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中国経済「1100兆円破綻」の衝撃! 崖っぷちの「実態」を描いた話題の一冊を特別公開
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45967
2015年11月04日(水) 近藤大介 現代ビジネス
■中国政府が発表した「悲観的な未来」
25年間にわたり中国を取材してきた近藤大介氏の新著『中国経済「1100兆円破綻」の衝撃』が話題だ。中国経済は崩壊に向かっているのか。その答えがここにある。
「中国経済は、いったいどうなってしまうのか?」
「中国経済は、内部でいま何が起きているのか?」
最近、こんな質問をよく寄せられる。
実はこうした質問に対する「回答」を、2015年の「国慶節」(10月1日の建国記念日)の直前に、中国政府自身が作っている。中国国務院(中央官庁)で財政分野と投資分野をそれぞれ統括する、財政部と国家発展改革委員会の官僚たちが、共同でまとめたとされる〈中国経済の近未来予測〉なるものの内容が漏れ伝わってきている。
それは一言で言えば、悲観的な未来予測だった。
まず短期的には、生産過剰、(不動産や株式などの)資産価格バブルの崩壊、地方政府債務の増大という「三大要因」によって、中国経済がかなり深刻な状態に陥るだろうと予測している。
この危機的状況から脱却する最も望ましい方策は、中国経済を牽引する「三頭馬車」と言われる輸出、投資、消費のうち、消費を伸ばすことである。実際、2014年のGDPにおける消費が占める割合は、51・9%と過半数を超えた。
だが経済の悪化に伴い、国民の消費は、今後頭打ちになると見込まれる。また輸出も、世界同時不況の様相を呈してきているため、急回復は望めない。そうなると中国経済は結局、政府主導の投資に頼らざるを得ない。
しかしながら、経済は下降傾向にあり、資産価格バブルは崩壊し、利率は高く、政府が全国に下達する各種通達は矛盾に満ちている。これらがすべて、投資を抑制する要素として働くため、投資を増大させることもまた、困難だとしている。
実際、2015年上半期の固定資産投資は、前年同期比で11・4%増加しているものの、その前年の15・7%増に比べて増加の幅は後退している。
つまり、これまで中国経済を牽引してきた馬車は、いまや三頭とも息切れ状態なのである。その結果、中国経済はこの先、かなりのレベルまで下降していくだろうというのが、中国政府の見立てなのだ。
■悪循環がとまらない
そうなってくると、銀行は自己防衛本能を働かせ、貸し渋りに走る。そして銀行の貸し渋りによって、さらに景気は悪化する。だがもしも中国政府が、強制的に銀行の貸し渋りを方向転換させるならば、今度は銀行が大量の不良債権を抱え、破綻リスクが高まっていく。
さらに、経済の悪化が雇用の悪化を招く。2015年7月には、中国全土で749万人もの大学生が卒業したため、いまでさえ雇用は大変厳しい状況だ。
そのため、2016年~2020年の「国民経済と社会発展の第13次5ヵ年計画」では、GDPの目標については言及しないだろうとする見方が、中国政府内部で広がっている。高い目標を掲げても、単なる絵に描いた餅になる可能性が高いからだ。換言すれば、中国のGDPはこの先、大幅に下降していくということに他ならない。
そのような状況下で、2017年秋の第19回中国共産党大会を迎える。「習近平政権10年の折り返し地点」にあたる第19回共産党大会に向けて、激しい権力闘争が予想される。
本来なら経済分野は、国務院総理であるナンバー2の李克強首相の責任だ。だが、習近平国家主席は李克強首相の権限を事実上、剥奪しているに等しいので、習近平主席の経済運営責任が問われることになる。
そしてそうした党大会へ向けた仁義なき権力闘争が、さらに経済停滞を加速させることになる――。
習近平の「ブラック・バースデー」
2015年6月15日――この日は、習近平国家主席の62回目の誕生日だった。
中国人なら誰もが知っている習主席の誕生日なのに、中国のネットや、5億人以上が利用している中国版LINEの「微信」(WeChat)には、祝福のメッセージどころか、怨嗟の声に満ちあふれていた。
「『中国の夢』は、一体どうなったんだ」
「今日は年に一度の晴れの日ではなかったのか?」
中国取材足掛け25年、訪中回数延べ100回を数えるジャーナリスト・近藤大介氏渾身の新刊
習主席の誕生日の朝から、中国ではほとんどの株価が、まるで底が抜けたように落ち始めた。前日終値で5178ポイントと、実に8年ぶりの高値に沸いていた上海総合指数(中国株の主要指標)は、たちまち5048ポイントまで下落。その後、やや値を戻して、この日は5062ポイントで終えた。一日で2%も暴落したのだ。
6月末に、全国の銀行は、中国銀行業監督管理委員会に対して、上半期の会計報告を義務づけられていた。そのため、銀行が証券業界に貸し付けている資金の回収に走った。その結果、経済実態と大きくかけ離れていたバブル状態の株価を、支えきれなくなったのである。
習近平主席の誕生日は、まさにケチのつき始めだった。この日以降、6月16日が3・47%の下落、17日にやや持ち直したものの、18日に3・67%下落。19日には、何と6・42%も下落した。まるで坂道を転げ落ちるように下落が続いたのだった。
■中国の悪夢の始まり
中国の夢――これは習近平主席が、2012年11月15日に、第18回中国共産党大会で、中国を実質的に支配する共産党のトップ(党中央委員会総書記)に就いた時から唱え始めた、習近平政権のキャッチフレーズだ。
正確には、「中華民族の偉大なる復興という中国の夢を実現する」だが、中国の一般庶民は、誰もそんな長い文句は覚えておらず、ただ「中国の夢」と思っている。
暴落直前の週末は多くの中国人が「中国の夢」に酔いしれた。だが週明けの月曜日、中国人の言う「断崖式跳水」(断崖からの跳び込み)が幕を開けた。「中国の夢」どころか、「中国の悪夢」の始まりである。
深証券取引所がある広東省で一番人気の夕刊紙『羊城晩報』(2015年7月3日付)によれば、2015年5月末時点で、上海と深の両証券取引所に登録している「股民」(個人投資家)は、2億1578万6700人。
そのうち、休眠状態にある口座が4050万4500人分あるので、実際に日々、株取引をしている「股民」は、1億7528万2200人だという。5月には、一日あたり平均59万4000人が新たに取引口座を開設していた。
また、中国株の保有時価総額の実に82%が、「股民」によるものだ。外国からの投資は厳しく制限していて、全体の2%にも満たない。この点は、7割以上を外国の機関投資家が占めている東京市場などとは、大きく異なっている。
1億7528万人ということは、一人っ子政策が約35年間も続いた中国では、一家3人が標準家庭なので、4億から5億人の家庭が株に関係していた可能性がある。2014年末の中国の人口は13億6782万人と発表されているから、国民の3分の1くらいが、家族の誰かが株に興じていたとも見られる。
ちなみに中国株が急上昇を始めたのは、2014年秋からだった。そして誰もがハッピーな顔をするようになったのは、2015年に入ってからだ。
8月に入っても、株価の下落は止まらなかった。8月18日には、再び6・1%も暴落し、中国はまたもや大打撃を受けた。
そこで8月23日の日曜日、国務院は、株価上昇のための「奥の手」とも言える手段を出してきて、「火消し」に走った。正式に、「基本養老保険基金投資管理弁法」を公布したのである。
■「中国版GPIF」で火消し
日本には、公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)があるが、これはいわば「中国版GPIF」による株式投資だった。「養老保険」とは、年金のことである。
そもそもは、6月後半の株価大暴落を受けて、6月29日に国務院が、「基本養老保険基金投資管理弁法に対する意見を各界から聴取する」と発表したのが始まりだった。中国国務院は、日本のアベノミクスなどを研究する過程で、「中国版GPIFによる株式投資」を思いついたものと推察される。
だが通常は、こうした新制度の「意見聴取」を発表してから正式公布するまで、半年近くはかかる。それをわずか2ヵ月足らずで正式公布したということは、いよいよ追い詰められ、背に腹は変えられないと判断したのだろう。
国内の個人株主が8割以上を占める中国市場では、いったん株価が下がり始めると、まるで底が抜けたように誰もが「売り」に走り、暴落に拍車をかけるという現象が起こってきた。
そうかといって中国の株式市場は、海外の機関投資家からの投資を警戒し、極端に制限している。そこで今後は、「中国版GPIF」という強力な中国政府系の機関投資家を投入することによって、高値安定した株式市場を形成しようとしたのだ。
これだけ株式市場に投入すれば、日本のアベノミクスと同様、株価の上昇が期待できるというシナリオである。実際、わざわざ日曜日に発表したところに、翌月曜日からの株価急上昇という国務院の期待が感じ取れた。
■リーマンショックに似てきた
だが、8月24日月曜日の上海総合指数は、惨憺たる結果となった。終値は8・49%の下落という8年ぶりの大暴落となったのである。中国の株式市場は、2015年内に徐々に始めていくであろう「中国版GPIF」の株式投資など、待っていられなかったのである。
まさに中国語で言う「遠水救不了近火」(遠くの水は近くの火事を救えない)だ。
さらに8月31日には衝撃的な統計が発表された。8月上旬の時点で中国の銀行の不良債権総額が、1兆8000億元(約36兆円)に達しているというのだ。
そのうち5大国有商業銀行の不良債権は、中国工商銀行が1643億元(約3兆3000億円)、中国農業銀行が1595億元(約3兆2000億円)、中国銀行が1250億元(約2兆5000億円)、中国建設銀行が1443億元(約2兆9000億円)、交通銀行が501億元(約1兆円)である。
そのため、例えば「世界最大規模の銀行」を自負している中国工商銀行の上半期の利益率は、前年同期の7・05%から0・7%へと、急降下してしまった。
前出の金融関係者は、ため息交じりに次のように語った。
■優良企業が突然リスク銘柄に
「こんな惨状は、中国の銀行がいまの形態を取るようになって30年間で、初めてのことだ。1997年のアジア通貨危機の時も、2008年のリーマンショックの時も、これほど崖っ縁には立たされなかった。
3兆2000億元もの地方債の発行は、中国にとって最後の賭けだ。2015年の年末までに、1兆8600億元分の返済が来るので、まさに自転車操業だ。
もはや中国の銀行業界は、地方政府とともに、いつ破綻するか知れない状況に陥っている。積み立てている損失引当金をあてることはできるが、最近は証券業界の負担まで増え、本当にがけっ縁を歩いているようなものだ」
この金融関係者によれば、中国の銀行破綻の発火点になりそうな「指標」があるという。
「それは上海総合指数が、再び3000ポイントを割った時だ。そこが分水嶺となるだろう。今後もし3000ポイントを割る局面が1ヵ月も続けば、不良債務を抱え込みすぎたいくつかの中小の銀行が、破綻する可能性がある」
海外の専門家の見方も悲観的だ。ジョージ・ソロス、ウォーレン・バフェット両氏と並んで「アメリカの3大投資家」と言われるジム・ロジャーズ氏は、8月26日に南京を訪問。そこで中国の経済誌『価値線』のインタビューを受け、中国株の近未来について、次のように警告を発したのだった。
「中国株は、これからも落ち続けるよ。そうすると、中国人民銀行が支えに入るだろう。それによって市場は一度、上昇に転じる。だがその後、再び急降下していく。しかも落ち幅は、それまでよりもさらに激しいものになるだろう」
中国の一連の株価暴落は、日本にとっても「対岸の火事」では済まされなかった。日経平均株価は8月25日、733円安の1万7806円で終え、ついに1万8000円台を割ってしまった。
この時は、それまでの2年半、苦労して日本の株価を吊り上げてきたアベノミクスは、一体何だったのだろうと思えてきた。日本の2倍以上のGDPを誇る隣国の経済大国が傾けば、アベノミクスなど吹っ飛んでしまうということを、われわれ日本人が思い知らされた瞬間だった。
そのような中国リスクを回避しようと、日本企業はいま、中国市場からの「撤退ブーム」である。
■「爆買い」が「並買い」になる日
日本から中国への直接投資は、2015年上半期に16・3%減の20・1億ドルとなった。ちなみにアメリカから中国への投資も10・9億ドルと、37・6%も減らしている。
中国日本商会の幹部が語る。
「2015年4月時点の北京での会員数は713社で、2年前に比べて17社の減少にすぎないので、撤退より縮小の傾向にあるというのが実情と思います。象徴的だったのが、6月16日に長富宮飯店(旧ホテルニューオータニ北京)の大宴会場で開いた黒竜江省主催の日本ビジネス交流会でした。
親日派の陸昊省長以下、省幹部たちが必死に日系企業に誘致をアピールしましたが、会場はガラガラで、まさに笛吹けど踊らずという状況でした」
このように日本企業は、経済が急下降する中国から身を引き始めている。国慶節前日の9月30日には、3人の日本人が「反スパイ法」違反容疑で3ヵ月以上も中国当局に拘束されていることが判明し、現地の日本人社会に大きな衝撃が走った。
だが、撤退や縮小したからといって、日本の2倍以上の規模の経済大国となった中国と無関係ではいられない。
今後も、「巨竜」がくしゃみをすれば、日本もカゼを引くという状況は続いていく。そして、株で損失した中国人が、日本での「爆買い」をやめて、「並買い」に変わる日も近いだろう。
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