがたった一言であったとしてもズシンと心に響く。 ?何も言わなくとも共感を示すだけで、部下は勇気とやる気を取り戻すことだってある。そして、この人のためならと奮起できる。 ?先にご紹介したエピソードにおいて、大学に受からなかった報告をした際に祖母から叱られたとしたら、果たして一念発起できただろうか。 ?成績のふがいなさを上司からただただ叱責されていたら、恥も外聞もなくがむしゃらになるほどの奮起ができただろうか。 ?いずれの場合も、相手が自分の気持ちを理解し、共感してくれたことで、勇気とやる気が湧き、奮起することができている。 ?私がコンサルティングをしているある社長は職人気質の方で、部下と会話するのは基本的に叱る時だけ、それ以外は1人で黙々と作業するという仕事ぶりだった。そんな状況で部下が主体的に動かないと悩まれていた。 ?「何度言ったって変わらない。自分の頭で考えて自分から動こうとしない。言われたことを言われた通りにやるだけで、それ以外は何もしない」 ?一生懸命頑張って何かをやり遂げ社長に報告しても、褒められることもなければ、労をねぎらう一言もない。 ?部下の方たちは叱られ続けることで心をガードでがちがちに固めるようになり、社長から安心感も勇気も与えてもらえず、余計なことをして叱られないように言われたことだけをやるようになったのではないか、私はそう感じた。 ?こういった状況は部下が主体的に動かないと悩まれる会社によく見られる。そこで部下を叱る時には、必ず労をねぎらってから叱るというルールを設けることを提案した。 「本当に頑張っていないのですか?」 ?「頑張ってもいない部下の労をねぎらうことなんてできない」 ?そう話されたので、「本当に頑張っていないと言い切れますか?」と聞くと社長は黙ってしまった。 ?それから、叱る前にはまず部下に労をねぎらう言葉をかけるよう意識された。私は継続的に報告を受け、状況を見守り、半年も過ぎた頃にはずいぶんと部下の動きが変わってきた。 ?今では労をねぎらうのみならず、褒めることもできるようになってきたとのこと。慣れないことを継続的にやられた社長の意志の強さも見事だった。 ?人は共感してくれる相手を味方と感じ、否定してくる相手を敵と感じる。共感を示すことで自分は味方であると伝え、味方同士の関係になれる。敵の言葉は心のガードを固めるため聞き入れられないが、味方の言葉は心のガードを解いて聞き入れられる。 ?そのため、同じ叱るにしても味方になってから叱った方が敵として叱るよりもはるかに相手を動かす力を持つ。 ?「この上司は自分の気持ちを分かってくれる」 ?そういう気持ちを抱くことができれば、部下は大きな安心感と勇気を持って仕事に臨める。 ?できていないところを見つけて「もっと頑張れ」と言う代わりに、できているところを見つけて「よく頑張ったな」と声をかける。そんなやりとりが部下を奮起させ、人生を変えることだってある。 ?人の人生を変えるほどの影響力――。それは相手の気持ちを理解しようとすることなくして得られる力ではないだろう。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45166
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